公然わいせつ

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

 

公然わいせつとは?

公然わいせつの「公然」とは、「不特定または多数の人が認識ができる状態」のことをいいます。現実に不特定または多数の人に見られたことまでは不要です。

 

人がいない路上や公園で男性器を露出しても、いつ人に見られてもおかしくない以上、「公然」の要件を満たしていることになります。

 

公然わいせつの「わいせつ」については、最高裁判所の判例があり、性欲を刺激・興奮させ、人の性的な羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」とされています(最判昭和32年3月13日)。

 

男性器をことさらに露出したり、女性が裸になって煽情的なポーズをとることは、このような意味でのわいせつ行為といえるでしょう。

 

公然わいせつの刑罰

公然わいせつ罪の刑罰は次の4種類です。

 

①懲役1ヶ月~6ヶ月

②30万円以下の罰金

③拘留(1日以上30日未満の身柄拘束)

④科料(1000円以上1万円未満の財産刑)

 

実務では懲役か罰金のどちらかになります。拘留や科料で処罰されることはまずありません。

  

公然わいせつの例

公然わいせつの具体例として以下のようなケースが挙げられます。

 

①公園で男性器を露出した。

②電車内で男性器を露出し、マスターベーションをした。

③コンビニエンスストアで店員に男性器を見せつけた

④男性器を露出した状態でドライブスルーを利用した。

⑤インターネットのライブ配信サービスで女性器を露出した。

 

公然わいせつと逮捕のタイミング

1.現行犯逮捕されるケース

公然わいせつは、目撃者にその場でとりおさえられ、現行犯逮捕(私人逮捕)されることがあります。朝の満員電車や、酔っぱらって夜の電車内で露出したケースでは、現行犯逮捕されることが多いです。

 

2.準現行犯逮捕されるケース

目撃者に追いかけられて準現行犯逮捕されたり、同じエリアで何度も公然わいせつをしているケースでは、事前に警戒していた警察官に見つかり、準現行犯逮捕されることもあります。

 

3.後日逮捕されるケース

公然わいせつの目撃者に、移動に使った車やバイクのナンバーを見られており、後日逮捕されることがあります。防犯カメラや交通系ICカードによって足がつくこともあります。後日逮捕されるタイミングとしては、事件から3~6か月後のことが多いです。

 

公然わいせつと自首

公然わいせつは、人の身体に直接接触しているわけではないため、他の性犯罪に比べて刑罰はかなり軽くなっています。そのため、警察署に自首して、目撃者と再び遭遇しないよう、現場周辺に行かないことを誓約すれば、逮捕を回避できる可能性は非常に高いです。

 

目撃者によって110番通報がされていれば、地域の不審者情報にアップロードされますので、自分のしてしまった事件についての情報があれば、自首を検討した方がよいでしょう。自首の経験豊富な弁護士に相談してみてください。

自首の相談は弁護士へ

 

公然わいせつと逮捕後の流れ

公然わいせつで逮捕されれば、勾留前に釈放させられるかどうかがポイントになります。勾留されると原則10日にわたって拘束されるため、逮捕されたことが勤務先にばれてしまい、懲戒解雇のリスクが生じます。

 

公然わいせつの刑罰はそれほど重くありませんが、被疑者の生活圏と目撃者の生活圏がかぶっていることが多く、検察官や裁判官は「被疑者が目撃者を待ち伏せし、露出ではなく、見間違いだったと供述を変更させようとするのでは?」との懸念を抱いています。

 

弁護士が、被疑者に犯行現場に近づかないことを誓約させ、検察官や裁判官の懸念をカバーできる意見書を提出すれば、勾留前に釈放させられる可能性は高いです。

 

公然わいせつと余罪

公然わいせつは単発で終わることは少なく、近隣で何度も行われることが多いです。そのため、以前に同じエリアで公然わいせつについての110番通報がされている場合は、その公然わいせつについても余罪として追及されます。

 

余罪の公然わいせつについては、もし心当たりがあったとしても、証拠の状況によっては黙秘権を行使して、嫌疑不十分での不起訴を目指すこともあります。刑事事件に精通した弁護士に対応方法を相談するとよいでしょう。

黙秘について

 

公然わいせつで逮捕される確率

2019年に刑事事件として処分された公然わいせつ事件のうち、被疑者が逮捕されたケースは38%です。公然わいせつで逮捕された後、勾留されたケースは53%です。勾留期間は原則10日、最長であと10日間延長可能です。公然わいせつで勾留期間が延長されたケースは55%です。

 

*公然わいせつ罪にはわいせつ物頒布罪も含まれています。

*本ページの数値は2019年検察統計年報に基づいています。

 

公然わいせつで起訴される確率

2019年に検察庁で扱われた公然わいせつ事件のうち、起訴されたケースは61%です。そのうち、略式請求されたケースが78%、公判請求されたケースが22%です。

 

初犯の方の場合、実質的な被害者と示談が成立すれば不起訴、成立しなければ略式請求で罰金になることが多いです。前科(特に性犯罪の前科)があれば、公判請求される可能性が高くなります。

 

公然わいせつの関連犯罪

公共の場所で陰部以外のお尻や太もも等を、人に嫌悪感を与えるような仕方で露出した場合は、軽犯罪法違反(1条20号)になります。罰則は拘留または科料です。

 

公然わいせつを認めて不起訴を獲得する方法

1.示談をする

公然わいせつは、社会の健全な性的秩序を保護する犯罪です。強制わいせつや強姦のように、個人の性的自由を保護しているわけではありません。そのため、理屈の上では、公然わいせつの目撃者は被害者ではないということになります。

 

もっとも、通行人のいない路上で、特定の女性に対して男性器を見せつけた場合のように、実質的には目撃者を被害者とみなせることも少なくありません。このようなケースでは、事実上の被害者と示談することによって、不起訴になる可能性が高くなります。

 

捜査機関は公然わいせつの加害者に目撃者の電話番号を教えてくれませんので、示談交渉は弁護士が行うことになります。公然わいせつの目撃者は事件によって大きなショックを受けていますので、弁護士には交渉全般を通じて、被害者の気持ちに細やかに配慮した姿勢が求められます。 

 

【不起訴処分を獲得するために】

弁護士が示談書や示談金の領収書を検察官に提出します。

 

2.専門家の援助を受ける

公然わいせつの常習者のなかには、露出をやめたいと思いながら、自分自身をコントロールできず、同じ過ちを繰り返してしまう人が少なからずいます。

 

そのような方に対しては、専門家の助けが必要です。クリニックに通ったりカウンセリングを受けたりすることによって、ご自身の衝動を制御できるようになってもらいます。

 

また、公然わいせつのような非接触型の性犯罪をしてしまう方のなかには、「触っていないのだから、女性はそれほど傷ついていない。」と誤った捉え方をしている人もいます。専門家のカウンセリングを受けることにより、認知の歪みを修正していきます。

 

【不起訴処分を獲得するために】

弁護士が医師の診断書や病院の領収証、本人が作成した報告書などを検察官に提出します。

 

公然わいせつは、非接触型の犯罪で心理的なハードルが低く、検挙された方のなかには、それほど犯罪傾向が進んでいない人もいます。

 

ただ、公然わいせつを繰り返しているうちに、感覚がマヒしてしまい、強制わいせつや強制性交等といった接触型の性犯罪に及んでしまう人もいます。

 

警察に検挙された時点で、カウンセリング等を受けきっちり治療してもらった方がよいでしょう。

 

3.公然わいせつの意見書を作成する上でのポイント

公然わいせつの目撃者との間で示談が成立した場合、弁護士が意見書でそのことについて触れるだけでは十分ではありません。公然わいせつは、性的秩序という社会的法益を保護しているため、示談という形で目撃者個人に許してもらっても、不起訴に直結するわけではないからです。

 

ウェルネスの弁護士は、多数の公然わいせつ事件を扱ってきましたが、多くの方は、「誰でもいいので多くの人に見られたい。」と思って露出するのではなく、近くにいる特定の女性に狙いを定めて露出を行っていました。

 

ただ、露出をした場所が、電車内や路上など「不特定多数の人間が認識しうる」場所だったため、公然わいせつで立件されていました。

 

このように、特定の女性に狙いを定めて、公共の場所で露出する行為は、「ひわいな言動」として、迷惑防止条例違反に問われるべきです。

迷惑防止条例違反(ひわいな言動)

 

本人が主観的に特定の女性に狙いを定めて、客観的にもその女性に対して男性器を露出している以上、結果的に不特定多数が認識しうるものであったとしても、それは犯罪の本質的要素ではないからです。

 

迷惑防止条例違反であれば、社会的法益ではなく、個人的法益を保護する犯罪であることから、示談はより重視されることになります。

 

ウェルネスの弁護士は意見書でこのように主張しています。また、特定の女性に露出したケースでは、依頼者が取調べを受ける際、取調官に対して「誰でもいいと思って露出したのではなく、特定の女性に狙っていた」ことを強調するようアドバイスしています。

 

4.その他の弁護活動

① 寄付をする

示談が成立しなかった場合、反省の気持ちを示すために慈善団体などへ贖罪寄付(しょくざいきふ)をします。弁護士が寄付したことの証明書を検察官に提出します。

 

②ご家族に協力してもらう

ご家族に本人を監督するよう約束してもらいます。不起訴を獲得するため、ご家族に監督プランをまとめた陳述書を作成してもらい、弁護士が検察官に提出します。

 

公然わいせつを否認して不起訴・無罪を獲得する方法

1.捜査機関に自白調書をとらせない

公然わいせつ事件において、防犯カメラなどの客観的な証拠がなければ、被疑者と目撃者(と称する人物)の供述以外に目ぼしい証拠はないということになります。そのため、刑事裁判では、「本人がどのようなことを言っているのか」が大きなポイントになります。

 

例えば、本人が本当は男性器を露出していないにもかかわらず、取調べの際、捜査機関の圧力に屈してしまい「露出しました。」と心ならずも自白してしまったとします。

 

その場合、後の刑事裁判において、「自分は露出していません。」と言ったとしても、検察官から「取調べのときは自白してましたよね?」と突っ込まれ、裁判官にも信用性を疑われてしまいます。

 

捜査機関は、否認を続ける被疑者に対して、あの手この手を使って自白するよう働きかけます。嫌疑不十分での不起訴や無罪判決を目指すのであれば、このような働きかけに屈しないことが重要になります。弁護士がご本人とひんぱんに接見し、捜査機関のプレッシャーに屈しないよう継続的にバックアップしていきます。

 

2.目撃者の供述の信用性を争う

公然わいせつ事件において、防犯カメラなどの客観的な証拠がなければ、「目撃者の言っていることが信用できるか否か」も大きなポイントになります。

 

人間の記憶は時の経過とともに衰えていくものですが、取調べが進むにしたがって目撃者の供述がより詳しくなっていく ことがあります。また、複数の供述調書の間で、同一の場面についての供述内容が不自然に変化していることもあります。

 

これらは取調官による誘導や目撃者の迎合的態度を示しています。弁護士が被害者の供述調書を検討したり反対尋問を行うことによって、これらの不合理な変遷を明らかにします。

否認事件の刑事弁護 

 

オーダーメイドの弁護活動

このページでご紹介している弁護方針は一つの例にすぎません。たとえ犯罪の種類が同じでも、事件が異なれば、求められる弁護活動も違ってきます。ウェルネスでは、数多くのノウハウに基づき、一つ一つの事件に対応した完全オーダーメイドの弁護活動を行います。

 

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