傷害

☑ 家族が傷害事件で逮捕された

☑ 傷害事件の慰謝料はいくらになる?
☑ 傷害の弁護士費用の相場も知りたい

 

このような方々のために刑事事件の経験豊富な弁護士が傷害罪で逮捕されたときの流れや慰謝料・弁護士費用の相場、傷害事件に強い弁護士の選び方について解説しました。

 

 

傷害とは

傷害罪の「傷害」とは、人の生理的機能に障害を与えることです。

 

打撲や骨折、すり傷などの外傷だけではなく、めまいや失神、PTSDを生じさせた場合も、「生理的機能に障害を与えた」といえることから、傷害罪が成立します。

 

傷害の方法は、殴る蹴るといった暴行によるのが一般的ですが、何度も無言電話をかけてノイローゼにさせたり、隣の家に騒音を流し続けて被害者を不眠症にさせる等、暴行以外の方法でもよいとされています。

 

暴行したけれども生理的機能に障害が発生していない場合は、傷害罪ではなく暴行罪にとどまります。

 

傷害罪の刑罰

傷害罪の刑罰は15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。一口に傷害といっても、かすり傷程度の軽傷からひん死の重傷まで症状はさまざまですので、それに応じて刑罰にも幅があります。

 

傷害の故意は必要?

傷害罪が成立するためには、暴行の故意があれば足り、傷害の故意までは必要ありません。

 

例えば、「口論相手の肩をおしたところ、相手がバランスを崩し転倒してけがをした。」というケースでは、「肩をおす」という暴行の故意は認められますので、けがをさせるつもりがなかったとしても傷害罪が成立します。

 

傷害事件と診断書

傷害事件の被害者が警察に被害を訴えた場合、まずは暴行罪の被害届が受理されることが多いです。その後、被害者が診断書を警察に提出した時点で傷害事件に切りかわります。

 

鼻血が出ている等ケガが生じていることが明らかなケースでは、診断書がなくても傷害事件として立件されることがありますが、この場合も後に警察から診断書を提出するよう求められます。

 

軽傷で一度も病院に行かずに完治した場合は、診断書を取得することができませんが、このようなケースでは、たとえケガの写真等を警察に提出していたとしても、傷害で起訴される可能性は低いです。

 

傷害事件の慰謝料の相場は?

傷害事件の慰謝料の相場は、全治2週間以下の軽傷のケースで20万円程度です。

 

全治1か月以上の重傷事例や後遺症が発生したケースでは、①入通院の慰謝料と②後遺症の慰謝料の2つにわけて考えます。これらの慰謝料の額は交通事故と同様の方法で決められます。

 

交通事故のケースでは、「赤い本」と呼ばれる「損害賠償額算定基準」という本に慰謝料の相場が紹介されており、弁護士も裁判官もこの本に書かれている相場を参考にしています。

 

入通院の慰謝料は入通院していた期間に応じて決められます。例えば、通院期間1か月、入院なしのケースでは28万円が相場になります。

 

後遺障害の慰謝料は、1級から14級まである後遺障害の等級によって決められます。慰謝料のほかに治療費は実費分を支払う必要があるでしょう。また、ケースによっては休業損害や後遺症に伴う逸失利益が発生することもあります。

 

傷害事件で示談しないとどうなる?

刑事と民事の2つに影響する

傷害は刑事事件(刑法204条)にも民事事件(民法709条)にもなり得ます。そのため、示談をしなければ、刑事事件と民事事件の双方に影響が及びます。

 

 【示談なし】刑事事件への影響

被害者と示談しなければ、全治1、2週間の軽傷事例では、略式裁判で罰金になるケースが多いです。

 

被害者のけがが全治1か月を超えている重傷事例や凶器を用いているケースでは、示談しない限り公判請求される可能性が高くなります。

 

公判請求されると検察官から懲役刑を請求されますが、初犯の方であれば執行猶予がつく可能性が高いです。

 

 【示談なし】民事事件への影響

傷害事件の被害者と示談しなければ、民事裁判になる可能性があります。

 

けがが軽ければ民事裁判になる可能性は低いですが、けがが重ければ、治療費や休業損害、逸失利益、慰謝料などを民事裁判で請求される可能性が高くなります。

 

むち打ち症の場合、診断書では全治2週間程度になることが多く、軽傷の部類になりますが、症状が長期化するケースが多いため、民事裁判になることが少なくありません。

 

民事裁判は刑事手続とは別に進行します。もし民事裁判になれば少なくとも数か月程度はかかるでしょう。

 

被害者と示談をしておけば、民事についても解決したことになるので、後日、予測不能な後遺症が発生した場合を除いて民事裁判になることはありません。
刑事事件と民事裁判

 

傷害事件の時効

 刑事事件の時効

刑事事件の時効は10年です。もっとも、事件発生から1年たって検挙されなければ、時効になっていなくても、検挙される確率はかなり低いです。

 

 民事事件の時効

民事の時効は、次のいずれかになります。

 

①被害者が損害及び加害者を知った時から損害賠償請求権を5年間行使しないとき。
②不法行為の時から20年間、損害賠償請求権を行使しないとき。

 

傷害罪の加重類型

 1.傷害致死罪

被害者にけがをさせて死亡させた場合は、傷害致死罪が成立します。刑罰は懲役3年~20年です。殺意があれば殺人罪になりますので、傷害致死罪が成立するのは殺意がない場合に限られます。

 

 2.凶器による傷害罪

凶器を使ってけがをさせた場合は、凶器使用傷害罪が成立します。刑罰は懲役1年~15年です。素手の場合よりも危険性が高いことから、通常の傷害罪よりも刑罰が重くなります。

 

 3.常習者による傷害罪

暴行・傷害の常習者が傷害罪を犯した場合、常習傷害罪が成立します。刑罰は懲役1年~15年です。常習者は、より大きな非難に値するため、通常の傷害罪よりも刑罰が重くなります。

 

傷害事件の逮捕率は56%

2019年に刑事事件として処分された傷害事件のうち、被疑者が逮捕されたケースは56%です。酒に酔って被害者に暴力を振るいけがをさせてしまった場合、そのまま逮捕されてしまうことが多いです。

 

傷害事件で逮捕された後、勾留された確率は76%です。勾留期間(原則10日・20日まで延長可)が延長された確率は59%です。

 

いったん勾留されると、原則として10日にわたり身柄拘束が続きますので、職場への復帰が難しくなってしまいます。勾留前の釈放を目指すのであれば、すぐに刑事事件に強い弁護士を選任した方がよいでしょう。

 

*上記の傷害罪には傷害致死罪および現場助勢罪も含まれます。
*本ページの数値は2019年検察統計年報に基づいています。

 

傷害事件の不起訴率は65%

2019年に検察庁で扱われた傷害事件のうち、不起訴になったケースは65%です。起訴された35%の事件のうち公判請求されたケースは39%、略式請求されたケースは61%です。

 

暴行罪(16%)と比べると公判請求される確率がかなり高くなっています。

 

傷害を認めて不起訴を獲得する方法

 1.示談をする

被疑者を起訴するか不起訴にするかを決めるのは検察官です。傷害罪は人の身体の安全を保護する犯罪です。そのため、検察官は、起訴するか否かを決めるにあたり、身体の安全を損なわれた被害者の処罰感情を非常に重視しています。

 

そのため、被害者との間で示談が成立し許してもらえれば、不起訴になる可能性が高まります。

 

起訴されたとしても、その後に示談が成立すれば、執行猶予になる可能性が高まります。裁判官も刑罰を決めるにあたり、示談の成否を非常に重視しているからです。

 

【不起訴処分を獲得するために】
弁護士が示談書や示談金の領収書を検察官に提出します。 

 

 2.被害者に謝罪する

弁護士を通じて被害者に手紙をお渡しして謝罪します。通り一遍のことを述べるのではなく、自分の言葉で心をこめて謝罪することが大切です。 

 

【不起訴処分を獲得するために】
弁護士が、被害者にお渡しした謝罪文の写しを検察官に提出します。

 

 3.環境を改善する

お酒絡みで傷害事件を起こした場合、お酒との向き合い方を見直してもらいます。不良交友による荒れた生活が事件の背景にある場合は、交友関係の見直しを含めた生活環境の改善が必要となるでしょう。

 

いずれにせよ生活環境を立て直すためにはご家族の協力が不可欠です。ご家族には日常生活の中で本人を監督してもらいます。

 

【不起訴処分を獲得するために】
本人を監督する旨の誓約書をご家族に書いてもらい弁護士が検察官に提出します。

 

 4.その他の弁護活動

① 早期釈放を目指す
身体拘束されている場合は、早期釈放に向けた弁護活動を行います。

 

② 供託や寄付をする
不当に高額な請求をされる等して示談がまとまらなかった場合、賠償金を供託したり、反省の気持ちを示すために慈善団体へ贖罪寄付(しょくざいきふ)をします。

 

不起訴を獲得するため、弁護士が供託書や寄付したことの証明書を検察官に提出します

 

傷害を否認する場合の弁護活動

 1.「酒に酔っていて覚えていない」という主張は通用する?

傷害事件でよくあるのが、「酒に酔って気が大きくなっている状況で被害者を傷つけてしまった」というケースです。

 

加害者は酒に酔っていたため、自分が暴力をふるったことを覚えていないこともあります。このようなケースで、「酒に酔っていて覚えていない」と言い続ければ、不起訴や無罪になるのでしょうか?

 

被害者が加害者によって暴行されたことは、現場の防犯カメラや被害者、目撃者の供述調書によって固められてしまいます。ケガをしたことは診断書によって証明されます。

 

そのため、傷害事件で「酒に酔っていて覚えていない」という主張を続けて不起訴あるいは無罪を獲得するのは難しいでしょう。かえって検察官や裁判官に「反省していない」と思われ、釈放の時期が遅くなってしまいます。

 

 2.正当防衛を主張する

最初に相手の方から暴行してきた場合は、相手にけがをさせても正当防衛により無罪となる余地があります。弁護士が本人から状況をヒアリングし、正当防衛を裏づける事情があれば、不起訴あるいは無罪の獲得を目指します。
暴行・傷害と正当防衛

 

 3.傷害の共謀がないことを主張する

共犯者がいる傷害事件のケースで、現場にいたものの暴行には一切関わっていない場合、実行犯との共謀が認められなければ傷害罪は成立しません。弁護士が本人からヒアリングし、仲間内での打合せなど共謀を裏づける事情がなければ、不起訴あるいは無罪の獲得を目指します。
否認事件の刑事弁護

 

傷害事件の弁護士費用

 1.弁護士費用のしくみを知ろう

刑事事件の弁護士費用は、着手金と報酬金にわけられます。着手金は弁護士に依頼したときに最初にお支払いただく費用です。

 

報酬金は契約で決められた条件が達成されたときにお支払いただく費用です。不起訴を獲得したときには報酬金が発生します。身柄拘束されている場合は、釈放されたときに報酬金が発生することが多いです。

 

他には接見するたびに日当という形で費用が発生する料金プランもあります。

 

 2.傷害の弁護士費用の相場は44万円~110万円

傷害事件の弁護士費用の相場は、逮捕されていない場合でトータル44万円~110万円です(税込み、以下同じ)。「当初逮捕されていたが弁護士に依頼する時点では釈放されていた」という場合の相場も同じです。

 

内訳は着手金が22万円~55万円、不起訴になった場合の報酬金が22万円~55万円です。

 

ご依頼の時点で逮捕されていれば、弁護士が接見に行ったり、釈放を求める活動を行う必要があるため、上記の費用よりも高くなります。

 

無罪を主張する場合も、自白調書をとられないよう弁護士が連日接見に行く必要があるため、上記の費用よりも高くなります。

 

 3.【重要】弁護士費用をおさえて示談金を準備しよう

傷害事件で不起訴を獲得するためには、被害者との間で示談をまとめることが必要です。慰謝料の相場は軽傷でも20万円程度になります。

 

例えば予算が100万円で弁護士費用に80万円以上かけてしまうと、示談金が足りなくなるリスクがあります。示談金は多めに準備しておくに越したことはありません。

 

そのため、予算に限りがある場合は、たとえ軽傷事例であっても、手元に数十万円を残しておけるように弁護士費用をおさえておくべきです。

 

 4.傷害事件の弁護士費用をおさえるポイント

傷害の弁護士費用の相場は44万円~110万円と2倍以上の開きがあります。相場といいつつなぜこんなにも差があるのでしょうか?

 

刑事事件で弁護士を雇うことは人生に一度あるかないかでしょう。そのためふだんから弁護士費用に関心をもっている人はまずいません。

 

その一方で、刑事事件に巻き込まれたときは人生の一大事であり、ほとんどの人は動揺して弁護士費用を冷静にリサーチするほどの余裕はないはずです。

 

費用についての知識がない上に切羽詰まっていることから、びっくりする程高い弁護士費用でも「仕方がない」と思って契約してしまう方が多く、健全な相場が形成されにくい土壌があります。

 

なるべく費用をおさえるために複数の事務所に相談し、弁護士費用を比較することをおすすめします。

 

 5.【傷害】ウェルネスの弁護士費用

ウェルネスの弁護士費用は、不起訴になった場合で総額44万円です。逮捕されている場合は、総額55万円になることがほとんどです。
刑事事件の弁護士費用が安い理由

 

傷害事件に強い弁護士を選ぶ3つのポイント

 1.経験豊富な弁護士を選ぶ

傷害事件の経験豊富な弁護士であれば、示談交渉の方法や慰謝料の相場、早期釈放のポイントを熟知していますので、ベストな結果を得られる可能性が高まります。

 

ほとんどの弁護士は民事事件をメインにしており、多数の傷害事件を扱った経験はないと思われます。そのため、刑事事件に注力している法律事務所に依頼するのがよいでしょう。

 

 2.土日でも活動してくれる弁護士を選ぶ

逮捕されれば土日も関係なく手続が進んでいきます。逮捕されていなくても、被害者はふだんは仕事をしている方が多いため、土日に面談することもよくあります。

 

そのため、土日も動いてくれる弁護士を選ぶべきです。

 

 3.交通事故に詳しい弁護士を選ぶ

傷害事件は被害者にケガをさせたという点で交通事故に類似しており、示談金についても、交通事故の相場を参考にすることが多いです。

 

そのため、刑事事件だけではなく交通事故の示談金についても詳しい弁護士に依頼するとよいでしょう。

 

傷害事件のよくあるご相談例

①ホーム上で見知らぬ男性とぶつかって口論になり、かっとなって顔を殴ってけがをさせた。

②飲み会から帰る途中、電車で眠り込んでしまい、起こしてくれた鉄道会社の職員を蹴って逮捕された。

③タクシーの運転手とトラブルになり、後部座席から運転手の頭を叩いたら、むち打ちになったと言われた。

 

ウェルネスの弁護士は、このような傷害事件を数多く扱っており、ほとんどのケースで不起訴を獲得しています。傷害事件の法律相談はウェルネス(03-5577-3613)までお電話ください。 

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しました。

 

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