公務執行妨害のご質問

Q1-1:バイクを運転していた際、一時停止違反をしてしまい、自転車に乗った警察官に止められました。無免許だったことから怖くなり、無我夢中でバイクを発進して逃げたところ、タイヤが警察官の足を踏んでいたらしく、公務執行妨害と傷害の容疑で逮捕されました。逮捕されて2日後に釈放されました。私は、警察官の足をひくつもりはありませんでしたし、ひいたことも知りませんでした。私がしたことは、公務執行妨害と傷害になってしまうのでしょうか?

公務員に対する暴行または脅迫の故意がなければ公務執行妨害罪は成立しません。足をひくつもりはなかったということでしたら、暴行の故意は認められませんので、公務執行妨害罪(3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金)は成立しないことになります。暴行の故意がない場合は、傷害罪(15年以下の懲役または50万円以下の罰金)も成立しません。

もっとも、バイクのタイヤで足をひいてけがをさせたことが事実であれば、過失運転致傷罪(7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金)になります。無免許運転については道路交通法違反(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)になります。

 

Q1-2:今後どうすればよいでしょうか?

警察や検察に、暴行の故意があったと認定できる調書(自白調書)を作られてしまうと、公務執行妨害と傷害の両方で起訴され、有罪判決が下される可能性が高くなります。そのため、取調べにおいて、自白調書を作成されないようにすることが大切です。

具体的には、取調べに際し、

①黙秘する

②自己の言い分を取調官に話すが、調書に署名・押印しない

③自己の言い分を話し、調書にそれが正確に記録されていることを確認した上で、署名・押印する

等の対応があります。

実際にどの方針でいくかは、事件の詳細やご本人のパーソナリティーにもよりますので、弁護士と相談して決めてください。

 

Q1-3:過失運転致傷罪と無免許運転についてはどのように対応すればよいのでしょうか?

無免許運転中の人身事故の場合、初犯の方でもいきなり公判請求される可能性は十分にあります。人身事故(過失運転致傷)については、被害者と示談をすることが最も重要ですが、公務中の警察官が被害者である場合、示談することは容易ではありません。示談できない場合は、反省文を提出したり、贖罪寄付をすることにより、公判請求を回避し、不起訴または略式請求(罰金)を目指すことになります。

無免許運転(道路交通法違反)については、処分の公平性という観点から、不起訴になることは通常ありません。上記の活動に加え、バイクを処分したり、周囲の人に監督してもらうことにより、略式請求(罰金)を目指すことになります。