傷害のご質問

傷害事件のご質問

 

このページはウェルネス法律事務所の弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

Q1:3人で共同して一人の男性を暴行し、けがをさせてしまいました。被害届が出され、傷害事件として捜査されています。けがをさせたことは全員認めています。刑事さんから被害者のけがは、全治2週間で後遺症はないと聞いています。このようなケースでは、慰謝料はどうなるのでしょうか?

【民事裁判の場合】

民事裁判では、後遺症が発生していない場合、けがの慰謝料は入院や通院の期間によって決まります。期間が長くなるほど慰謝料も高くなります。

3名が共同でけがをさせた場合は、このようにして決まった慰謝料を、3名が「連帯して」支払う必要があります。「連帯して」というのは、それぞれの加害者が被害者に対して、慰謝料「全額」の支払義務を負うということです。

例えば、慰謝料が30万円とすると、それぞれの加害者が被害者に対して30万円全額の支払義務を負います。10万円ではありません。

 ただ、被害者は、トータルで30万円をこえる慰謝料をもらう権利はありません。

そこで、加害者のうちの誰か一人でも被害者に30万円を支払えば、他の2名は被害者に慰謝料を支払う義務はなくなります。被害者の視点から見ると、最もお金がとれそうな加害者に30万円全額を請求できることになります。

多く払いすぎた加害者は、払い過ぎた金額を、他の加害者に求償することができます。

 

【示談の場合】

示談は、裁判外の交渉ですので、必ずしも裁判と同じルールに従う必要はありません。 

通院期間などによって慰謝料を算定し、それを人数分で割った金額で示談することも考えられます。

 

 

Q2-1:3人で傷害事件を起こした場合、3人まとめてウェルネスの弁護士に示談を依頼することはできますか?

3名全員がけがをさせたことを認めており、傷害の状況や各自の役割について、意見の相違がない場合は、3人まとめてお受けすることも可能です。

弁護士の基本的なルールとして、利益が相反する複数の人間を1人の弁護士または同じ事務所の複数の弁護士が代理することはできません。

そのため、3名の間で意見の相違があれば、まとめてお受けすることはできません。また、お受けした時点で意見の相違がなくても、その後に意見の相違がでてきたときは、辞任することになります。

あらかじめこの点について弁護士が説明し、ご納得いただけた場合のみお受けしております。

 

Q2-2:3人まとめてウェルネス法律事務所に示談を依頼した場合、弁護士費用も3倍になりますか?

3倍にはなりません。事案の内容にもよりますが、1.5倍程度の弁護士費用になることが多いです。詳しくは弁護士までご相談ください。

 

Q2-3:弁護士費用以外にまとめて依頼するメリットはありますか?

3名がそれぞれ別の弁護士に依頼すると、それぞれの弁護士が被害者と示談交渉をするのが原則です。また加害者間で示談金を調整する場合、弁護士間の協議も必要となり、時間がかかってしまいます。

まとめて依頼する場合は、被害者との交渉も加害者間の調整も一人の弁護士が行うので迅速な対応が可能です。

 

 

Q3:傷害事件を起こしてしまいました。被害者が通勤途中だった場合、どのような点に注意すればよいですか?

被害者が通勤中の場合、労災(労働者災害補償保険)を申請することが多いです。もし労災を申請すると、けがの治療費や休業損害は労災保険から病院や被害者に支払われます。その後、病院や被害者に支払ったお金を、地方労働局が加害者に求償します。このことを踏まえて示談金額を決定する必要があります。

 

 

 

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