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脅迫に強い弁護士
脅迫罪は、暴行罪や窃盗罪と異なり、犯罪をしているという明確な意識がなく実行してしまいがちな犯罪です。本人が気づかないうちに脅迫罪で被害届を出され、いきなり逮捕されたり家宅捜索をされることもあります。
脅迫罪で逮捕された方やそのご家族、「もしかして脅迫してしまったのでは?」と考えている方は次のような疑問を抱かれていることでしょう。
☑ 脅迫罪の要件は?
☑ 脅迫罪になる言葉は?
☑ 脅迫罪の逮捕率・不起訴率は?
☑ 脅迫罪の慰謝料の相場は?
☑ 脅迫罪の弁護士費用はいくら?
このページでは脅迫罪の加害者側が知っておきたいことについて弁護士 楠 洋一郎が解説しました。ぜひ参考にしてみてください!
目次
脅迫罪とは
脅迫罪は、被害者またはその親族の①生命、②身体、③自由、④名誉、⑤財産に対し危害を加える旨を告知して被害者を怖がらせる犯罪です(刑法222条)。
【刑法】
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脅迫罪の刑罰
脅迫罪の罰則は2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。
脅迫罪は相手を怖がらせる犯罪ですが、目に見える被害を与えているわけではないので、恐喝罪(10年以下の懲役)や傷害罪(15年以下の懲役または50万円以下の罰金)よりも刑罰は軽くなっています。
脅迫罪の時効
脅迫罪の時効は3年です。3年たてば起訴することができなくなるので、逮捕されたり家宅捜索を受けることもなくなります。
脅迫罪における「親族」とは
脅迫罪は、被害者またはその親族に危害を加えることを告げて、被害者を怖がらせる犯罪です。この場合の「親族」とは被害者と次の関係にある人をいいます。
・配偶者
・6親等(=はとこ)までの血族
・3親等(=配偶者のおじ・おば、配偶者の兄弟の子)までの姻族
恋人や友人、職場の同僚は危害の対象にはなりません。例えば、「お前の恋人を痛めつけてやる」と言っても脅迫罪にはなりません。
どの程度で脅迫になる?
脅迫の要件として、一般人を怖がらせる程度の害悪を告知する必要があります。困惑させたり不快感を与えるだけでは、脅迫とはいえません。
また、常識的に判断して一般人を怖がらせる程度の害悪の告知であれば、実際は被害者が怖がっていなくても、脅迫にあたります。
このように「怖がる」かどうかの判断基準は一般人ですので、被害者が臆病であれば脅迫罪が成立しやすくなったり、豪胆であれば脅迫罪が成立しにくくなるわけではありません。
脅迫罪になる言葉
| 具体例 |
生命に対する脅迫 | 「殺すぞ」 「畳の上で死ねたらいい方だ」 |
身体に対する脅迫 | 「手足をへし折ってやる」 「ぼこぼこにするぞ」 |
自由に対する脅迫 | 「閉じ込めるぞ」 「さらうぞ」 |
名誉に対する脅迫 | 「お前が不倫していることをみんなに言いふらす」 「店の悪評をネットに書き込む」 |
財産に対する脅迫 | 「お前の店をめちゃくちゃにしてやる」 「車に傷をつけるぞ」 |
脅迫の方法
脅迫の方法としては、「殺すぞ」等と言ってストレートに怖がらせる場合に限らず、危害を加えることを暗示する方法でもよいとされています。
【暗示による脅迫の具体例】
・「出火見舞い申し上げます。火の元にご用心。」という手紙を送る。
・ナイフを被害者の目の前におき「俺と勝負しろ」と言う。
・「夜道に気をつけろ。」というメールを送る。
「弁護士に相談する」と言えば脅迫罪になる?
法的なトラブルに巻き込まれた人が弁護士に相談すること自体は通常の行為であり、何ら問題ありません。
そのため、「弁護士に相談する」と言っても脅迫罪にはなりません。同様に「警察に相談する」と言っても脅迫罪にはなりません。「相談する」と言って実際は相談しなかったとしても脅迫罪にはなりません。
そのため、相手から脅迫罪で訴えると言われても気にする必要はありません。
もっとも、盗撮ハンターや美人局のように、相手を怖がらせて金銭を巻き上げようとする意図で、「弁護士に相談する」、「警察に相談する」といった場合は、恐喝(未遂)罪が成立する余地があります。
会社に対する脅迫
判例上、会社(法人)に対する脅迫罪は成立しないとされています。
例えば、イベントを主催している会社に脅迫状を送りつけても、その会社に対する脅迫罪は成立しません。ただ、会社の代表者や脅迫状を受け取った従業員個人に対する脅迫罪が成立する余地はあります。
また、脅迫の影響でイベントが中止になった場合は、より重い威力業務妨害罪が成立します(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)。
⇒業務妨害罪とは?威力業務妨害罪と偽計業務妨害罪との違いや事例
脅迫罪の特別罪
団体や多数の人間の威力をアピールして脅迫したときは集団脅迫罪が成立します。凶器を示して脅迫したときは示凶器脅迫罪が成立します。複数人で共同して脅迫したときは共同脅迫罪が成立します。
刑罰はいずれも3年以下の懲役または30万円以下の罰金で(暴力行為等処罰法1条)、脅迫罪よりも重くなっています。
常習的に脅迫罪を犯した場合も常習脅迫罪(暴力行為等処罰法1条ノ3)が成立します。刑罰は懲役3ヶ月~5年です。
公務員を脅迫した場合、脅迫罪ではなく公務執行妨害罪が成立します。刑罰は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。
脅迫の逮捕率は?
2021年に刑事事件になった脅迫事件のうち、被疑者が逮捕されたケースは59%です。逮捕後、勾留されたケースは91%です。勾留期間(原則10日・延長されると最長20日)が延長されたケースは63%です。
*上記の脅迫罪には強要罪も含まれます。
*本ページの数値は2021年検察統計年報に基づいています。
脅迫罪は重大犯罪とまではいえませんので、逮捕されてもすぐに弁護士を呼び、弁護活動をスタートすれば勾留を阻止できる可能性が十分にあります。
⇒逮捕後どの弁護士を呼ぶ?弁護士費用・連絡方法・選び方を解説
脅迫罪で逮捕されやすい3つのケース
1.客観証拠があるのに否認している場合
SNSの脅迫メッセージ、脅迫状に付いた指紋、押収されたパソコンに保存されている脅迫データ等の客観的な証拠がある状況で否認を続けた場合、逮捕される可能性が高くなります。
2.被害者が元妻や元彼女の場合
脅迫の相手が元妻や元彼女の場合、殺人事件などの重大事件に発展するおそれがあると思われ、逮捕される可能性が高くなります。脅迫の前後でセクハラやストーキングをしていた場合は、より逮捕される可能性が高くなります。
3.反社会集団に属している場合
暴力団や半グレなどの反社会集団に属している人が脅迫事件を起こした場合、逮捕される可能性が非常に高くなります。
脅迫の起訴率は?
2021年に検察庁で取り扱われた脅迫事件のうち、起訴されたケースは41%です。起訴された脅迫事件のうち、略式請求されたケースが62%、公判請求されたケースが38%です。
脅迫の罰金の相場は?
初犯の方の場合、被害者との間で示談が成立すれば、ほとんどのケースで不起訴になります。示談が成立しなければ略式裁判で罰金になることが多いです。
⇒略式裁判とは?罰金の金額や払えない場合について弁護士が解説
罰金刑の相場は20万円から30万円です。罰金を支払わなければ1日あたり5000円として労役場に収容されることになりますのでご注意ください。
脅迫の示談
1.脅迫で示談をするメリット
相手を脅迫して刑事事件になっても、不起訴になれば前科はつきません。起訴するか不起訴にするかを決めるのは検察官です。検察官は脅迫罪の処分を決めるに当たり、示談を非常に重視しています。
そのため、被害者との間で示談が成立すれば、不起訴になる可能性が高くなります。
2.示談交渉は弁護士を通じて行う
示談をするためには被害者と交渉する必要があります。被害者の連絡先がわからない場合、捜査機関は加害者には連絡先を教えてくれません。
もし連絡先を知っていても、脅迫されて怖がっている被害者に加害者が直接連絡するのは避けた方がよいでしょう。
そのため、示談交渉は弁護士を通じて行います。被害者は脅迫を受けたことにより怖い思いをしていますので、弁護士には被害者の心情に配慮した姿勢が求められます。
3.脅迫の慰謝料の相場
脅迫の被害者と示談をまとめるためには、被害者の受けた精神的苦痛に対して慰謝料を支払う必要があります。脅迫罪の慰謝料の相場は10万円~30万円です。
怖がらせたと言っても、傷害罪のように暴力をふるってケガをさせたわけではないので、慰謝料が30万円を超えるケースは多くはありません。
もっとも、セクハラやストーキングに伴って女性を脅迫した事件では、30万円を超えることもあります。
脅迫の示談以外の弁護活動
1.被害者に謝罪する
脅迫事件の被害者は加害者から脅迫されて怖い思いをしています。加害者としても何らかの言い分があることが多いですが、脅迫してよい理由にはなりません。
加害者には、これまでの被害者との関わりの中で自分のどこに問題があったのか、被害者にどのような思いをさせたのかをふまえて謝罪文を書いてもらい、弁護士を通じて被害者にお渡しします。
【不起訴を獲得するために】
弁護士が謝罪文の写しを検察官に提出します。本人には、検察官の前で被害者への謝罪の気持ちを直接お話ししてもらいます。
2.専門家のサポートを受ける
☑ 好意を抱いている女性の気をひこうとして脅迫事件を起こしてしまった
☑ 人間関係のストレスで精神的に追い詰められて脅迫事件を起こしてしまった
☑ 何をやってもうまくいかずうっぷん晴らしで脅迫事件を起こしてしまった
このようなケースでは、加害者も自分の気持ちをコントロールできず、社会の中で生きづらさを感じていることが少なくありません。
精神科に通院したり、臨床心理士のカウンセリングを受けることによって、認知のゆがみや誤った行動パターンを修正していきます。
【不起訴処分を獲得するために】
弁護士がクリニックの受診証明書や医師の診断書を検察官に提出します。
3.家族に監督してもらう
不良グループや反社会集団の一員として脅迫事件を起こした場合は、組織から離脱することが必要です。組織と縁を切り、生活環境を立て直すためにはご家族の協力が不可欠です。
元彼女など特定の個人に対して脅迫事件を起こした場合は、さらなる接触や連絡がないようご家族にも監督してもらいます。
【不起訴処分を獲得するために】
ご家族に本人をどのように監督していくのかを書面にまとめてもらい、弁護士が検察官に提出します。
4.供託・寄付をする
被害者との間で示談が成立しなかった場合、慰謝料を供託します。
反省の気持ちを示すために慈善団体等へ寄付をすることもあります。
【不起訴処分を獲得するために】
弁護士が検察官に供託書や寄付の証明書を提出します。
脅迫で不起訴・無罪を目指す弁護活動
脅迫事件で脅迫状や脅迫メール等の客観的な証拠がない場合、結局「言った言わない」の争いになることが多いです。そのため、取調べにどのように対応するのかが重要になります。
脅迫していないのに、取調官の圧力に屈してしまい、「脅迫しました」という自白調書をとられてしまうと、刑事裁判で「本当は脅迫していません。」と言っても、検察官から「取調べのときは自白してましたよね?」と突っ込まれ、裁判官にも信用性を疑われてしまいます。
取調官は、否認を続ける被疑者に対してあの手この手で自白するよう働きかけます。不起訴や無罪を目指すのであれば、このような働きかけに屈しないことが重要です。
弁護士が被疑者とひんぱんに接見し、取調官のプレッシャーに屈しないようバックアップします。
脅迫の弁護士費用
1.脅迫の弁護士費用の相場
脅迫の弁護士費用の相場は50万円~80万円です。逮捕されている場合の弁護士費用の相場は60万円~120万円です。
逮捕されているケースでは、弁護士が接見をしたり釈放に向けた活動をする必要があるため、弁護士費用が割高になります。
刑事裁判で無罪を主張する場合は、被害者や関係者への証人尋問等が必要となるため上記の費用よりも高くなることが多いです。
2.脅迫の弁護士費用を節約するポイント
脅迫の弁護士費用にも相場はありますが、かっちり決まっているわけではなく、費用が高い事務所と安い事務所では2倍程度の開きがあります。
「費用が高いが、どこの事務所でも同じだろう。」と安易に契約するのではなく、複数の法律事務所に相談し、弁護士費用の見積もりを出してもらうとよいでしょう。
複数の料金プランを比較するだけで数十万円の弁護士費用を節約できることも多々あります。
3.脅迫の弁護士費用-ウェルネス
ウェルネスの弁護士費用は、脅迫事件が不起訴で終わった場合、トータルで44万円になります(税込)。逮捕されている場合は55万円になります(税込)。
*自白事件の弁護士費用です。
ウェルネスでは弁護士自らSEOやコンテンツ作成を行うことによって、広告費を徹底的に削減しています。弁護士費用に広告費がほとんど上乗せされていないので、他の多くの事務所よりも安い弁護士費用を実現しています。
脅迫に強い弁護士の選び方
1.経験豊富な弁護士
ほとんどの弁護士は民事事件をメインに活動しており、脅迫のような刑事事件に精通している弁護士は少数派です。
脅迫の弁護経験が豊富な弁護士であれば、早期釈放や不起訴を実現するためベストな活動を期待できます。
2.動き出しが早い弁護士
脅迫で逮捕されれば最短で翌日に勾留されるか否かが決まります。弁護活動のスタートが遅れると、打ち手が少なくなってしまいます。
否認事件では逮捕直後に不利な調書をとられてしまうと、挽回することが難しくなります。可能であれば即日接見してくれる弁護士に依頼するとよいでしょう。
3.弁護士費用が安い弁護士
脅迫で不起訴をとるための最短ルートは被害者との間で示談をまとめることです。弁護士費用が高いと予算の大部分を弁護士費用にとられてしまい、肝心の示談金を準備することができなくなってしまいます。
示談の成功率を高めるためにも、弁護士費用の安い事務所に依頼した方がよいでしょう。
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