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児童買春を否認して不起訴を獲得-18歳未満と知らなかったケース
このような方々のために、児童買春は児童ポルノ法違反として処罰されます。児童ポルノ法違反は故意犯ですので、相手が18歳未満と知らなかったケースでは、違反にはなりません。
とはいえ、相手が18歳未満とは知らずに性行為をしてしまった方は次のような疑問を抱かれているのではないでしょうか。
☑ 18歳未満と知らなかったと言って不起訴になる?
☑ 18歳未満と知らなかったかどうかの判断の決め手は?
☑ 18歳未満と知らなかった場合も逮捕される?
このような方のために、「相手が18歳未満と知らなかった」と否認して不起訴を獲得できるケースや逮捕の可能性を下げる方法について、弁護士 楠 洋一郎が解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
【児童買春】「18歳未満と知らなかった」で通用する?
1.年齢の認識についての2つの証拠
児童買春をしても相手が18歳未満であると認識していなければ、児童ポルノ法違反になりません。年齢の認識を裏づける証拠として次の2つがあります。
①被疑者と児童がやりとりしていたSN
②児童の供述調書(「私は相手に17歳と言いました」)
2.SNSの方が証拠価値が高い
一般的には①よりも②の方が証拠としての信用性が高いとされています。児童は、警察や親の手前、男性側に責任転嫁しようとする傾向がありますし、複数の男性とやりとりしていて、記憶が混同している可能性もあるからです。
SNSのデータはねつ造することが困難ですし、記憶の混同という問題も生じませんので、児童の供述より信用性が高いといえます。
警察は被疑者とコンタクトをとる前に、児童から押収したスマートフォンを解析し、SNSのデータを把握しているのが通常です。
3.不利なSNSがあれば否認するのは難しい
SNSは証拠としての信用性が高いため、「18歳未満と知らなかった」と主張して不起訴を獲得するためには、そのような主張と矛盾するSNSのやりとりがないことが条件になります。
以下、SNSの内容別に解説していきます。
【児童買春】「18歳未満と知らなかった」では通用しないケース
1.故意を推認させるSNS
児童とのSNSで、18歳未満と知っていたと合理的に推認できるやりとりがある場合は、不利な証拠になります。例えば次のやりとりです。
「いくつ?」(被疑者)
↓
「17」(児童)
このようなやりとりがSNSで交わされていれば、たとえ被疑者が、「18歳未満であると知らなかった」と否認しても、起訴されて有罪になる可能性が高いです。そのため、故意を否認するのは得策ではないということになります。
2.未必の故意を推認させるSNS
被疑者と児童とのSNSで次のようなやりとりが交わされていれば、被疑者にとって有利になるのでしょうか?
「高校生?大学生?」(被疑者)
↓
「高校生だよ」(児童)
児童ポルノ法違反は、相手が18歳未満であることについての故意がなければ成立しません。故意の内容については、確定的な故意がなくても未必の故意があれば足りると考えられています。
【確定的故意】 児童が18歳未満であると確かに認識している状態
【未必の故意】 児童が18歳未満かもしれないし18歳以上かもしれないが、18歳未満であっても別に問題ないと思っている状態 |
「高校生」の年齢は一般的には15歳~18歳です。そうすると18歳未満の可能性もある以上、相手が高校生であると認識していれば、18歳未満であることについて未必の故意はあったと認定されます。
そのため、このようなやりとりがSNSで交わされている場合も、故意を否認するのは得策ではありません。
【児童買春】「18歳未満と知らなかった」と否認して不起訴を狙えるケース
「18歳未満と知っていた」と推認できるやりとりがなければ、否認して不起訴(嫌疑不十分)を獲得できる余地が十分にあります。例えば次のやりとりです。
「どんな仕事してるの?」(被疑者)
↓
「大学生だよ」(児童)
実際には微妙なやりとりもあります。
「いくつ?」(被疑者)
↓
「今年18」(児童)
このやりとりだと、「今年18歳になる」(=まだ17歳)と解釈することもできますし、「今年18歳になった」と解釈することもできます。
上記のケースで、被疑者が「今年18歳になった」と解釈していたと主張したときは、実際にそのような解釈も成り立つ以上、他に有力な証拠がない限り、児童買春の故意を認定するのが難しくなります。
したがって、否認を貫けば嫌疑不十分で不起訴になる可能性が高くなります。ウェルネスの弁護士も同様のケースで不起訴を獲得したことがあります。
【児童買春】18歳未満と知らなかった?-児童の供述も証拠になる
1.供述調書は弁護士の同意がないと証拠にできない
上で述べたように、児童の供述調書はSNSに比べると証拠としての信用性は劣ります。
供述調書の内容は、見間違い・聞き間違いや記憶違いに基づく可能性もありますし、取調官の誘導や本人の思い込みに影響を受けている場合もあるからです。
そのため、検察官が供述調書を刑事裁判の証拠とするためには、弁護士の同意が必要になります(伝聞法則)。
2.弁護士が児童の供述調書を不同意にすればどうなる?
裁判で弁護士が児童の供述調書を不同意にした場合、検察官は児童の供述調書を証拠とすることはできません。代わりに、検察官は、児童本人に証人として出廷してもらい尋問することができます。
取調べの際の児童の供述にぶれがなく説得力がある場合は、たとえSNS関連の証拠がなくても、検察官は、証人尋問をみすえた上で起訴に踏み切る可能性が高いです。
3.児童の供述への対応
起訴前に児童の供述内容がわかっていれば、それを参考にして否認するかどうか検討することができます。
しかし、起訴「前」の時点では、弁護士は供述調書を見ることができません。そのため、起訴前に否認するかどうか検討する段階では、被疑者の供述しか材料がないことになります。
弁護士が、被疑者から児童とのやりとりをヒアリングして、被疑者の発言が十分に説得力があり、検察官の反対尋問でも揺るがないと判断すれば、否認を検討することになります。
【児童買春】「18歳未満と知らなかった」と否認するリスク
18歳未満と知っていたと推認されるSNSや口頭のやりとりがなければ、児童買春を否認して不起訴を獲得できる余地は十分にあります。
もっとも、「18歳未満と知らなかった」と言って否認すれば、素直に認めて自白しているケースに比べて、逮捕・勾留される可能性が高くなることは否めません。そのため、無罪主張が可能なケースであっても、逮捕の回避を最優先して、故意を認める方もいます。
ただ、故意を否認していても事前に警察に出頭することにより、逮捕される可能性を下げることも可能です。
18歳未満と知らずに結果的に児童買春をしてしまった方は、お気軽にウェルネス(03-5577-3613)にご相談ください。
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