即決裁判

 

即決裁判とは

即決裁判とは、通常の裁判に比べて簡単な手続きで、迅速に審理・判決を行う手続です。

 

 

即決裁判のメリット

(1)進行が速い

通常裁判では、起訴してから初公判が開かれるまで1ヶ月程度かかります。これに対して、即決裁判では、できる限り、起訴した日から2週間以内に初公判を開かないといけません。

 

また、通常裁判では、初公判のみ審理が終了する場合でも、その日に判決が言い渡されることはほとんどありません。初公判の1、2週間後にもう一度裁判所に行って、判決の言い渡しを受けることになります。これに対して、即決裁判では、できる限り、初公判と同じ日に判決を言い渡さないといけません。

 

このように、即決裁判では、通常裁判に比べ、短期間で刑事手続から解放されることになります。

 

(2)必ず執行猶予がつく

即決裁判で懲役刑または禁錮刑を言い渡す場合は、必ず執行猶予をつけなければいけません。

 

通常の裁判では、弁護士から「執行猶予の可能性が高いので安心してください」と言われても、確実な保証があるわけではありません。「そうはいっても実刑になるんじゃないか」と不安に思うものです。

 

これに対して、即決裁判では、懲役・禁錮の場合、確実に執行猶予がつくことがわかっているため、実刑判決の不安から解放されます。

 

 

即決裁判のデメリット

(1)事実誤認を理由とする控訴ができなくなる

即決裁判は、争いのない事件について簡単な手続で迅速に審理を行うための制度です。もし、即決裁判で下された判決について、事実誤認を理由として控訴できれば、即決裁判の意味がなくなってしまいます。そのため、即決裁判では事実誤認を理由とした控訴はできません。

 

もともと、即決裁判にするためには、被疑者や弁護士の同意が必要となるため、そのような制限を課しても問題ないと考えられています。

 

(2)感銘力が高くない

即決裁判は原則として、起訴から2週間以内に判決が言い渡されます。懲役・禁錮の場合は、必ず執行猶予が付され、刑務所行きになることはありません。

 

そのため、人によってはじっくりと反省を深めることがないまま、社会に復帰し、再び同じ犯罪に手を染めてしまうこともあります。

 

 

即決裁判の対象となる事件

(1)重大事件以外の事件

法律で以下の刑罰が定められている事件については即決裁判を利用することができません。

①死刑

②無期懲役

③下限が1年以上の懲役・禁錮

 

このような重大事件については、慎重な審理が必要となるので、即決裁判になじまないためです。

 

(2)即決裁判で審理することが相当な事件

「相当」といえるかどうかは以下のような事情を総合的に考慮して判断されます

①犯罪事実が認定されることが明らかなこと

②犯情が軽微なこと

③証拠調べが速やかに終わる見込みであること

 

 

即決裁判の要件

即決裁判を申し立てるためには次の要件を満たすことが必要です。

 

(1)本人の同意があること

即決裁判には事実誤認を理由とする上訴ができない等のデメリットもあることから、利用するためには本人の同意が必要とされています。そのため、自己の意思に反して、即決裁判を強制されることはありません。

 

同意は口頭ではなく書面でなされる必要があります。

 

一度同意しても、判決言渡しまではいつでも撤回することができます。同意を撤回した場合は、即決裁判は取り消され、通常裁判に移行します。また、有効な同意の前提として、検察官が即決裁判について、本人に説明することも必要とされています。

 

(2)弁護士の同意があること

即決裁判を利用するためには弁護士の同意も必要です。弁護士が反対意見を表明していない限り、積極的な同意がなくても、検察官は即決裁判を申し立てることができますが、その場合、弁護士は同意するか否かを速やかに明らかにしなければいけません。

 

(3)本人が初公判で有罪であると認めること

即決裁判は、争いのない事件について簡易な手続きで審理する制度です。本人が無罪を主張する場合は、本格的な審理が必要になるので、即決裁判の申立てを却下し、通常裁判で審理することになります。

 

 

即決裁判-誰が申し立てるの?

即決裁判を申し立てることができるのは検察官のみです。本人や弁護士の方から申し立てることはできません。ただ、弁護士が検察官に対し、即決裁判の要件を満たすことを主張して、即決裁判を申し立てるよう促すことはできます。

 

 

即決裁判と弁護士

即決裁判では、判決に不満があっても事実誤認を理由として控訴することはできません。このように、即決裁判は本人にとって不利益な面もあることから、弁護士がいなければ即決裁判で審理をすることができないとされています。

 

検察官が即決裁判の申立てをした場合、もし本人に私選弁護士がいなければ、国選弁護士が選任されます。

 

 

みんなが急ぐ即決裁判

(1)裁判所

検察官から即決裁判の申立てがあった場合は、裁判長は、できる限り申立てから14日以内に公判の期日を定めなければいけません。実際は、検察官が即決裁判の申立てをする1、2日前に裁判所に報告し、申立て前に裁判所書記官から弁護士に期日の仮押さえの連絡が入ることが多いです。

 

判決についても、できる限り公判期日と同じ日に言い渡さないといけません。

 

(2)検察官

検察官は、即決裁判の申立てをしたときは、できるだけ早く、被告人・弁護士に対し、証拠を開示しなければいけません。通常裁判であれば、起訴されてから検察側の証拠が開示されるまで約3週間かかりますが、即決裁判では1週間以内に開示されることがほとんどです。

 

(3)弁護士

弁護士としても、速やかに検察側の証拠を検討し、弁護側の立証準備を行うことが必要です。

 

 

即決裁判と保釈

保釈が認められるためには、証拠隠滅のおそれがないことと逃亡のおそれがないことが大前提になります。

 

(1)証拠隠滅のおそれ

検察官が即決裁判を申し立てたということは、有罪認定が容易な事件であり、本人も事実関係について争っていないと思われます。そのようなケースでは、証拠隠滅のおそれは低いと言えるでしょう。

 

(2)逃亡のおそれ

即決裁判では、原則として2週間以内に判決が下され、懲役・禁錮の場合は必ず執行猶予がつきます。そのようなケースで逃亡するおそれが高いとはいえないでしょう。

 

したがって、即決裁判の場合は、通常裁判に比べて、保釈の成功率は高くなります。

 

 

即決裁判の流れ(イメージ)

7月1日

逮捕

7月3日

検察官による勾留請求

7月4日

裁判官による勾留決定

7月20日

被疑者が検察庁で即決裁判の説明を受け、同意書に署名・押印する

7月21日

弁護士が検察庁で即決裁判の同意書に署名・押印する

7月22日

起訴+即決裁判の申立て

8月1日

初公判→判決言渡し

 

 

即決裁判の利用状況

即決裁判は決して多く利用されているわけではありません。平成28年に全国の地方裁判所で取り扱った事件のうち、罪名別に即決裁判になった割合をみていくと、上位5番目までの犯罪は以下の通りです。

 

 

終局総人員

即決裁判

即決裁判の割合

大麻取締法違反

1228

101

8.2%

入管法違反

557

27

4.8%

麻薬及び向精神薬取締法違反

270

10

3.7%

風営法違反

67

2

3%

覚せい剤取締法違反

9214

182

2%

 

薬物関係が目立ちますが、薬物事犯は被害者のいない犯罪であり、本人の供述と薬物の鑑定書が犯罪立証のための主要な証拠になります。そのため、本人が自白していれば事案が明白といえ、即決裁判になじむといえます。

 

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