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少年事件の流れや弁護士をつけるメリット、弁護士費用について

少年法

 

「先ほどお子さんを逮捕しました」

「お子さんを検挙しましたので署まで迎えに来てください」

 

 

このページを読まれている方は、警察からこのような連絡を受けて、我が子が少年事件の当事者になったことを知ったのではないでしょうか?

 

 

いきなり連絡を受けた親御様としては次のような疑問を抱かれると思います。

 

☑ 少年事件の流れは?

☑ 最終的な処分はどういうものがある?

☑ 少年事件で弁護士は何をしてくれるのか?

☑ 国選弁護人や国選付添人でも大丈夫か?

☑ 少年事件の弁護士費用はどれくらい?

 

このような疑問に答えるため、弁護士 楠 洋一郎が少年事件と弁護士についてわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

少年事件の流れ

少年事件の流れをわかりやすく整理すると

①家庭裁判所への送致前

②家庭裁判所への送致後

の2つの段階に分けることができます。

 

 

「家庭裁判所への送致」とは、少年事件が警察や検察から家庭裁判所へ引き継がれることです。大人の事件は、起訴されて裁判所で審理される事件もあれば、起訴されずに警察や検察の段階で終了する事件もあります。

 

 

これに対して、少年事件では、犯罪の嫌疑があれば全て家庭裁判所へ引き継がれます。家庭裁判所という専門の機関が関与することで、少年の実情に応じた柔軟な処分をすることが可能になります。

 

 

少年の逮捕や勾留は家庭裁判所に送致される「前」に行われます。これに対して、少年の裁判(少年審判)は家庭裁判所に送致された「後」に行われます。

 

 

このような基本的な流れを把握しておくと、弁護士に相談する際も、時間を有効に使うことができるでしょう。以下でも、家庭裁判所への送致前と送致後に分けて解説しています。

 

家庭裁判所への送致前

 

少年事件で逮捕された後の流れ

1.検察官の勾留請求

逮捕は最長3日間しか認められていません。では、3日たつとそのまま釈放されるのかというとそういうわけではありません。3日を超えて身柄拘束する必要がある場合は、検察官は裁判官に勾留を請求します。この点は少年も大人も同じです。

 

 

2.裁判官の勾留質問

検察官が勾留を請求すれば、無条件に勾留されるわけではありません。勾留するかどうかは、裁判官が事件の記録を見た上で少年本人から話を聞いて(「勾留質問」といいます)判断します。

 

 

3.勾留

少年法は、やむを得ない場合でなければ少年を勾留してはならないと定めています。心身ともに未成熟な少年を保護するために、大人に比べて勾留の要件を厳しくしているのです。

 

もっとも、実際は、少年であっても、非常に多くのケースで勾留が許可されています。勾留の期間は最長20日です。勾留されると引き続き警察や検察による捜査が行われます。

 

家庭裁判所への送致後

 

少年鑑別所への収容

検察官は勾留期間内(最長20日)に事件を家庭裁判所に送致します。勾留されていた少年は家庭裁判所に送致された当日に少年鑑別所に収容されることが多いです。少年鑑別所に収容される期間は通常4週間です。

 

鑑別所では取調べは行われません。鑑別所の技官が少年に知能検査や性格検査を実施したり、少年と面接して、家庭環境や事件を起こした原因、事件の受けとめ方等を調査します。

 

少年事件と社会調査

少年事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所調査官によって調査されます。家庭裁判所調査官とは、少年の性格や行動特性、生活環境、更生のための方法等を調査する専門家です。

 

家庭裁判所調査官は、少年鑑別所や裁判所で少年と面接したり、少年の親や担任の教師、かかりつけの医師らにヒアリングすることにより、少年の問題点を明らかにしていきます。調査結果は社会記録というレポートにまとめられ、裁判官が少年の処分を決める際の参考になります。

 

少年審判

事件が家庭裁判所に送致された後、少年の裁判(少年審判)が行われます。少年が鑑別所に収容されている場合、少年審判はその間(通常4週間)に行われます。

 

鑑別所に収容されていない場合は、少年審判が開かれるタイミングは決まっていません。通常は家庭裁判所に送致されてから2,3か月以内に実施されます。少年が20歳になると少年審判を開くことはできず、検察官に逆送され、大人の事件として処理されます。

 

裁判官は少年審判で少年に対する処分を言い渡します。主な処分としては次の4つがあります。

 

①少年院送致

少年院に収容する処分です。

 

②保護観察

少年院には収容せず社会の中で更生の機会を与える処分です。少年は定期的に保護司と面接し生活状況等を報告します。

 

③不処分

少年に対して処分をしないことです。少年が罪を犯したと認められない場合は不処分になります。罪を犯した場合でも、裁判官が少年の心情やまわりの環境等をふまえて「処分をしなくても十分に更生できる」と判断すれば不処分となります。

 

④検察官送致(逆送)

一定の重大犯罪について、裁判官が大人と同様の刑事処罰を与えるべきと判断した場合は検察官に逆送されます。逆送後、検察官は、少年が罪を犯したと判断すれば、少年を通常の裁判所に起訴します。起訴されれば、少年は大人と同様の裁判を受けることになります。

 

少年事件の弁護士ができること

1.釈放を目指す

逮捕は最長でも3日間しかできません。もっとも、検察官や裁判官に「この少年は逃げたり証拠を隠滅するおそれがある」と判断されれば、勾留されることになります。勾留されると最長で20日にわたり身柄拘束されてしまいます。

 

弁護士は、事件の内容や少年をとりまく状況から、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを検察官や裁判官に主張し、勾留阻止を目指します。また少年が鑑別所に収容されないよう弁護士が裁判官に意見書を提出します。

 

2.取調べの対応方法をアドバイスする

少年は精神的に未熟で、知識や判断能力も十分ではありません。そのため、大人以上に取調官の誘導を受けやすく、捜査機関に都合のよい供述調書を作成されてしまうことが多々あります弁護士がひんぱんに少年と接見し、取調べにどのように対応すればよいのかをわかりやすく説明します。

 

3.被害者と示談交渉を行う

被害者がいる事件の場合、弁護士が被害者と示談交渉を行います。少年の親が示談金を負担して示談をすることは、身をもって責任の取り方を示すという点で大きな教育的効果がありますし、少年の更生のために目に見える努力をしているという点で、裁判官にも評価されます。

 

4.内省を深める

少年が非行事実について認めている場合は、弁護士が少年と一緒に事件を起こした原因や被害者の気持ちを考えることにより、少年の内省を深めます。犯罪被害者が書いた本を読んでもらい、感想文を書いてもらうこともあります。

 

5.環境を調整する

少年が働いている場合は、弁護士が職場に対して少年を解雇しないよう働きかけます。少年と親との関係が悪化している場合は、弁護士が間に入って修復を図ります。周囲の交友関係に問題がある場合は、電話番号を変更したり不良グループと距離を置いてもらいます。

 

6.家庭裁判所調査官と面接する

家庭裁判所調査官は、少年の性格や生活環境、更生の見込み等を調査した後、「社会記録」というレポートを裁判官に提出します。社会記録の中で、調査官は少年をどのように処分すべきかについて意見を述べます。裁判官はその意見をふまえて少年の処分を決めています。

 

もし社会記録に「少年院が相当」との意見が書かれていれば、少年院に収容される可能性が高くなります。弁護士が事前に調査官と面接し、少年の反省状況や環境調整の結果を伝え、少年院に入れなくても更生が可能であることを理解してもらいます。

 

少年事件と国選弁護人

1.国選弁護人の呼び方

少年事件でも国選弁護人を呼ぶことができます。国選弁護人の呼び方は、少年から警察の職員に「国選弁護人を呼んでください」と言うだけです。あとは裁判所や法テラスが手続きをしてくれます。

 

 

2.国選弁護人を呼べる事件

少年事件で国選がつくのは勾留された後に限られます。逮捕されていない少年や、逮捕されたばかりで勾留されていない少年は、国選をつけてもらうことができません。そのような少年が弁護士のサポートを受けるためには、少年の親が私選弁護人に依頼する必要があります。

 

 

3.親は国選弁護人を呼べない

少年の親は国選弁護人を呼ぶことはできません。弁護人をつけた方がよいということを理解していない少年もいるため、勾留後も国選から連絡がこない場合は、親が少年と面会して、国選を呼ぶようにアドバイスした方がよいでしょう。

 

 

4.国選弁護人と私選弁護人のどちらがいい?

国選弁護人のメリットは原則として弁護士費用がかからないということです。デメリットは少年の親が弁護士を選べないということです。

 

国選の名簿に登録された弁護士がランダムに選ばれますので、少年事件の経験がない弁護士がつく可能性もあります。そのため、弁護士費用を準備できる場合は私選弁護人にした方がよいでしょう。

 

 

少年事件と国選付添人

1.国選付添人とは

少年事件が家庭裁判所に送致された後は、担当の弁護士は「弁護人」ではなく「付添人」と呼ばれます。呼び名が変わるだけで、少年の処分をできるだけ軽くするという目的は同じです。国が選任する付添人を国選付添人といいます。

 

 

2.国選付添人を利用できる事件

国選付添人を利用できるのは次の3つの事件です。

 

①検察官が関与する事件

②被害者が審判を傍聴する事件

③死刑・無期懲役・長期3年を超える懲役・禁錮にあたる犯罪で少年が鑑別所に収容されている事件

 

①と②のケースでは、私選の付添人がいない場合は必ず国選付添人がつけられます。③のケースでは裁判所が必要と判断した場合に限り国選付添人がつけられます。

 

 

3.国選付添人と私選付添人はどちらがいい?

国選付添人は原則として弁護士費用がかからないというメリットがありますが、国選の名簿から弁護士がランダムに選ばれますので、少年事件の経験のない弁護士がつくことがあります。「我が子の付添人は親が選びたい」という場合は私選弁護人に依頼することになります。

 

 

少年事件で弁護士をつけた方がよいケース

1.逮捕・勾留されている場合

少年が逮捕・勾留されている場合は、一刻も早く弁護士をつけた方がよいでしょう。弁護活動により早期の釈放が見込めるケースも多々ありますし、少年の無知に乗じて不利な調書が作成される事態を阻止することもできます。

 

何よりも弁護士が少年と面会し、少年の言い分を聞いたり今後の見通し等を説明することにより、少年の不安な気持ちを軽くすることができます。

 

2.被害者がいる場合

暴行・傷害といった粗暴犯罪や痴漢・盗撮・強制わいせつといった性犯罪のケースでは、被害者と示談をすることにより、処分の軽減が見込めます。軽微な犯罪で示談がまとまっていれば、「審判不開始」といって少年審判が実施されないこともあります。


被害者側は、通常、少年や家族に個人情報を知られたくないと思っているため、弁護士をつけないと被害者側の電話番号を知ることができません。そのため、示談を希望する場合は弁護士をつけた方がよいでしょう。

 

3.学校や裁判所と交渉する必要がある場合

学校から退学を迫られている場合は、少年の親だけで学校と交渉するのは難しいと思われます。弁護士であれば保護者の代理人となり学校と交渉することができます。裁判所から出身高校や中学へ照会がいくことを阻止したいという場合も、弁護士であれば裁判所の調査官と交渉することができます。

 

 

少年事件の弁護士費用の相場

少年事件の弁護士費用の相場は、大人の事件に比べてやや高くなる傾向があります。少年の身柄が拘束されている事件で総額88万~220万円、身柄が拘束されていない事件で総額55万円~110万円前後となります(税込み)。

 

 

大人の刑事事件は示談が成立すると不起訴という形で早期に終了することが多いですが、少年事件は示談が成立しても家庭裁判所に送致されるため、大人の事件よりも解決までの期間が長くなります。

 

 

また、大人の事件と異なり保釈制度が存在しないため、身柄拘束の期間も長くなりがちです。このような事情があるため、大人の事件よりも弁護士費用はやや高くなります。

 

 

少年事件の弁護士費用【ウェルネス】

身柄拘束されている事件

着手金

44万円

少年院を回避できた場合の報酬金

22万円

身柄拘束されていない事件

着手金

33万円

少年院を回避できた場合の報酬金

22万円

*税込みの金額です。

 

ウェルネスでは、少年の親御様のために安価な弁護士費用を設定しております。
少年事件の弁護士費用が安い理由

 

 

お子様が少年事件の当事者となりお悩みの親御様はぜひウェルネス(03-5577-3613)の弁護士へご相談ください。

 

 

ウェルネスで取り扱っている少年事件

①性犯罪

痴漢盗撮強制わいせつ強制性交等公然わいせつ

②粗暴犯罪

暴行傷害、暴力行為等処罰法違反、脅迫、銃刀法違反

③財産犯罪

窃盗恐喝詐欺オレオレ詐欺・振り込め詐欺

④その他

住居侵入、軽犯罪法違反

 

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