強姦・強制性交等

 

 

強姦から強制性交等へ

平成29年6月の刑法改正により強姦罪は強制性交等罪に改められました。それに伴い、処罰範囲が拡大し刑罰が重くなりました。

 

 強姦→強制性交等

 

改正刑法が施行された平成2913日より前に発生した事件については強姦罪が適用されます。平成2913日以降に発生した事件については強制性交等罪が適用されます。

 

 

強姦と強制性交等の比較

処罰範囲

 

強姦

強制性交等

女性の膣内に男性器を挿入すること

女性の肛門内に男性器を挿入すること

×

女性の口内に男性器を挿入すること

×

男性の肛門内に男性器を挿入すること

×

男性の口内に男性器を挿入すること

×

強制性交等の方が強姦よりも適用範囲が広がっています。

 

暴行・脅迫の要否

強姦も強制性交等も、相手が13歳以上のケースでは、暴行・脅迫を手段とした場合のみ犯罪が成立します。相手が13歳未満のケースでは、相手の同意があり暴行・脅迫を手段としていない場合でも犯罪が成立します。

 

 

刑罰

強姦罪…懲役年~20

強制性交等罪…懲役年~20

 

強制性交等の方が強姦より刑の下限が年長くなっています。

 

 

強姦・強制性交等の関連犯罪

準強制性交等

睡眠薬やアルコール等の影響により抵抗できなくなった被害者に対し強制性交等と同様の行為をした場合、準強制性交等罪が成立します。刑罰は強制性交等罪と同じです。

 

強制性交等致死傷

強制性交等によって被害者を負傷させた場合は強制性交等致傷罪が成立します。死亡させた場合は強制性交等致死罪が成立します。刑罰は、懲役年~20年または無期懲役です。

 

 

強姦・強制性交等と告訴の要否

刑法改正前は強姦罪で起訴するためには被害者の告訴が必要でした。しかし、改正後の強制性交等罪については、起訴にあたって被害者の告訴は不要とされました。そのため、告訴がなくても起訴できるようになりました。 改正刑法が施行されたのは平成29年7月13日ですが、それ以前の強姦罪が適用される事件についても、さかのぼって告訴が不要となりました。

 

 

強姦・強制性交等と時効

強姦

強姦の時効は10年です。強姦致傷の時効は15年、強姦致死の時効は30年です。

 

強制性交等

時効については強姦と同じです。すなわち、強制性交等は10年、強制性交等致傷は15年、強制性交等致死は30年です。

 

 

強姦・強制性交等と逮捕

強姦

刑事事件として立件された強姦罪のうち、被疑者が逮捕されたケースは64%です。強姦で逮捕された後、勾留される確率は98%です。勾留期間(原則10日・最長20日)が延長される可能性は94%です。強姦は性犯罪で最も重い犯罪ですので、逮捕率も勾留率もかなり高くなっています。

 

*上記の強姦罪には強姦致死傷罪および集団強姦(致死傷)罪も含まれます。

*本ページの数値は平成28年検察統計年報に基づいています。

 

 

強制性交等

強制性交等罪については新設されたばかりでまだ統計データは出ていませんが、逮捕率や勾留率は、強姦とほぼ同じになると思われます。

 

 

強姦・強制性交等と後日逮捕

現場から逃走しても、被害女性の身体や衣服から加害者の精液が採取されている場合は、時効期間が経過するまでは後日逮捕の可能性があります。後日逮捕の流れは以下の通りです。

 

(1)前科・前歴がある場合

①強姦・強制性交等事件の発生

②警察が被害者の衣服や身体からDNAを採取する

③警察庁のDNAデータベースと照合する

④既にデータベースに登録されている本人のDNAと一致

⑤強制性交等罪で逮捕

 

(2)前科・前歴がない場合

①当初の強姦・強制性交等事件の発生

②警察が被害者の衣服や身体からDNAを採取する

③加害者のDNA情報が警察庁のデータベースに登録される

④加害者が別の刑事事件を起こす

⑤警察が別の刑事事件の関連で加害者からDNAを採取する

⑥警察庁のデータベースで照合する

⑦DNAが一致

⑧当初の強制性交等罪で逮捕

 

これらのケースに該当する場合は、自首を検討することになります。DNA情報が一致し、容疑者が特定された後に、警察署に出頭しても自首として取り扱ってもらえません。なるべく早く弁護士に相談してください

自首の相談は弁護士へ

 

ウェルネスでは強姦の後日逮捕のケースを複数取り扱ったことがあります。

 

 

強姦・強制性交等と不起訴

強姦

強姦罪の不起訴率は64%です。全体の64%が刑事裁判にならず前科なしで終了するということです。重大犯罪であるにもかかわらず、意外に高いと思われるかもしれませんが、これには理由があります。

 

<強姦で不起訴率が高い理由その①>

理由の一つは、強姦で起訴するにあたって被害者の告訴が必要とされていたためです(現在は不要)。不起訴となった事件の半数近く(約40%)が告訴の欠如や取消を理由とするものです。

 

<強姦で不起訴率が高い理由その②>

もう一つの理由は、嫌疑不十分による不起訴が多いということです。嫌疑不十分というのは不起訴の一種で、証拠が十分でなく、裁判をしても有罪に持ち込むのが難しいと検察官が判断したときに出されます。強姦において、嫌疑不十分で不起訴になる確率は44%と他の犯罪に比べて非常に高いです。

 

男女間の性行為は密室で行われることが多く証拠が十分でないこと、女性側の言い分を偏重した見込み捜査で立件する事例が少なくないことから、結果的に嫌疑不十分で不起訴となる可能性が高くなるのです。

 

強制性交等

強制性交等についても、人目につかないところで行われるという点は強姦と同じであり、嫌疑不十分による不起訴率は強姦と同程度になると考えられます。

 

もっとも、強制性交等は、強姦と異なり、告訴がなくても起訴できることから、告訴の欠如・取消による不起訴処分はなくなります。容疑を認める場合は、示談を成立させた上で、起訴猶予による不起訴を求めることになります。

 

告訴取消による不起訴については検察官の裁量はありませんが、起訴猶予による不起訴は検察官の裁量が大きくなるため、全体として、強姦に比べて不起訴率は低くなると考えられます。

 

【関連ページ】

逮捕 弁護士を呼ぶ

示談について

否認事件の刑事弁護 

 

 

強姦・強制性交等と判決

強姦

強姦で起訴される割合は36%です。いったん起訴されると有罪判決が下される(=前科がつく)割合は99%以上です。強姦罪は性犯罪の中でも特に罪質が重く、初犯でいきなり実刑判決となることも珍しくありません。

 

平成27年の検察統計年報によれば、強姦で執行猶予になった件数は48件です。毎年、450件前後起訴されることから、執行猶予になる割合は10%前後となります。

 

執行猶予期間の内訳は、3年未満のケースが0件、3年以上4年未満のケースが1件、4年以上5年未満のケースが16件、5年のケースが31件です。執行猶予になる場合は、最高刑である「懲役年・執行猶予年」という判決が最も多いです。

 

強制性交等

刑法改正により強制性交等罪の法定刑は懲役年~20年とされました。強姦罪(懲役年~20年)に比べ、刑の下限が2年引き上げられました。法律上、執行猶予をつけられる上限は懲役年です。強制性交等罪は最短で懲役5年であることから、執行猶予はあり得ないと思われるかもしれません。

 

もっとも、「犯罪の情状に酌量すべきものがあるとき」は酌量減軽される余地があります(刑法66条)。もし減軽されれば、刑の上限と下限がそれぞれ半分になるので、強制性交等罪の刑罰は懲役2年6月~懲役10年となり、執行猶予をつけることも可能になります。

 

被害者との間で示談が成立すれば酌量減軽される余地がかなりあることから、強制性交等罪についても執行猶予を獲得できる余地はあります。

 

【関連ページ】

執行猶予

 

 

強姦・強制性交等と致傷罪

強姦・強制性交等の際、被害者にけがをさせると強姦致傷罪・強制性交等致傷罪が成立します。意識的に暴行してけがをさせるというのが典型的なケースですが、本人が暴行したつもりは全くないのに強姦致傷・強制性交等致傷で立件されることがあります。それが膣壁裂傷や肛門裂傷の場合です。男性器を膣や肛門に挿入した際、摩擦で裂傷が生じることがあります。その場合、被害者が警察に医師の診断書を提出すると強姦致傷・強制性交等致傷として立件されます。

 

強姦致傷・強制性交等致傷で起訴された場合は、裁判員裁判で審理されることになります。裁判員裁判では、性犯罪は重く処罰される傾向があり、強姦致傷・強制性交等致傷罪の場合、初犯の方でも長期の実刑となることが多いでしょう。ただ、裂傷の程度が全治数日など軽い場合は、起訴前に示談が成立すれば、不起訴となる余地も十分にあるでしょう。容疑を認める場合は一刻も早く示談に向けて動いた方がよいでしょう。

 

 

強姦・強制性交等と余罪

逮捕された強姦・強制性交等とは別に、強姦等の余罪があると、再逮捕されたり追起訴(ある事件で起訴された後に別の事件で起訴されること)される可能性があります。余罪の現場に遺留されたDNAと被疑者のDNAが一致すれば、余罪で再逮捕される可能性が極めて高くなります。

 

DNAが遺留されていない場合は、余罪取調べにどのように対応するかが非常に重要になります。適切に対応しなければ、1件目の強姦(強制性交等)で示談が成立して釈放された当日に、別件で再逮捕されることにもなりかねません。逮捕直後から、弁護士が余罪を含め総合的な弁護方針をたてるべきです。

 

 【関連ページ】

強姦・強制性交等の解決事例

強姦・強制性交等のご質問

準強姦

強姦致傷

 

 

強姦・強制性交等の弁護方針:罪を認める場合

(1)示談をする

起訴前の弁護活動としては示談が最も重要です。刑法改正により、強姦にせよ強制性交等にせよ、起訴にあたって告訴が不要とされました。そのため、改正法施行前のように示談をして告訴を取り下げてもらえれば必ず不起訴になるわけではありません。

 

もっとも、強制性交等罪で告訴が不要とされたことに伴い、起訴を望まない被害者の意思が軽視されるのではないかとの懸念も根強く、検察官はこれまで以上に、被害者が起訴を求めているか否かを丁寧に確認すると思われます。

 

そのため、示談書に「処罰をもとめない」、「起訴を求めない」等の文言があり被害者がその意味を十分に理解した上で示談に応じた場合は、性犯罪の前科がある等の事情がない限り、不起訴になる余地は十分にあるといえるでしょう。

 

強姦の被害者は、事件によって非常に大きなショックを受けています。弁護士には、交渉全般を通じて、被害者の心情に細やかに配慮する姿勢が強く求められます。  

 

法律上、検察官は逮捕の約3週間後に、被疑者を起訴するか釈放するかを決めなくてはなりません。したがって、不起訴を獲得するためには、3週間以内に示談をまとめることが必要です。時間切れにならないよう、土日や夜間でも精力的に動いてくれる弁護士に依頼すべきです。

示談の相談は弁護士へ

 

 

(2)専門家の援助を受ける

強姦・強制性交等の加害者のなかには、自己の性的衝動をコントロールすることができず、性的な逸脱行動を繰り返してきた人が少なからずいます。そのような方に対しては、専門家の治療が必要です。カウンセリングを受けたり、クリニックに通うことによって、問題を根本から改善する必要があります。身柄拘束されている場合、出張カウンセリングサービスを利用することもあります。

 

不起訴を獲得するために…

弁護士が、受診証明書や医師・カウンセラーの意見書等を検察官に提出します。

 

 

(3)反省を促す

性犯罪被害者の本を読む等して、自らしてしまったことの重大さを自覚してもらいます。さらに、強姦・強制性交等をしてしまった原因を分析し、更生するにはどうすればよいのかをじっくり考えてもらいます。性依存症の方を対象とした自助グループに参加して内省を深めてもらうこともあります。

 

不起訴を獲得するために…

弁護士が本人作成の反省文を検察官に提出します。また、検察官の前で現在の心境を直接語ってもらいます。

 

 

(4)被害者と関わらない

被害者は、「警察に被害を申告したことを逆恨みされるのではないか?」と強い恐怖感を抱いています。被害者の恐怖感をできるだけ軽減するため、加害者としては、今後、被害者と一切接触しないようにすべきです。弁護士を通じてその点を強調するとともに、示談書の中に、「加害者は今後一切、被害者に接触しない」等と明記し、可能な限り被害者の不安を軽減します。

 

不起訴を獲得するために…

被害者に接触しないことを明記した示談書や本人作成の誓約書を検察官に提出します。

 

 

(5)転居費用を負担する

住居に侵入したり、被害者の自宅近くで強姦・強制性交等を行った場合、被害者は加害者に対して強い恐怖感を持っています。事件をきっかけとして被害者が転居を希望する場合は、可能であれば転居費用を負担することも検討する必要があるでしょう。

 

不起訴を獲得するために…

転居費用の領収証を検察官に提出します。

 

 

(6)その他の弁護活動

① 早期釈放を目指す

身体拘束されている場合は、早期釈放に向けた弁護活動を行います⇒詳しくはこちら

 

② 供託する

示談が成立しなかった場合、示談金に相当する金額を法務局に供託します。公判請求された場合は、供託書を証拠として提出します。

 

③ ご家族に協力してもらう

ご家族に本人を監督するよう約束してもらいます。公判請求された場合は、本人を監督する旨の誓約書を証拠として提出します。また情状証人として、ご家族に裁判所に来てもらい、裁判官の前で、本人の更生をどのようにサポートしていくのかを語ってもらいます。

 

 

強姦・強制性交等の弁護方針:無罪を主張する場合

(1)身に覚えがない場合

全く身に覚えがないにもかかわらず、強姦の容疑をかけられてしまった場合、アリバイ事実が存在することを弁護士が検察官・裁判官に主張し、不起訴処分あるいは無罪判決の獲得を目指します。捜査機関によってDNA鑑定、血液鑑定が実施されている場合は、改めて専門家に鑑定を依頼したり、裁判所に対して鑑定を実施するよう請求します。

 

 

(2)性行為について相手の同意があった場合

相手の同意があったにもかかわらず、強姦の容疑をかけられてしまった場合、本人と相手の関係、当日出会うまでの状況、出会ってから性行為までのやりとり、性行為後の相手の言動等から、和姦であることを主張します。

 

 

オーダーメイドの弁護活動

このページでご紹介している弁護方針は一つの例にすぎません。たとえ犯罪の種類が同じでも、事件が異なれば、求められる弁護活動も違ってきます。ウェルネスでは、数多くのノウハウに基づき、一つ一つの事件に対応した完全オーダーメイドの弁護活動を行います。 

 

 

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