飲酒運転

飲酒運転の基礎知識

このページでは飲酒運転によって人身事故を起こしたケースについて解説しています(⇒事故を起こしていない場合はこちら

 

(1)飲酒運転で人身事故を起こした場合の刑罰

 

最高刑(*)

根拠となる法律

酒気帯び運転

懲役10

自動車運転死傷行為処罰法5条

(過失運転致死傷罪

道路交通法117条の2の2第3号

(酒気帯び運転)

酒酔い運転

懲役106

自動車運転死傷行為処罰法5条

(過失運転致死傷罪)

道路交通法117条の2第1号

(酒酔い運転)

めいてい運転

めいていの故意なし

懲役12年(負傷事故)

懲役15年(死亡事故)

自動車運転死傷行為処罰法3条1項

(危険運転致死傷罪)

めいていの故意あり

懲役15年(負傷事故)

懲役20年(死亡事故)

自動車運転死傷行為処罰法2条1号

(危険運転致死傷罪)

 

  • 酒気帯び運転とは、呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールまたは血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上のアルコールを身体に含んだ状態で運転することをいいます。
  • 酒酔い運転とは、アルコールの影響によって正常な運転ができないおそれがある状態で運転をすることをいいます。
  • めいてい運転とは、アルコールの影響で正常な運転が困難な状態で自動車を走行させることです。

 

* ひき逃げ、無免許運転等の事情があれば、さらに刑が重くなることがあります。

 

 

(2)飲酒運転事件の流れ

飲酒運転による交通事故が社会問題化していることを背景として、近年、飲酒運転に対する処分は厳しさを増しています。飲酒運転によって人身事故を起こした場合、その場で逮捕されてしまうことが少なくありません。

 

被害者のけがの程度が軽くかつ示談が成立していれば、略式請求による罰金処分ですむこともありますが、通常は公判請求されてしまいます。ただ、公判請求された場合であっても、複数の前科があるケースや事故の態様が極めて悪質なケースを除けば、適切な弁護活動により執行猶予判決を獲得できる見込みは十分にあります。

 

【飲酒運転のページ】

飲酒運転のご質問

 

飲酒運転の弁護方針(罪を認める場合)

(1)飲酒運転で逮捕されたら

飲酒運転で逮捕された場合は、早期の釈放に向けた弁護活動を行います。交通事故の事案では、ひき逃げ、危険運転等の悪質なケースでない限り、弁護士が適切な弁護活動を行うことによって、たとえ大きな事故であっても早い段階で釈放される場合が少なくありません。

⇒釈放について詳しくはこちら

 

 

(2)示談をする

示談が成立すれば、不起訴処分あるいは執行猶予判決を獲得できる可能性が格段に高まります。自動車事故のケースでは、損害賠償は、被害者のけがの程度・休業日数等によって、ある程度定型的に算定されますので、そのようにして算定した金額をベースに交渉をすることになります。

 

加害者が任意保険(対人・対物無制限)に加入している場合、示談金は保険によってカバーされます。保険金とは別に、加害者が被害者に対して謝罪金を支払う場合もあります。任意保険に加入している場合は、仮に判決までに示談が成立しなかったとしても量刑上有利に考慮される傾向にあります。

 

自賠責保険にしか加入していない場合、人身損害に関しては一定の限度でカバーされますが(死亡による損害…最高3000万円、傷害による損害…最高120万円、後遺症による損害…最高4000万円)、物損についてはカバーされませんので、別途損害金を支払う必要があるでしょう。

示談の基礎知識

交通事故の示談

 

 

(3)反省・謝罪する

事故と向き合い反省の気持ちを深めてもらいます。また、被害者にお会いしたり、手紙をお送りして謝罪します。通り一遍のことを述べるのではなく、自分の言葉で心をこめて謝罪することが重要です。 

 

公判請求されたら…

本人作成の反省文・謝罪文を証拠として提出します。また、裁判官の前で反省の気持ちや被害者への思いを直接語ってもらいます。

 

 

(4)環境を改善する

飲酒運転を繰り返してしまう場合は、お酒に対する向き合い方を根本から変えてもらう必要があります。専門のクリニックに通ってもらったり、断酒プログラムに参加してもらうこともあります。

 

公判請求されたら…

クリニックの受診証明や断酒プログラムの修了証を証拠として提出します。

 

 

(5)その他の弁護活動

① 寄付をする

示談が成立しなかった場合、反省の気持ちを示すために交通遺児育英会などの団体に寄付をします。公判請求された場合は、寄付金の領収書を証拠として提出します。

 

② 被害者の事情を指摘する

被害者にもスピード違反など何らかの落ち度があれば、この点を検察官・裁判官に指摘します。

 

③ 懲戒処分の有効性を争う(民事手続)

近年、飲酒運転が職場に発覚し、懲戒解雇などの重い処分を受けるケースが増えています。もし、不相当に重い処分を受けてしまった場合、民事訴訟等によって、処分の有効性を争うことも考えるべきでしょう。懲戒解雇されてしまった場合は、訴訟によって解雇の有効性を争うとともに、賃金仮払い仮処分を申し立て給与の仮払いを求めることもできます(民事訴訟、仮処分を利用する場合は別途料金が発生します)。

刑事事件と会社対応

 

 

飲酒運転の弁護方針(無罪を主張する場合)

(1)飲酒運転(道路交通法違反)について

飲酒してから交通事故が発生するまでにかなりの時間がたっている場合は、飲酒運転の故意が認められないとして無罪になる余地があります。飲酒と事故との間に時間的間隔があると、飲酒検知器によってアルコールが検知されないことがありますが、その場合でも、捜査機関は、本人や第三者の供述に基づき、特殊な計算式(ウィドマーク法、上野式計算法)を用いて事故当時のアルコール濃度を推定し、飲酒運転の罪で起訴することがあります。

 

その場合、計算の基礎になった本人や第三者の供述が信用できないとして無罪となることもあります。弁護士が本人の認識内容や関係者の供述を検討し、不起訴処分あるいは無罪判決の獲得を目指します。

 

 

(2)交通事故について

① 自白調書を作らせない

事故が起きても本人に過失がなければ犯罪にはなりません。過失がないと思われる場合、捜査機関によって自白調書をとられないようにすることが大切です。

 

飲酒運転のケースでは、「お酒を飲んで運転してしまった」、「相手がけがをしてしまった」という負い目から、自分が思っていることを取調官に言うのをためらってしまい、取調官に言われるがままに供述してしまうことがよくあります。弁護士が取調べに同行したり、頻繁な接見を行うことにより、不利な自白調書が作成されないよう、本人を継続的にバックアップしていきます。

 

② 弁護士が実況見分に立ち会う

交通事故のケースでは、警察が実況見分を行い、その結果を調書(実況見分調書)にまとめます。実況見分調書の図面には、事故前後の車や人の動きが克明にプロットされています。

 

実況見分調書は裁判でも重要な証拠となりますが、必ずしも正確なものではありません。捜査官は、事故現場で当事者に様々な質問をしながら実況見分を進めますが、当事者が事故前後の細かい状況をはっきり覚えていることはほとんどありません。運転者の記憶があいまいになりやすい飲酒運転のケースでは特にその傾向が顕著です。

 

もっとも、当事者が「覚えていません」と言っても、結局は、捜査官の誘導に押し切られる形で警察の思い通りに実況見分調書が作成されてしまうケースがほとんどです。可能な限り弁護士が実況見分に立ち会い、事実に反することが記録されないようにします。

 

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