傷害事件の弁護プランは?弁護士費用や示談金の相場も解説

このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しました。

 

 

傷害罪について弁護士が解説

1.傷害とは?

傷害とは人の生理的機能に障害を与えることです。傷害事件の最もよくあるケースは、被害者を殴ったり蹴ったりして打撲や骨折などのケガを負わせることです。

 

 

このような外傷だけでなく、失神やPTSDも生理的機能の障害といえるので傷害にあたります。

 

 

2.傷害の手段は?

人に傷害を負わせる手段としては、殴る・蹴るといった暴行が一般的ですが、暴行によらない無形的な方法でもよいとされています。

 

 

暴行によらない傷害の例として、無言電話などの嫌がらせによりPTSDなどを発症させた場合や性行為によって性病にかからせた場合が考えられます。

嫌がらせによる傷害事件について弁護士が解説

 

 

傷害の手段は「必要な行為をしない」という不作為でもよいとされています。不作為による傷害の例として、医師が故意に必要な治療をせず症状を悪化させた場合が考えられます。

 

 

3.傷害の故意は必要?

①暴行により傷害を負わせたケース

殴る・蹴るといった暴行によりケガをさせた場合は、「ケガをさせてやろう」という傷害の故意は不要です。

 

 

暴行罪を定めた刑法208条は、「暴行を加えた者が傷害するに至らなかったときは」暴行罪が成立すると定めています。この条文を反対解釈すると、暴行を加えて傷害させた場合は、傷害の故意がなくても傷害罪が成立することになります。

 

 

そのため、たとえケガをさせるつもりがなくても、殴ったり蹴ったりして結果的にケガを負わせれば傷害罪になります。

 

 

②暴行以外の方法により傷害を負わせた場合

嫌がらせなど暴行以外の方法により傷害を負わせた場合は、傷害の故意が必要です。もっとも、ピンポイントに「自分の行為により特定の精神疾患になる」ことまでの認識は不要です。

 

 

「心身の不調により生活に支障が生じるかもしれない」という漠然とした認識でよいとされています。

 

 

4.傷害罪の罰則は?

傷害罪の罰則は15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。傷害には全治1週間に満たない軽傷からひん死の重傷まで様々なものがあるため、それに応じて刑罰の幅も広くなっています。

 

【刑法204条】

人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法e-Gov法令検索

 

 

傷害事件で逮捕される?逮捕後の流れは?

1.傷害事件の逮捕率

傷害事件の逮捕率は55%です(2022年検察統計年報)。警察に診断書が出され刑事事件になれば、半数以上の被疑者が逮捕されることになります。

 

 

2.傷害事件で逮捕されやすいケース

傷害事件で逮捕されやすいケースは以下の5つです。

 

① 重傷を負わせたケース

② 泥酔して傷害事件を起こしたケース

③ 複数人で傷害事件を起こしたケース

④ 凶器を使用したケース

⑤ DVのケース

 

 

3.傷害事件で逮捕された後の流れ

刑事事件の身柄拘束は逮捕⇒勾留という2ステップで行われます。逮捕は最長でも3日しかできませんが、勾留は最長20日にもなります。

 

 

勾留の主な要件は逃亡のおそれと証拠隠滅のおそれです。被疑者を勾留するためには、検察官が裁判官に対して勾留を請求し、裁判官がこれを許可する必要があります。勾留を阻止するために弁護士は以下の活動を行います。

 

 

①検察官に意見書を提出して勾留請求を阻止する

②裁判官に意見書を提出して検察官の勾留請求を却下させる

 

 

勾留を阻止した場合は在宅事件に移行します。刑事手続が終了するわけではありませんので注意が必要です。

在宅事件の流れは?逮捕される刑事事件との違いや起訴・不起訴について

 

 

勾留された場合は、最長20日の勾留期間内に検察官は被疑者を釈放するか起訴しなければなりません。

逮捕後の流れや釈放のタイミングについてわかりやすく解説

 

 

傷害を認める場合の弁護プラン-示談をする

1.示談のメリット

傷害の容疑を認める場合は、被害者との間で示談を成立させることが最も重要な弁護活動になります。示談のメリットは次の2つです。

 

 

①前科がつかない可能性が高まる

傷害事件で示談が成立すれば、不起訴になる可能性が高くなります。不起訴とは被疑者を刑事裁判にかけないことです。刑事裁判にかけられなければ、処罰されることはなく前科もつきません。

不起訴処分について弁護士がわかりやすく解説

 

 

②早期釈放の可能性が高まる

傷害のケースでは、弁護士が検察官に示談書を提出すれば速やかに釈放される可能性が高くなります。示談が成立すれば起訴する必要がないため、勾留を続ける必要もなくなるためです。

 

 

2.示談交渉は弁護士に依頼する

傷害事件の被害者は加害者に自分の名前や電話番号を知られたくないと思っています。捜査機関はこのような被害者の思いを尊重するため、加害者に被害者の個人情報を教えてくれません。

 

 

被害者の連絡先を知っている場合でも、加害者やその家族が連絡すると、被害者を怖がらせてしまい、さらに事態が悪化するリスクがあります。そのため、示談交渉は弁護士に依頼するようにしましょう。

 

 

傷害事件で示談しないとどうなる?

傷害事件で被害者との間で示談が成立しなければ、起訴されて前科がつく可能性が高くなります。軽傷のケースと重傷のケースにわけて説明します。

 

 

1.軽傷のケース

全治1,2週間の軽傷事件では、示談しないと略式起訴され罰金になることが多いです。略式起訴された場合は法廷が開かれず、自分の知らないところで審理されます。

 

 

そのため、裁判を受けたという実感を持ちにくいですが、略式であっても裁判には変わりませんので、前科がつくことになります。

略式起訴の流れ

 

 

2.重傷のケース

骨折や脳挫傷といった重傷事例では、公判請求される可能性が高くなります。公判請求されると公開の法廷で審理され、検察官から懲役刑を請求されます。

 

 

初犯では執行猶予がつく可能性が高いですが、後遺症が残るような重傷のケースでは初犯でいきなり実刑になることもあります。

公判の流れ

 

 

3.傷害致死のケース

殺意なく人にケガを負わせ、それが原因で死なせた場合は、傷害致死罪が成立します(殺意がある場合は殺人罪になります)。

 

 

傷害致死罪は重大犯罪ですので、遺族と示談が成立しても起訴される可能性が高いです。起訴されれば裁判員裁判で審理されます。示談が成立しても実刑になる可能性が高いですが、刑期が短縮されます。

裁判員裁判の流れ

 

 

【民事訴訟について】

傷害事件は不法行為(民法709条)になるため、民事上の損害賠償義務も生じます。そのため、重傷事件や死亡事件では民事訴訟を提起される可能性が高くなります。

 

 

傷害を否認する場合の弁護プラン-自白調書をとらせない

傷害を否認する場合は、取調べで「私がやりました」といった自白調書をとられないようにすることが大切です。自白調書をとられると、後で撤回することはできないため、起訴されて有罪になる可能性が高くなります。

 

 

取調官は被疑者に様々なプレッシャーをかけ自白調書をとろうとします。弁護士が被疑者に黙秘権などの重要な権利について説明し、取調べにどう対応すべきかアドバイスします。

否認事件の刑事弁護

 

 

正当防衛にあたる場合は、弁護士が検察官や裁判官に正当防衛の要件を満たすことを主張します。

暴行・傷害と正当防衛

 

 

傷害事件の弁護士費用の種類は?

傷害の弁護士費用の種類

 

傷害事件の弁護士費用の種類は次のとおりです。

 

弁護士費用の種類

弁護士費用の内容

法律相談料

弁護士に相談をする際の費用です。相場は30分あたり5500円(税込)です。無料相談を実施している事務所もあります。ご依頼後は法律相談料は発生しません。

着手金

弁護士に依頼する際に発生する費用です。着手金をお支払いいただいてから弁護活動がスタートします。着手金は結果にかかわらず返金されないことが多いです。

報酬金

一定の成果が出たときにお支払いただく費用です。傷害事件では釈放や示談成立、不起訴が報酬金の発生条件になります。

接見日当

弁護士が接見するたびに交通費とは別に発生する費用です。

出廷日当

弁護士が裁判所に出廷するたびに交通費とは別に発生する費用です。

実費

弁護士の交通費やコピー代です。

 

 

【日当・実費について】

接見日当、出廷日当、実費が発生しない料金プランもありますので、後から費用が増えていくことを避けたい場合は、そのような料金プランの事務所に依頼するとよいでしょう。

 

 

傷害事件の弁護士費用の相場は?

傷害の弁護士費用の相場

 

傷害の弁護士費用の相場は、逮捕されていないケースで合計60万円~120万円、逮捕されているケースで合計80万円~160万円です。

 

 

本人が逮捕されていれば釈放のための活動が必要になるため、逮捕されていない場合よりも高くなります。

 

 

傷害事件で無罪を主張する場合は、自白調書をとられないよう弁護士が連日接見に行ったり、法廷で被害者や目撃者に反対尋問をする必要があるため、上記の費用相場よりも高くなります。

 

 

傷害事件の示談金の相場は?

傷害事件の示談金の相場は、ケガの程度によって異なってきます。以下ではケガの程度に応じて示談金の相場を解説します。

 

 

1.全治1週間の示談金はいくら?

全治1週間の軽傷事例のケースでは、治療費を除いて15万円程度が示談金の相場になります。

 

 

2.全治2週間の示談金はいくら?

全治2週間でも軽傷の部類に入りますので、治療費を除いて20万円程度が示談金の相場になります。

 

 

3.全治1ヶ月以上の示談金はいくら?

全治1ヶ月以上の重傷事件では、示談金は交通事故の示談金の相場を参考にして決まってくることが多いです。

 

交通事故の示談金の相場は「損害賠償額算定基準」(赤い本)という本に記載されています。具体的には以下の項目の合計額になります。

 

 

治療費、通院交通費実費
休業損害休業日数×1日あたりの給与額になります。
入通院慰謝料入通院の期間によって決まります。赤本では通院期間1ヶ月で28万円になります。
後遺障害慰謝料後遺症が生じた場合に発生します。後遺症は程度に応じて1級~14級に分類されます。交通事故の場合は後遺症が発生することも少なくありませんが、刑事の傷害事件で後遺症が残るケースは少ないです。
逸失利益

 

 

相互傷害で相手方にも過失がある場合は、交通事故と同様に過失相殺を主張することもあります。

 

 

傷害事件の弁護士費用はなぜ高い?

傷害事件の弁護士費用はなぜ高い?

 

傷害事件の弁護士費用が100万円程度になることは普通にあります。なぜ弁護士費用がこんなに高いのでしょうか?理由は以下の2つです。

 

 

1.依頼者側の事情

傷害のような刑事事件で弁護士に相談する方は、家族が逮捕されたり、自分に逮捕が迫っていたりして非常にあせっています。

 

 

人生の一大事に直面して「何とか助けてもらいたい。」とワラにもすがる思いで弁護士に相談に来られます。刑事事件の弁護士費用について調べている余裕もありません。

 

 

そのような状況で、弁護士からびっくりする程高い費用を提示されても、「どこの事務所でも同じだろう」、「背に腹は代えられない」と考え、そのまま依頼してしまうことが多いのです。

 

 

2.事務所側の事情

傷害のような刑事事件については、「法律相談に来てもらえれば受任できる可能性が高い」ということを法律事務所もわかっています。そのため、ネット広告に多額の費用をかけて相談者を獲得することに力を注いでいます。

 

 

法律事務所の中にはネット広告だけで月に数百万円の費用をかけているところもあります。多額の広告費用は弁護士費用に上乗せされるため、インターネットで目立つところにホームページが表示されている事務所ほど弁護士費用が高くなりがちです。

 

 

傷害事件の弁護士費用が安い方が示談に有利!

傷害事件の弁護士費用のなかには示談金は含まれていません。示談金は弁護士費用とは別に準備する必要があります。

 

 

予算に限りがある場合、弁護士費用が高いと予算の大部分が弁護士費用に消えてしまい、肝心の示談金を準備できなくなるリスクがあります。

 

 

「弁護士費用で予算がなくなってしまい、示談金を用意できず示談できなかった」-このような最悪の展開を避けるため、予算に限りがある場合は、弁護士費用が安い事務所に依頼した方がよいでしょう。

 

 

傷害事件の弁護士費用が安い法律事務所

 

 

傷害事件の弁護士費用が高いと示談金も高くなる!?

弁護士が傷害事件の被害者と示談交渉をする際、被害者から「弁護士費用より安い示談金では納得できない。」と言われることがあります。

 

 

弁護士費用と示談金との間に法的な関連性はありません。もっとも、被害者の中には、「加害者に殴られて痛い思いをしているのに、なんで示談金が弁護士費用より安いんだ?」と考える方もいます。

 

 

被害者の意向を無視するわけにもいかないため、弁護士費用が高いとそれに連動して示談金も高くなるリスクがあります。弁護士費用が安いと示談金の上振れリスクを最小化し、妥当な金額で示談がまとまる可能性が上がります。

 

 

傷害事件の弁護士費用が安い事務所の探し方

傷害事件の弁護士費用を節約するポイント

 

1.大手の法律事務所にこだわらない

大手の法律事務所は事務所を維持するために大量の事件を受任する必要があります。そのため、ネットマーケティングに力を入れている事務所が多いです。

 

 

マーケティング費用は弁護士費用から回収されますので、莫大な広告費をかけている大手事務所の方が小規模な事務所よりも弁護士費用が高くなりがちです。

 

 

傷害の弁護士費用を節約するためには、大手の事務所にこだわらず小規模な事務所にも目を向けるとよいでしょう。

 

 

2.弁護士費用が明確に記載されている事務所を探す

「着手金10万円~」といった上限がわからない料金プランや、「事案簡明な事件は20万円」といった漠然とした内容の料金プランもあります。

 

 

「10万円~」と記載されていても、実際に弁護士に相談すると、最低金額よりもずっと高い金額を提示されることが少なくありません。また、ごく軽いケガでない限り「事案簡明な事件」とも言えません。

 

 

傷害事件の弁護士費用を節約するためには、ホームページで上限金額が明示されている事務所を探した方がよいでしょう。

 

 

3.複数の法律事務所の弁護士費用を比較する

傷害のような刑事事件の弁護士費用については、一応の相場はあるものの、金額は事務所によって様々です。そのため、最初に相談した弁護士にすぐに依頼するのではなく、他の事務所にも費用の見積もりを出してもらい比較するとよいでしょう。

 

 

比較するだけで数十万円の弁護士費用を節約できることも多々あります。無料相談を実施している事務所に相談すれば相談費用も節約できます。

 

 

傷害事件の弁護士費用が安い法律事務所

【ウェルネス】傷害事件の弁護士費用

 

ウェルネスの傷害事件の弁護士費用は、不起訴になった場合で税込44万円(逮捕されていないケース)または税込55万円(逮捕されたケース)です。

 

 

内訳は以下の通りです(初犯の方の料金プランです)。

 

 

【逮捕されていないケース】

着手金22万円(税込)
不起訴の報酬金22万円(税込)
示談交渉の着手金無料
示談成立の報酬金無料
実費無料
合計44万円(税込)

 

 

【逮捕されているケース】

着手金33万円(税込)
釈放の報酬金22万円(税込)
示談交渉の着手金無料
示談成立の報酬金無料
不起訴の報酬金無料
接見日当無料
実費無料
合計55万円(税込)

 

 

【ウェルネス】傷害事件の弁護士費用が安い理由

ウェルネスの弁護士費用が安い理由

 

ウェルネスでは、ウェブコンテンツの作成やSEO対策を弁護士自ら行っており、広告費用を徹底的におさえています。そのため、他の事務所よりも圧倒的に安い弁護士費用を実現しています。ぜひ他の事務所の弁護士費用と比べてみてください。

 

 

傷害事件の弁護士費用が安い法律事務所

 

 

傷害事件に強い弁護士による無料相談

ウェルネスでは傷害事件の経験豊富な弁護士による無料相談を実施しています。無料相談の対象となる方は以下の通りです。

 

 

傷害事件で逮捕された方の家族初回60分無料
傷害事件で取調べを受けた方初回30分無料
傷害事件で警察から電話がかかってきた方
傷害事件で検察の呼出しを受けた方
傷害事件で逮捕されたが釈放された方

 

 

☑ 弁護士費用をできるだけ節約したい

☑ 今後の生活への影響を最小限にしたい

☑ 慰謝料と弁護士費用の予算が限られている

 

 

このような方はお気軽にウェルネス(03-5577-3613)へお電話ください。

 

 

 

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