- トップ
- > 保釈を弁護士に相談-保釈金・申請が通る確率・保釈の流れ
保釈を弁護士に相談-保釈金・申請が通る確率・保釈の流れ
保釈を検討されている方は、次のような疑問を抱かれていることでしょう。
☑ 保釈の要件は?
☑ 保釈の流れは?
☑ 保釈申請が通る確率は?
☑ 保釈金の相場は?
☑ 保釈金を払えない場合はどうする?
☑ 保釈の弁護士費用の相場は?
このような疑問を抱かれている方のために、刑事事件の経験豊富な弁護士が保釈について知っておきたいことを解説しました。ぜひご参考にしてみてください!
このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。
目次
保釈とは
保釈とは保釈保証金(保釈金)を裁判所に預けることを条件として、被告人の勾留を停止し、判決の日まで釈放することです。
弁護士が保釈請求書を裁判所に提出して保釈を申請します。被告人や家族が保釈を申請することもできますが、弁護士なしで保釈請求書を作成することは難しいため、弁護士が申請するのが通常です。
保釈請求できるのは、起訴された後に限られます。逮捕されればいつでも保釈請求できると思っている人がいますが、起訴前の被疑者は保釈請求できませんのでご注意ください。
保釈はなんのため?
保釈の制度はなんのために認められているのでしょうか?理由として以下の2つが挙げられます。
1.無罪推定の原則
被告人は裁判で有罪判決を受けるまでは無罪であると推定されます(無罪推定の原則)。無罪が推定されるのであれば、勾留するのは筋が通らないように思えます。
もっとも、被告人が逃亡したり証拠隠滅をすれば、公正な裁判を実施できませんので、逃亡や証拠隠滅を防ぐために勾留しているということになります。
そのため、逃亡や証拠隠滅のおそれが小さい場合は、保釈という形で拘束を解くことが認められているのです。
2.被告人の不利益回避
被告人は、被疑者のように捜査の対象となる存在ではなく、裁判の当事者です。そのため、裁判に向けてさまざまな準備をしなければなりません。
しかし、勾留されていれば十分な準備をして裁判に臨むのが難しくなります。
また、勾留されていれば、病気の治療を受けることができなかったり、仕事を解雇されたり、子供の養育に支障が生じるなど、様々な不利益が生じます。そのような不利益を回避させるために保釈が存在するのです。
保釈と釈放の違いは?
保釈も身柄が解放されるという意味では釈放の一つですが、起訴「後」に保釈金の納付を条件としてなされるという点で通常の釈放と異なります。
また、通常の釈放はいつまで釈放されるという期限が決まっているわけではありませんが、保釈は「判決が言い渡される日まで」と期限が決まっているのが特徴です。
保釈には3つの種類がある
保釈には権利保釈・裁量保釈・義務保釈の3つの種類があります。
1.権利保釈とは
保釈請求があったときは、重大犯罪で起訴されている等、法律で定められた6つの例外(「除外事由」といいます)のどれかにあたらない限り、裁判所は必ず保釈を許可しなければなりません。これが権利保釈です。
2.裁量保釈とは
裁判所は、被告人の逃亡や証拠隠滅のおそれの程度、勾留が続くことによる不利益等を考慮し、適当と認めるときは保釈を許可します。これが裁量保釈です。
⇒裁量保釈とは?保釈につながる5つの特別の事情を弁護士が解説
3.義務保釈とは
勾留が不当に長く続いた場合は、裁判所は保釈を許可しなければなりません。これが義務保釈です。もっとも、義務保釈が許可されることはまずありません。
【まずは権利保釈】 裁判所は、①権利保釈を許可すべきか→②(権利保釈を許可すべきでないと判断したときに)裁量保釈を許可すべきかという順番で判断します。
そのため、明らかに権利保釈の除外事由に該当する事件を除いて、弁護士も保釈請求書の前半に権利保釈について書き、後半に「もし権利保釈が認められなければ」という但書をつけて、裁量保釈について書き進めます。 |
保釈の期間はどれくらい?
保釈は判決が言い渡された瞬間に効力を失います。そのため、保釈されている期間は、保釈金を納付して釈放された日から判決言渡しの日までです。
起訴直後に保釈された場合、判決までの期間はおおむね2か月です。そのため、保釈期間も2か月ほどになります。否認事件や追起訴されたケースでは裁判はもっと長くなります。そのため、保釈期間が半年以上になることもあります。
保釈中にやってはいけないこと
保釈が許可されると裁判所から保釈許可決定書が被告人のもとに郵送で届きます。保釈許可決定書には保釈中に被告人が守るべきルール(保釈条件)が書かれています。
このルールに違反することが「保釈中にやってはいけないこと」です。保釈中にやってはいけないことは、どの事件でもほぼ同じです。具体的には以下の5つが挙げられます。
① 保釈の際に住むと決めた住居(制限住居)に住まない
② 病気などの正当な理由がないのに公判に出頭しない
③ 逃亡や証拠隠滅と思われる行為をする
④ 裁判所の許可なく海外旅行をしたり、2泊3日以上の国内旅行をする
⑤ 弁護士を介することなく被害者や事件の関係者に接触・連絡する
保釈中にやってはいけないことをしてしまうと、保釈が取り消されるリスクがあります。保釈が取り消されると保釈金も没収されます。
元日産CEOのカルロス・ゴーンは海外逃亡したため保釈金15億円を全額没収されました。
保釈金の相場はいくら?
保釈金とは、保釈が許可された後に釈放の条件として裁判所に納めるお金です。正式には「保釈保証金」といいます。保釈金の額は事件によって異なりますが、最低で150万円、平均で200万円が相場です。
被告人が資産家であったり、重大犯罪で長期の実刑判決が予想されるケースでは、保釈金は200万円よりも高くなります。これまでの保釈金の最高額は20億円です。
保釈金の金額は保釈申請が許可された際に同時に言い渡されます。
保釈金はどうなる?いつ戻る?
1.全額返金される
被告人が保釈条件に違反しなければ、保釈金は全額返金されます。手数料が引かれることもありません。有罪でも無罪でも判決の内容にかかわらず全額戻されます。
保釈金は「もし保釈条件を破ると没収するぞ!」と被告人にプレッシャーをかけて保釈条件を守らせるためのお金です。そのため、被告人が最後まで保釈条件を守ったのであれば、当然に返金されるべきということになります。
2.判決言渡し後に戻る
保釈金が戻ってくるタイミングは、判決言渡しの2,3営業日後のことが多いです。年末年始や連休をはさまない限り、戻ってくるまで1週間以上かかることはないでしょう。
保釈金は裁判所からまず弁護士の口座に返金されます。その後、弁護士が依頼者の口座に振り込むことになります。
保釈金を払えない場合はどうする?
保釈金を用意できないときは日本保釈支援協会か全弁協(全国弁護士協同組合連合会)の利用を検討することになります。
1.日本保釈支援協会
日本保釈支援協会とは、保釈金を用意できない方のために保釈金を貸してくれる民間の団体です。被告人の家族や親族が保釈支援協会に申し込み、審査に通れば保釈金を貸してもらえます。
2.全弁協
保釈金を用意できない場合、家族や親族が全弁協に保釈保証書の発行を申し込むことができます。保釈保証書は保釈金の代わりになるもので、裁判所に提出すると保釈金を納めた場合と同様に扱われます。
日本保釈支援協会 | 東京都中央区日本橋兜町14−10 兜ビル8階 | 03-3663-6655 |
全弁協 | 東京都千代田区霞が関1丁目1−3 弁護士会館 | 03-3580-0806 |
保釈申請が通る確率は?
保釈保釈申請が通る確率に影響を与える事情として次のようなものがあります。
事情 | 保釈申請が通る確率 |
単独犯か共犯事件か | 単独犯であれば共犯者との口裏合わせがないため、保釈の確率が上がります。 |
自白しているか否認しているか | 自白していれば証拠隠滅の動機がないといえるため、保釈の確率が上がります。 |
被害者の氏名や連絡先、勤務先を知っているか? | 被害者の個人情報を知らなければ、自分に有利な供述をさせようとして被害者に接触する可能性が低いといえるので、保釈の確率は上がります。 |
被害者と示談が成立しているか否か | 示談が成立していれば、お礼参りのおそれが小さいといえるので保釈の確率が上がります。 |
客観的な証拠が充実しているか | DNA鑑定、尿鑑定、防犯カメラなど信用性の高い客観的証拠がそろっていれば、証拠隠滅の余地がないため、保釈の確率は上がります。逆に供述調書以外にめぼしい証拠がない場合は保釈の確率が下がります。 |
執行猶予が見込まれるか | 執行猶予が見込まれるのであれば、逃亡のおそれが低いといえるため、保釈の確率が上がります。 |
保釈中に同居してくれる家族がいるか | 家族に監督してもらえるので、保釈の確率が上がります。恋人や友人よりも家族の方が確率が上がります。 |
初公判で起訴事実を認めているか | 初公判で起訴事実を認めていれば、証拠隠滅の動機がないといえるため、保釈の確率が上がります。 |
検察官の証拠調べが終わっているか | 検察官の証拠調べが終わっていれば証拠隠滅の余地がないため、保釈の確率が高くなります。 |
【事件別】保釈申請が通る確率
罪名 | 保釈申請が通る確率 |
覚醒剤取締法違反 | 自白していれば起訴直後に保釈申請が通る確率が高い |
大麻取締法違反 | 自白していれば起訴直後に保釈申請が通る確率が高い |
強制わいせつ | 自白していれば起訴直後に保釈申請が通る確率が高い。 被害者が知人の場合は成功率がやや低くなる。 示談が成立していれば成功率は非常に高くなる。 否認している場合は被害者の証人尋問まで保釈が認められないことが多い。 |
強制性交 | 自白していても起訴直後に保釈申請が通る確率は50%を下回る。 被害者が知人の場合は成功率が低くなる。 示談が成立すれば成功率が高くなる。 否認している場合は最後まで保釈が認められないこともある。 |
特殊詐欺 | 自白していれば起訴直後に保釈申請が通る余地が十分にある。 示談が成立すれば成功率が高くなる。 起訴前に黙秘・否認していれば検察側の証拠調べが終わるまでは成功率は低い。 |
保釈が認められないケース
1.証拠隠滅のおそれ
保釈が認められない理由として圧倒的に多いのが証拠隠滅のおそれです。一般的に次の事情があれば証拠隠滅のおそれが大きいと判断され、保釈が認められない可能性が高まります。
・否認しているとき
・共犯事件のとき
・客観的な証拠が少ないとき(供述証拠が多いとき)
・被告人が被害者の住所や連絡先を知っているとき
・被害者の証人尋問が終わっていないとき
2.保釈の成功率は上がっていく
証拠隠滅のおそれは、裁判が進むにつれて小さくなっていきます。公判を重ねるたびに検察側の証拠が取り調べられていきますが、調べ終わった証拠は隠滅のしようがないからです。
そのため、裁判が進行するにつれ証拠隠滅のおそれは小さくなり、保釈の成功率が上がっていきます。特に検察側の証人尋問が終わると、証人に働きかけて自己に有利な供述をさせる意味がなくなりますので、保釈の成功率がいっきに上がります。
実刑確実だと保釈されない?
実刑確実だからといって保釈されないわけではありません。もっとも10年以上の実刑が予想されるケースであれば保釈は難しくなります。5,6年であれば、保釈が許可されることは多々あります。
保釈中の被告人に実刑判決が言い渡されると保釈はその瞬間に失効します。そのため、判決言渡し後、そのまま身柄を拘束されて拘置所に移送されます。
保釈の流れ
保釈請求をすると2,3営業日で結果が出ることが多いです。年末年始や連休でもない限り1週間たっても結果が出ないということはありません。保釈請求した後の流れは次の通りです。
【保釈請求後の流れ】
①検察官に意見を求める
弁護士が保釈請求をすると裁判官が検察官に保釈を許可すべきか否かついて意見を求めます。
②検察官が意見を出す
検察官は書面で意見を述べます。意見の種類は次の3つです。
| 意味 |
保釈請求を相当と思料する | 保釈してもよい |
保釈請求を不相当と思料する | 保釈すべきでない |
保釈請求をしかるべくと思料する | 裁判官の判断に任せます |
検察官は「不相当」の意見を述べた場合、その理由を書面に記載して裁判所に提出する必要があります。
⇒検察官の保釈意見とは?3つのタイプと活用方法を弁護士が解説
③弁護士が裁判官と面接する
弁護士が希望すれば担当の裁判官と面接することができます。この面接で裁判官から、「保釈金はもう少し上げられないですか?」等と保釈金についての話がでれば、保釈請求は許可されます。
逆に保釈金について話題にのぼらなければ保釈請求は却下されます。そのため弁護士が裁判官と面接を終えた時点で、保釈請求が許可されるか却下されるかがわかります。
④保釈についての決定が出る
弁護士が裁判官と面接した当日に保釈についての決定が出ます。
保釈が許可された後の流れ
被告人が実際に釈放されるのは、保釈許可決定が出て、裁判所に保釈金を納付した後になります。細かく言うと、弁護士が裁判所に保釈金を納付してから1~2時間後に釈放されます。
一刻も早く釈放させるため、通常は、保釈請求をする時点で弁護士が被告人の家族から保釈金の見込み額を預り、許可された後に保釈金を電子納付します。
【進行イメージ】
2月5日午後1時 | 起訴 |
2月5日午後3時 | 弁護士が裁判所に保釈請求書を提出 |
2月5日午後5時 | 裁判官が検察官に意見を求める |
2月6日午後3時 | 検察官が裁判官に意見書を提出 |
2月7日午後1時 | 弁護士が裁判官と面接 |
2月7日午後3時 | 保釈許可決定 |
2月7日午後3時30分 | 弁護士が保釈金を納付 |
2月7日午後5時 | 被告人が保釈される |
国選弁護人と保釈請求
国選弁護人だから保釈請求してくれないと言うわけではありません。ただ、私選弁護士よりは保釈に消極的な弁護士が多いようです。
日本弁護士連合会発行の「保釈・勾留ハンドブック」(第4版)においても、「国選弁護人の中には保釈は国選の業務ではないとして保釈請求をしない弁護人もおり、国選弁護人の意識改革を図る必要もある。」と述べられています。
国選弁護人に支払われる保釈の成功報酬はわずか1万円です。報酬があまりに低い点も、保釈率が低迷している原因として挙げられるでしょう。国選弁護人が保釈請求をしてくれない場合は、私選弁護人にご相談ください。
保釈の弁護士費用
1.起訴後の弁護士費用の相場
一審で「保釈のみ」を私選弁護人に依頼しても受けてもらえない可能性が高いです。裁判対応を含め全ての弁護活動を私選弁護人に依頼して、その中で保釈請求をしてもらうというのが一般的です。
起訴後の全ての活動を私選弁護人に依頼する場合、弁護士費用の相場は80万円~150万円です。
*無罪を求める否認事件や裁判員裁判の場合は上記の相場よりも高くなります。
2.保釈の成功報酬の相場
弁護士費用は一般的に着手金と報酬金に分けられます。着手金は弁護活動をスタートするにあたってお支払いただく費用です。報酬金は弁護活動により一定の成果を達成したときにお支払いただく費用です。
弁護士が保釈請求をして許可された場合は、保釈という成果を達成していますので、報酬金が発生します。保釈の成功報酬の相場は20万円~50万円です。
保釈の弁護士費用-ウェルネス
ウェルネスでも第一審では保釈請求のみのご依頼はお受けしておりません。裁判対応を含めた「起訴後の弁護活動」という形でお受けしております。
ウェルネスの起訴後の弁護士費用は総額77万円(税込)です。内訳は以下となります。
起訴後の着手金 | 33万円 |
保釈の着手金 | 22万円 |
保釈の報酬金 | 無料 |
接見日当 | 無料 |
出廷日当 | 無料 |
執行猶予の報酬金 | 22万円 |
実費 | 無料 |
*容疑を認めているケースで執行猶予を獲得した場合の弁護士費用です。
なお、ウェルネスでは控訴保釈については保釈請求のみのご依頼もお受けしております。
ウェルネスは広告費を徹底的に削減しており、他の多くの事務所に比べて圧倒的に安い弁護士費用を実現しております。
☑ 国選弁護人が保釈請求してくれない
☑ 私選弁護人は費用が高すぎないか不安
このような方はお気軽にウェルネス(03-5577-3613)の弁護士へご相談ください。
保釈のページ |
保釈を弁護士に相談-保釈金・申請が通る確率・保釈の流れ |