痴漢で逮捕!冤罪を主張する?それとも認める?弁護士が解説

このページはウェルネス法律事務所の弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

痴漢で逮捕!冤罪を主張するとどうなる?

1.勾留される可能性は低い

かつては痴漢で逮捕され冤罪を主張した場合、ほとんどの被疑者が勾留され、その後起訴されれば数か月にわたって釈放されないこともありました。

 

 

近年は痴漢冤罪の問題がよく知られるようになり、裁判官も痴漢で逮捕された被疑者の勾留については慎重に判断するようになっています。

 

 

そのため、最近では痴漢冤罪を主張しても、勾留されずに釈放されるケースが多いです。ただ、容疑を認めている被疑者と比べると、相対的に勾留される可能性が高くなることは否めません。

 

 

2.公判請求される可能性がある

痴漢(迷惑防止条例違反)の容疑を認めている場合、初犯の方であれば、被害者との間で示談が成立すれば不起訴になる可能性が高いです。示談が成立しない場合は、略式起訴され30万円程度の罰金になる可能性が高いです。

 

 

略式起訴されると簡易迅速に審理されるというメリットはありますが、法廷が開かれないため、被告人が自己の言い分を裁判官に述べる機会がありません。

 

 

略式起訴にはこのようなデメリットがあるため、検察官は、被疑者が痴漢したことを認めていて罰金刑が相当であると判断した事件についてのみ略式起訴します。

 

 

被疑者が痴漢冤罪を主張している場合、検察官が略式起訴することはありません。検察官が「起訴しても有罪にもちこめる」と判断すれば公判請求します。公判請求されると公開の法廷で審理されることになります。

 

 

否認事件で公判請求されると、短くても3か月以上は審理が続きます。半年以上続くことも少なくありません。

 

 

一方、検察官が「裁判で有罪にもちこむのは難しい。」と考えた場合は、被疑者を嫌疑不十分または嫌疑なしで不起訴にします。

不起訴処分とは?

 

 

痴漢冤罪を主張する3つのケース

痴漢冤罪を主張するケースとして、次の3つの事例が考えられます。

 

 

①実際は痴漢してしまったが、動揺して否認してしまったケース

②不可抗力で女性のお尻等に手が触れたが、あえてその手を離さなかったケース

③本当に痴漢をしていないケース

 

 

以下ケース別に対処法を解説していきます。

 

 

【痴漢冤罪】実際は痴漢していた場合の対処法

1.痴漢を認めた上で示談を目指すべき

痴漢をしたが動揺して否認してしまった場合、実際は痴漢をした以上、被害者の供述に具体性・合理性・迫真性が認められます。

 

 

そのため、検察官は「起訴しても被害者の証言で公判を維持できる」と考え起訴する可能性が高くなります。

 

 

否認事件の裁判では被害者が証人として証言することになりますが、実体験を語っているのであれば、弁護士が反対尋問で崩すことも難しいです。

 

 

そのため、痴漢をしたということであれば、当初冤罪を主張していたとしても、正直に認めた上で被害者と示談をして許してもらうべきです。

 

 

上記の②のケースは、あえて手を離さなかったという点で、痴漢の故意が認められるため、そもそも痴漢冤罪の主張ではありません。そのため、対処法については①と同様に考えることができます。

 

 

2.痴漢を認める場合の対処法

痴漢をしたけれども否認してしまいその後に「やっぱり認めたい」という場合、「当初は否認していたが今は痴漢したことを認めている」ということを、ご本人から検察官や裁判官に説明してもらうことになります。

 

 

逮捕直後の取調べで否認した場合、検察官や裁判官は警察で作成された否認の調書をあらかじめ読んだ上で、ご本人と対面しますので、なぜ途中から認めるに至ったのかをきちんと説明する必要があります。

 

 

「痴漢していませんが示談で早く終わらせたいので認めます。」等といっても通用しません。

 

 

被害者と示談をするためには、検察官を通じて被害者の意向を確認し電話番号を教えてもらう必要がありますが、そのような供述をした場合、そもそも検察官が被害者に意向確認をしてくれないと思われます。

 

 

むしろ、「当初は動揺して嘘をついていました。」と正直に述べた方が、示談成立の可能性が上がります。まずは痴漢事件に詳しい弁護士にご相談ください。

 

【痴漢冤罪】本当に痴漢をしていない場合の対処法

上記の①は本当に痴漢をしていないという点でまさに痴漢冤罪のケースです。冤罪事件では、取調べで黙秘し、「もしかしたら痴漢したかもしれません」といった不利な供述調書をとられないようにするのが原則です。

否認事件の刑事弁護

 

 

その結果、検察官が公判を維持するのが難しいと判断すれば、嫌疑不十分または嫌疑なしで不起訴になります。

 

 

一方、検察官が「被害者の証言等で公判を維持できる。」と判断した場合は、公判請求され正式裁判で審理されることになります。

 

 

統計上は無罪になるケースは1000件に1件ですが、不起訴になるケースは2件に1件を上回っていますので、まずは不起訴を目指して活動することになります。

 

 

①のケースでも、「わざとではないが不可抗力で接触した可能性がある」という場合は、否認したまま被害者との間で示談をすることもあります。この場合は示談が成立したことが評価され、起訴猶予で不起訴になる可能性が高いです。

 

 

まずは痴漢事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。

 

 

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