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再逮捕・追起訴と保釈
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
再逮捕・追起訴と保釈請求のタイミング
振り込め詐欺など、再逮捕や追起訴がありうる刑事事件では、保釈請求は追起訴が全て終わってから行います。それ以前に保釈請求することもできますが、保釈金を納めて釈放された後に、再び身柄拘束される可能性がありますので現実的ではありません。
再逮捕・追起訴と最速の保釈請求
再逮捕や追起訴があるケースで、最も早い保釈請求のタイミングは、最後の起訴があった当日になります。
【具体例】2つの事件で起訴されたケース
| 起訴日 | 初公判 |
事件① | 3月1日 | 4月10日 |
事件② | 4月20日 | 5月10日 |
*事件①も事件②も初公判は同じ裁判官が担当します(弁論の併合)
このケースでは4月20日が最も早い保釈請求のタイミングになります。4月20日の時点で、事件①については初公判(4月10日)が終っていますが、事件②については初公判(5月10日)はまだ終っていません。
保釈請求書の提出先
追起訴があるケースで最速で保釈請求する場合、裁判所に保釈請求書を2通提出する必要があります。これは、初公判前か否かで担当の裁判官が異なるためです。初公判が終わった事件は、公判担当の裁判官が、そのまま保釈についても担当します。
これに対して、初公判が終わっていない事件は、その裁判官とは別の部署の裁判官が保釈について担当します。こうすることによって、公判審理を担当する裁判官が初公判の前に先入観を抱くことがないようにしているのです。先ほどの例でみていきましょう。
【保釈請求の日…4月20日】
| 起訴日 | 初公判 | 判断する裁判官 |
事件① | 3月1日 | 4月10日 | 公判を担当する裁判官 |
事件② | 4月20日 | 5月10日 | 保釈のみ担当する裁判官 |
この場合、事件②が起訴された4月20日の時点で、事件①の初公判(4月10日)は終っていますが、事件②の初公判(5月10日)は終わっていません。
そのため、初公判が終わった事件①の保釈請求と、初公判が終わっていない事件②の保釈請求を判断する裁判官が異なります。そこで、事件①についての保釈請求書と、事件②についての保釈請求書は別の部署に提出することになります。
保釈金はやや高くなる
追起訴があるケースで最速で保釈請求する場合、保釈金についても別々の裁判官が判断します。先ほどの例でみていきましょう。
【保釈請求の日…4月20日】
| 起訴日 | 初公判 | 判断する裁判官 | 保釈金 |
事件① | 3月1日 | 4月10日 | 公判を担当する裁判官 | 150万円 |
事件② | 4月20日 | 5月10日 | 保釈のみ担当する裁判官 | 150万円 |
このケースの場合、保釈金の合計は300万円です。一般的には、全ての事件について初公判が終ってから、担当部にまとめて保釈請求した場合の方が、それ以前に保釈請求する場合よりも、保釈金は低くなる傾向があります。
先ほどの例で5月10日の初公判以降に保釈請求した場合、どちらの事件についても初公判が終っているので、どちらも公判担当の裁判官が判断します。
【保釈請求の日…5月10日以降】
| 起訴日 | 初公判 | 判断する裁判官 | 保釈金 |
事件① | 3月1日 | 4月10日 | 公判を担当する裁判官 | 100万円 |
事件② | 4月20日 | 5月10日 | 100万円 |
一般的にはこの場合の方が、保釈金の合計額は低くなります。
保釈の判断が別れることもある
追起訴があるケースで最速で保釈請求する場合、保釈について判断する裁判官が異なる以上、初公判が終わった事件と終っていない事件で、判断が異なることもあります。
上の例でいうと、事件①について保釈が許可され、事件②については却下されることもありえます。ご本人が実際に釈放されるためには、全ての保釈請求が認められる必要があります。
第2回保釈請求のタイミング
最速で保釈請求して却下された場合、次のタイミングとして考えられるのは、最後の初公判が終わった日以降となります。
【保釈請求の日…5月10日以降】
| 起訴日 | 初公判 | 判断する裁判官 |
事件① | 3月1日 | 4月10日 | 公判を担当する裁判官 |
事件② | 4月20日 | 5月10日 |
事件①の初公判と事件②の初公判は同じ裁判官が担当していますが、この裁判官が各事件の保釈請求についてまとめて判断します。そのため保釈請求書は1通のみ作成し、公判担当の部署に提出することになります。
まとめ
①追起訴された事件で、保釈請求できる最速の日は最後に起訴された日である。
②追起訴された事件で、最速の保釈請求をすると保釈金が高めになる傾向がある。
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