大麻

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

大麻に関する犯罪と刑罰

大麻を所持したり、他人に譲り渡したり他人から譲り受けたりすると、大麻取締法違反となり、5年以下の懲役になります。大麻を栽培したり、輸出・輸入した場合は、7年以下の懲役になります。

 

いずれも営利目的があれば刑罰が重くなります。大麻の場合は、覚せい剤と異なり、使用については処罰されません。

 

営利目的なし

営利目的あり

所持

年以下の懲役

年以下の懲役

*情状により200万円以下の罰金を併科

譲渡・譲受け

栽培

 

年以下の懲役

 

10年以下の懲役

*情状により300万円以下の罰金を併科

輸入・輸出

*押収された大麻は没収されます。

 

大麻事件の逮捕率は63%

2019年に処分された大麻取締法違反で、被疑者が逮捕されたケースは63%です。逮捕後に勾留されたケースは95%です。

 

勾留期間は原則10日で最長20日まで延長可能です。10日を超えて延長されたケースは70%です。逮捕されると勾留を防ぐことは難しいですが、勾留延長を阻止できる余地は十分にあるでしょう。

*本ページの数値(%)は2019年版検察統計年報に依拠しています。

  

大麻事件と逮捕のされ方

大麻所持と逮捕

捜査員が自宅や車を捜索したり、所持品検査をして大麻らしき物を発見すると、簡易鑑定をして、陽性反応が出れば大麻所持の現行犯で被疑者を逮捕します。

 

大麻譲渡・譲受けと逮捕

大麻譲渡・譲受けのケースでは、密売人のスマートフォンから大麻取引についてのやりとりが発見されたり、密売人の自供により、芋づる式に逮捕されます。

 

大麻栽培と逮捕

自宅の中や敷地を捜索され大麻草らしき物が発見されれば、押収されて科捜研に送られます。大麻草はそのまま鑑定することはできません。まず葉を採取して乾燥させた後に大麻かどうかを鑑定します。乾燥大麻のようにその場で簡易鑑定をすることはできませんので、現行犯逮捕はされません。

 

鑑定結果が出るまで通常、3~4週間かかります。大麻であることが判明すれば通常逮捕されることになります。

 

大麻を栽培している人は、同時に、乾燥大麻も所持していることが多いです。そのようなケースでは、発見した乾燥大麻をその場で簡易鑑定し、陽性反応が出れば大麻所持で現行犯逮捕し、後日、大麻栽培で再逮捕することになります。

 

大麻輸入と逮捕

空港の税関検査で手荷物の中に大麻が含まれていることが判明し、密輸入したとして空港で逮捕されることがあります。また、個人が自分で利用するために海外から国際郵便で大麻を送ってもらった際、税関検査で見つかり逮捕されることもあります。

 

大麻で起訴された確率は51%

2019年に検察庁で取り扱われた大麻取締法違反のうち、起訴されたケースは51%です。覚せい剤取締法違反(76%)と異なり、使用だけでは起訴できないため、起訴率は低めになっています。

 

不起訴になりやすいケースとして、大麻所持の事案で所持していた大麻の量が少ない場合が挙げられます。所持していた大麻が0.5グラム以下であれば起訴猶予で不起訴になる余地が十分にあります。

 

また、譲渡・譲受けの事案で、関係者の供述以外に証拠がない場合は、嫌疑不十分で不起訴になることも考えられます。

 

大麻と執行猶予

大麻所持のケースでは、初犯の方の場合、起訴されても執行猶予判決になる可能性が高いです。薬物犯罪の前科があったり、執行猶予中の場合は、実刑判決の可能性が高くなります。

 

営利目的で大量の大麻を所持・栽培していたケースや、大量の大麻を密輸入しようとしたケースでは、初犯の方でも実刑になることがあります。

 

大麻事件の弁護活動(罪を認める場合)

1.勾留延長を阻止する

大麻は通常小分けにされているので、トイレに流すなどして証拠隠滅することが容易です。本人が大麻の取引相手と口裏合わせをすることも考えられます。

 

そのため、大麻取締法違反の被疑者は、「証拠隠滅のおそれが高い」として逮捕・勾留されやすいです。勾留期間は原則10日ですが、最長10日の範囲で延長されることが多いです。

 

大麻の単純所持で共犯者がいなければ、勾留延長を阻止できることも少なくありません。弁護士が、勾留延長の理由がないことを意見書にまとめて検察官や裁判官に提出します。

 

2.保釈させる

大麻取締法違反で逮捕・勾留された後、起訴されれば、保釈請求を行うことができます(起訴「前」に保釈請求をすることはできません)。保釈を審査する裁判官は、「保釈すればまた大麻に手を出すのではないか?」と考えます。

 

そのような疑いを抱かせないようにするため、身元引受人に本人をしっかり監督してもらうことが必要です。初犯の場合、起訴前から保釈の準備をしておけば、起訴直後に保釈できることが多いです。

 

【起訴されたら】

弁護士が裁判所に保釈を請求します。

 

3.反省と更生の意欲を裁判所に示す

大麻は合法化されている国もあるため、違法性の認識が希薄な人が多いです。天然のもので副作用がないと誤解している人もいます。大麻についての文献を読む等して危険性を理解し、反省を深めてもらいます。

 

また、違法薬物と縁を切るためには、裁判官の前で入手ルートについて知っていることをすべて話し、身近に大麻がある環境と決別することが必要です。

 

【起訴されたら】

弁護士が本人の反省文を裁判所に提出します。被告人質問本人に大麻の危険性や再発防止の決意について述べてもらいます。

  

4.専門家のサポートを受ける

薬物犯罪は他の犯罪に比べて、再犯率が非常に高いことが特徴です。依存症になってしまうと自分の力だけで立ち直るのは困難です。専門のクリニックに通院し回復プログラムを受診したり、グループミーティングに参加して薬物依存への対処法を身に付けてもらいます。

 

【起訴されたら】

弁護士が、医師の診断書やカルテなどを証拠として提出します。

 

5.家族にサポートしてもらう

薬物への依存から立ち直るためにはご家族の支援も不可欠です。ご家族にも薬物依存症者の家族向けミーティングや保健所の家族支援プログラムに参加してもらい、本人への対処法を身につけてもらう必要があります。ご家族には最も身近な人間として本人の更生をサポートしてもらいます。

 

【起訴されたら】

ご家族に情状証人として出廷してもらいます。

 

6.検察官に即決裁判の申立てを求める

即決裁判とは、争いのない単純な事件について、通常の裁判よりも迅速に審理するための手続です。大麻取締法違反が即決裁判で審理されると、原則として起訴から2週間以内に初公判がセッティングされ、その日のうちに執行猶予判決が下されます。 

 

通常裁判に比べて刑事手続から早く解放され、確実に執行猶予になることが保証されますので、実刑判決の不安から解放され、社会復帰に専念することができます。

 

即決裁判を申し立てることができるのは検察官のみですが、弁護士が検察官に対して、即決裁判を申し立てるよう職権発動を促します。次の要件を全て満たす場合は即決裁判になる余地が十分にあります。

 

①営利目的のない単純所持

②逮捕当初から容疑を認めている

③大麻の栽培や覚せい剤等の余罪がない

④前科・前歴がない

即決裁判とは?流れや略式裁判との違いをわかりやすく解説

 

大麻事件の弁護活動(無罪を主張する場合)

1.違法捜査を根拠として無罪を主張する

警察が大麻を押収する過程で違法な行為があれば、違法捜査の抑止などの観点から、押収した大麻やそれに基づき作成された鑑定書などが裁判の証拠として使えなくなる場合があります(違法収集証拠の排除)。

違法収集証拠の排除について弁護士が解説

 

 

違法な捜査機関の行為として、以下のようなケースが考えられます。 

 

①警察官が本人を羽交い絞めにして、衣服の中から大麻を取り上げたケース

②警察官が令状なしに、本人が拒絶しているにもかかわらず、本人の自動車の中を探索し、大麻を取り上げたケース

 

押収した大麻は、被告人が大麻を所持していたことを証明する最も重要な証拠です。裁判で大麻や鑑定書を証拠として使えなければ、結果的に無罪判決が下されることになります。

 

弁護士としては、捜査機関の行為に行きすぎがなかったかを細かくチェックし、もし違法性があれば、「押収した大麻等を証拠から除外すべきである」と主張します。

 

2.捜査機関に自白調書をとらせない

第三者の供述に基づき、大麻の譲渡または譲受けで逮捕されたものの、本人の周辺から大麻や売買記録なが発見されていない場合、本人と第三者の供述以外に目ぼしい証拠はないということになります。そのため、刑事裁判では、本人が何を言っているかがポイントになります。

 

例えば、被疑者が本当は大麻を譲渡していないにもかかわらず、取調べの際、捜査機関の圧力に屈してしまい「自分が大麻を譲渡しました」と心ならずも自白してしまったとします。

 

その場合、後の刑事裁判において、「大麻を譲渡していません」と言ったとしても、検察官から「取調べのときは自白してましたよね?」と突っ込まれ、裁判官にも信用性を疑われることになります。

 

捜査機関は、否認を続ける被疑者に対してあの手この手を使って自白するよう働きかけます。不起訴処分や無罪判決を目指すのであれば、このような働きかけに屈しないことが重要になります。

 

大麻の譲渡・譲受けや共同所持で逮捕されたケースや大麻を輸入したとして空港で逮捕されたケースでは、黙秘したり、調書への署名を拒否することにより、不起訴処分を獲得できる余地があります。

否認事件の刑事弁護

 

大麻事件で弁護士を選ぶタイミング

一般の刑事事件では、在宅捜査をしてから逮捕するという流れをたどることが多いですが、大麻事件では家宅捜索で大麻が発見されれば、その場で現行犯逮捕されます。そのため、前もって本人が弁護士に相談しているケースはまれです。

 

逮捕されればできるだけ早く弁護士をつけた方がよいでしょう。ご本人が弁護士を選任する場合は、留置場の中から当番弁護士や国選弁護人を呼ぶことになります。

 

私選弁護士を選任するのであれば、ご家族が積極的に動くことになります。

逮捕後に弁護士に連絡する方法と弁護士費用について

 

大麻事件の弁護士費用の相場

大麻事件で逮捕・起訴された場合、弁護士費用の相場は100万円~200万円程度になります(税別)。不起訴で終わればこれより安くなることも多々あります。

 

逆に、違法捜査等を主張して刑事裁判で無罪を争う場合は上記の費用よりも割高になることが多いです。

 

保釈金(150万円~200万円程度)は弁護士費用とは別に用意する必要がありますが、保釈支援協会や弁護士協同組合を利用することができれば、全額準備する必要はありません。

 

ウェルネスの弁護士費用は、起訴された場合で総額90万円になることが多いです(税別)。

刑事事件の弁護士費用が安い法律事務所

 

【大麻のページ】

大麻事件の解決事例

カップルが覚せい剤・大麻で逮捕されたケースで気をつけること

大麻事件のご質問

刑事事件の法律相談24時間受付

03-5577-3613

お問い合わせ

オーダーメイドの法律事務所

ウェルネス法律事務所

【大きい地図を見る】