刑事裁判と証拠調べ

 

証拠調べとは

刑事事件が起訴されれば、裁判で犯罪の成否や刑罰が決まりますが、裁判官は証拠に基づいてこれらを判断します。裁判官が証拠を取り調べる手続が証拠調べです。

 

証拠調べは、検察側の証拠の取調べ→弁護側の証拠の取調べという順序で進んでいきます。

 

それでは手続の流れを見ていきましょう。

 

*以下では主として自白事件を念頭においています。

 

 

検察側の証拠調べの流れ

①検察官の冒頭陳述

検察官が、証拠によって証明しようとする事実を、紙にまとめて読み上げます。これが冒頭陳述です。

 

②検察官の証拠調べ請求

検察官は、冒頭陳述をした後、そこで述べられた事実を証明するために、裁判官に、証拠書類の取調べを請求します。

 

【検察側の証拠書類の例―万引きの場合―】 

・被害届

・目撃者の供述調書

・被害品の写真撮影報告書

・防犯カメラ映像の解析結果報告書

・犯行現場の実況見分調書

・被告人の供述調書

 

③弁護士の証拠意見

検察官の証拠調べ請求を受けて、裁判官が弁護士(被告人)に対し、証拠書類についての意見を尋ねます。弁護士は、全ての証拠書類について、「同意」するか「不同意」にするかを明らかにします。

 

これが弁護士の証拠意見です。

 

弁護士が同意すれば、その書類は裁判の証拠となり、裁判官が取り調べます。弁護士が不同意にすれば、原則として、その書類を証拠にすることはできません。裁判官がその書類を見ることもありません。

 

④証拠調べ決定

弁護士が同意した証拠書類等について、裁判官が証拠調べをする決定をします。

 

⑤証拠の取調べ:要旨の告知

検察官は、証拠調べが決定した証拠書類を裁判官に提出します。裁判官はこの時、初めて証拠を目にしますので、その場で全ての証拠を読んで内容を理解することはできません。

 

そのため、検察官が裁判官に対して、各証拠の内容を簡潔に要約して説明します。

 

裁判官は、法廷が終わった後、自分の執務室でこれらの証拠を読み込んで、判決を書いていくことになります。

 

 

弁護側の証拠調べの流れ

検察側の証拠調べをした後、弁護側の証拠調べを行います。手続の流れは次の通りです。

 

①弁護士の証拠調べ請求

②検察官の証拠意見

③証拠調べ決定

④証拠書類の取調べ(要旨の告知)

⑤情状証人の尋問

⑥被告人質問

 

裁判員裁判を除き、通常、弁護士が冒頭陳述を行うことはありません。弁護側の証拠書類(示談書など)についても、証拠とするためには、検察官が同意する必要があります。

 

 

証拠調べの解説

検察官の証拠調べ請求はこうして行われる

①検察官は、証拠をリストアップした「証拠等関係カード」という紙を、裁判官と弁護士に交付します。

 

②検察官が裁判官に「証拠等関係カード記載の各証拠の取調べを請求します」と言って、証拠の取調べを請求します。

 

証拠書類に同意が必要な理由

証拠書類は弁護士(被告人)や検察官の同意がなければ、原則として、裁判の証拠とすることはできません。

 

なぜ同意が必要となるのでしょうか?

 

供述調書等の書類に書かれていることが真実とは限りません。見間違いや記憶違いの可能性もあります。捜査官によって誘導されているかもしれません。そのため、供述調書等の書類のみで裁判を進めると、間違った裁判をしてしまう可能性があります。

 

そこで、間違った裁判にならないよう、書類の取調べについては弁護士・検察官の同意が必要とされているのです。

 

弁護士が供述調書を不同意にした場合

弁護士が供述調書等の証拠書類を不同意にすると、原則として、その書類を裁判の証拠にすることはできません。

 

もっとも、検察官はその書類の供述者を証人として、取調べを請求することができます。例えば、弁護士が目撃者の供述調書を不同意にした場合、その調書を証拠とすることはできませんが、代わりに、検察官は、目撃者の証人尋問を請求することができます。

 

証人尋問の請求を、弁護士が「不同意」にすることはできません。

 

供述調書の取調べと証人尋問の違い

目撃者の供述調書を取り調べても、目撃者その人に対して証人尋問をしても同じではないかと思われるかもしれませんが、大きな違いがあります。

 

それは、証人尋問の場合、反対尋問をする機会が保証されるということです。例えば、目撃者に対しては、目撃したときの明るさや距離、目撃者の視力、供述が変遷している理由などを、反対尋問によって検証することができます。

 

反対尋問の結果、「この目撃者は信用できない」という心証を裁判官が抱くかもしれません。

 

これに対して、供述調書の取調べだけでは、反対尋問をすることができず、正確性を検証することができません。

 

一部のみ不同意にしてもよい

証拠について不同意にする場合は、書類の全部を不同意にしても、一部を不同意にしても構いません。一部不同意の場合は、検察官(弁護士)は、不同意部分をマスキングした証拠書類を裁判官に提出します。そのため、不同意部分が裁判官の目に入ることはありません。

 

書類以外の証拠について

証拠調べ請求をされるのは供述調書等の書類だけではありません。物(例:覚せい剤事件における覚せい剤)や証人の取調べが請求されることもあります。

 

物や証人については、弁護士(検察官)が同意したり、不同意にすることはできません。物については反対尋問する余地はないですし、証人については反対尋問の機会が保証されているからです。

 

 

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