ひき逃げ

ひき逃げ事件の基礎知識

(1)ひき逃げとは

ひき逃げとは、人の死傷を伴う交通事故の発生後、けが人の救護や道路上の危険を防止することなく事故現場から立ち去った場合をいいます。ひき逃げか否かは被害者の体を物理的にひいたかどうかで決まるわけではありません。どのような形であれ交通事故によって被害者にけがさせたのであれば、救護活動をしない限りひき逃げになってしまいます。

 

被害者のけがが軽くても、救護せずに現場から立ち去れば原則としてひき逃げになります。通行人が救急車の手配や応急手当等をしている場合でも、事故を起こした本人が何もしないで現場から立ち去った場合はひき逃げになります。

  

*あて逃げとは…

物損事故の発生後、道路における危険を防止することなく事故現場から立ち去った場合をいいます。交通事故で物損しか生じていない場合、民事事件として損害賠償の問題が生じますが、通常、刑事事件にはなりません。しかし、物損事故であってもあて逃げをした場合は刑事事件(道路交通法違反)になり得ます。

 

 

(2)ひき逃げの刑罰

 

最高刑(*)

根拠となる法律

ひき逃げ

懲役15

自動車運転死傷行為処罰法5条

(過失運転致死傷罪)

道路交通法117条2項

(救護義務違反)

危険運転+ひき逃げ

負傷事故

懲役226

自動車運転死傷行為処罰法2条

(危険運転致死傷罪)

道路交通法117条2項

(救護義務違反)

死亡事故

懲役30

準危険運転+ひき逃げ

負傷事故

懲役18

自動車運転死傷行為処罰法3条

(危険運転致死傷罪)

道路交通法117条2項

(救護義務違反)

死亡事故

懲役226

 *無免許運転等の事情がある場合さらに刑が重くなることがあります。  

 *あて逃げをした場合の刑罰は1年以下の懲役または10万円以下の罰金です(道路交通法117条の5第1号)。

 

 

(3)ひき逃げ事件の流れ

ひき逃げは、一度事故現場から逃げているので、「逃亡のおそれがある」として逮捕されてしまうのが通常です。また、性質上どうしても一般の交通事故と比べて悪質と評価されやすく、公判請求される割合が高くなります。ただ、公判請求されても、被害が軽ければ、示談など本人に有利な事情を積み重ね、執行猶予を獲得できるケースが多々あります。逆に、重い被害が生じた場合は、初犯でいきなり実刑ということもあります。早い段階から公判対策を見据えた弁護活動をすべきでしょう。

 

【ひき逃げのページ】

ひき逃げの解決事例 

 

 

ひき逃げ事件の弁護方針(罪を認める場合)

(1)ひき逃げで逮捕されたら

ひき逃げのケースでは、一度事故現場から逃げているので、「逃亡のおそれあり」として逮捕・勾留されやすく、また勾留後に準抗告等の手段によって釈放を実現することも容易ではありません。そのため、釈放に向けた活動としては起訴後の保釈に重点を置くことになります。保釈を実現するためには、自白していること、捜査機関が関係証拠を確保していること、身元引受人がいることが必要です。

保釈の基礎知識

 

 

(2)示談をする

ひき逃げ事件は公判請求される割合がかなり高いですが、示談がまとまれば執行猶予を獲得できる可能性は格段に高まります。交通事故の損害賠償は、事故の態様や被害の程度によってある程度定型的に算出されますので、そのようにして算出した金額が示談金の目安となるでしょう。

 

ひき逃げしてから逮捕されるまでに時間がたっているケースでは、被害者(遺族)が政府保障事業により損害のてん補を受けている場合もあります。その場合、国が被害者に対して支払った損害金と同額の金銭を、本人が国に支払うことによって、示談に準じた効果を期待できます。被害者の損害が政府保障事業の保障限度(傷害…120万円、後遺症…4000万円、死亡…3000万円)を超える場合は、超える部分を被害者(側)に支払うことによって、示談に準じた効果を期待できます。

示談の基礎知識

交通事故の示談

 

 

(3)反省・謝罪する

事故と向き合い、反省を深めてもらいます。さらに手紙等の方法で被害者に謝罪してもらいます。ひき逃げ・あて逃げ事件の被害者は、加害者に対して相当厳しい感情を抱いているのが通常です。なぜ逃げてしまったのかを正直に話し、誠意をもって謝罪することが重要です。

 

公判請求されたら…

本人作成の反省文、謝罪文を証拠として提出します。また、裁判官の前で反省・謝罪の気持ちを直接語ってもらいます。

 

 

(4)環境を整える

重大事故を起こした場合や交通事故の前科がある場合は、運転免許を返納した上で車を売却したり廃車にすることも検討すべきでしょう。それと同時に、職場の近くに転居するなど車を使わなくても生活できるよう環境を調整していく必要があります。

 

公判請求されたら…

車を売却したときの売買契約書、免許返納時に交付される「申請による運転免許の取消通知書」等を証拠として提出します。

 

 

(5)その他の弁護活動

① 寄付をする

示談がまとまらなかった場合、反省・謝罪の気持ちを示すために交通遺児育英会などの団体へ寄付をします。公判請求された場合は、寄付金の領収書などを証拠として提出します。

 

② 被害者の事情を指摘する

交通事故の発生について被害者にも落ち度があれば、この点を検察官や裁判官に指摘します。

 

 

ひき逃げ事件の弁護方針(無罪を主張する場合)

(1)道路交通法違反について

運転者が「人や車に接触したことに気づかず走り去った」場合は、ひき逃げの故意がなく、ひき逃げの罪を問うことはできません。「接触したことには気づいたが相手がけがをしたことを認識できなかった」場合も、ひき逃げの罪を問うことはできません。

 

このような事情がある場合、弁護士が衝突時の接触状況や車体の損傷状況、被害者のけがの程度などを検討した上で、ひき逃げについて不起訴処分や無罪判決の獲得を目指します。

 

 

(2)交通事故について

① 自白調書を作らせない

事故が起きても本人に過失がなければ犯罪にはなりません。過失がないと思われる場合、捜査機関によって自白調書をとられないようにすることが大切です。ひき逃げのケースでは、「負傷者を助けなかった」という負い目から、自分が思っていることを取調官に言うのをためらってしまい、取調官に言われるがままに供述してしまうことがよくあります。

 

弁護士が取調べに同行したり、頻繁な接見を行うことにより、安易な自白調書が作成されないよう、本人を継続的にバックアップしていきます。

 

② 弁護士が実況見分に立ち会う

交通事故のケースでは、警察が実況見分を行い、その結果を調書(実況見分調書)にまとめます。実況見分調書の図面には、事故前後の車や人の動きが秒単位、センチメートル単位でプロットされています。実況見分調書は裁判でも重要な証拠となりますが、必ずしも正確なものではありません。

 

捜査官は、事故現場に当事者を立ち会わせ、いろいろな質問をしながら実況見分を進めていきますが、当事者が、事故前後の細かい状況をはっきり覚えていることはほとんどありません。もっとも、当事者が「覚えていません」と言っても、結局は、捜査官の誘導に押し切られる形で捜査機関に都合の良い実況見分調書が作成されてしまうケースがほとんどです。可能な限り弁護士が実況見分に立ち会い、事実に反することが記録されないようにします。

 

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