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不起訴とは?処分の種類(理由)や前歴・無罪・罰金との関係

 このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

 

不起訴とは

不起訴とは、簡単に説明すると、被疑者を刑事裁判にかけないことです。逆に刑事裁判にかけることを起訴といいます。

 

送検された事件の約割が不起訴になっています。被疑者を起訴するか不起訴にするかは裁判官ではなく検察官が決めます。

 

不起訴の種類(理由)

不起訴処分は、不起訴の理由に応じて全部で20種類ありますが、代表的なものは、①嫌疑なし、②嫌疑不十分、③起訴猶予の3つです。

 

1.嫌疑なし

嫌疑なしとは、被疑者が犯人でないことが明らかなとき、または、犯罪を認定する証拠がないことが明らかなときに出される処分です。真犯人が見つかった場合や被疑者にアリバイがある場合は嫌疑なしとなります。

 

2.嫌疑不十分

嫌疑不十分とは、被疑者が犯人であることや犯罪の成立について十分な証拠がなく、起訴しても有罪にもち込めないと検察官が判断したときに出される処分です。

 

嫌疑なしと異なり完全にシロというわけではありませんが、刑事裁判では、被告人が罪を犯したことを検察官が証明できなければ無罪になるため、証明できるだけの十分な証拠がない場合は、嫌疑不十分で不起訴にします。

 

3.起訴猶予

起訴猶予とは、犯罪を証明するだけの証拠があり、起訴しようと思えばできるものの、罪の重さや示談が成立していること等さまざまな事情を考慮して、検察官が起訴しないと判断したときに出される処分です。不起訴の約90%が起訴猶予です。

 

その他の不起訴処分として、「被疑者死亡」、「親告罪の告訴取消し」、「時効完成」、「心神喪失」などがあります。

 

不起訴になれば刑事手続から解放される

不起訴にしたからといって、その後、一切起訴できなくなるわけではありません。時効になるまでは、新たな証拠が発見されたりして起訴される可能性があります。

 

被害者が不起訴に納得できない場合は、検察審査会に不服を申し立てることができます。検察審査会が起訴相当または不起訴不当の議決をすると、検察官が再び事件を捜査して起訴することがあります。

 

検察官が起訴しなかったとしても、一定の要件を満たせば、裁判所の指定する弁護士によって起訴されることもあります。

 

とはいえ、不起訴になった後に起訴されるケースはめったにありませんので、不起訴処分になれば一安心といえるでしょう。

 

これに対して、起訴された場合は、刑事裁判が始まりますので、判決が確定するまで刑事手続が続きます。

刑事裁判の流れ

 

不起訴で前科はつかないが前歴はつく

前科とは「刑事裁判で有罪判決を受けた経験があること」です。不起訴処分になれば、刑事裁判にならないため、当然ですが有罪判決を受けることもありません。そのため前科はつきません。

 

ただ、不起訴になっても前歴はつきます。前歴とは、「刑事事件の被疑者として捜査の対象になった経験があること」です。不起訴になっても既に被疑者として捜査を受けている以上、前歴はつきます。

 

前歴のデメリットは「再び罪を犯したときに処分が重くなる可能性が高くなる」ということです。それ以外にデメリットはありません。

前科とは?前歴との違いや5つのデメリット、結婚・就職に影響は?

 

不起訴と無罪の違いは?

不起訴は被疑者を刑事裁判にかけないことです。これに対して、無罪は、被疑者を刑事裁判にかけ、裁判官による審理を経た後に、判決として言い渡されるものです。

 

このように両者は別物ですが、嫌疑なし・嫌疑不十分で不起訴になった場合は、検察官が「起訴しても有罪に持ち込めない」と判断したわけですから、無罪に準じるものとみなせます。

 

一方、起訴猶予で不起訴となった場合は、犯罪を立証するだけの証拠があり起訴することもできたわけですから、有罪に準じることになります。

 

不起訴と罰金の関係

不起訴は「刑事裁判にかけない」ということですので、不起訴になれば罰金を支払うことはありません。

 

逆に、罰金になれば不起訴にならなかったことを意味します。通常、罰金は略式裁判という簡単な裁判で決められます。略式裁判は書面のみで審理され、法廷は開かれません。

                                                                                                                         

「罰金を支払えという書面が家に届いたが、裁判所に一度も行っていないので不起訴ではないのか?」と思われるかもしれませんが、略式起訴された上で略式裁判で審理されていますので、不起訴になったわけではありません。

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不起訴と逮捕は関係ない

逮捕されたか否かと不起訴になるか否かは関係ありません。

 

逮捕は逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあるときに行われます。これに対して、検察官が起訴するか不起訴にするかを決める際に、それと関連づけて、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれを検討することはありません。

 

逮捕されても不起訴になる事件はいくらでもありますし、逆に、逮捕されずに起訴されてしまうこともあります。

 

不起訴を獲得する方法

1.自白事件

起訴猶予または告訴取消(親告罪の場合)による不起訴処分の獲得を目指します。被害者のいる事件については、被害者と示談をして許してもらえれば、不起訴の可能性が高くなります。

 

親告罪については、示談をして告訴を取り消してもらえば、確実に不起訴になります。

 

刑事事件の被害者は加害者とコンタクトをとりたくないと思っているため、示談交渉は弁護士を通して行うことになります。

 

被害者のいない事件については、再発防止プランをきちんと実行し、検察官に納得してもらうことが必要です。弁護士が本人やご家族と協議して再発防止プランをたて、取り組み状況を証拠化して検察官に提出します。

 

2.否認事件

嫌疑なしまたは嫌疑不十分による不起訴処分の獲得を目指します。取調べにおいて自白調書をとらせないことが最大のポイントになります。弁護士が本人に取調べの対応方法をアドバイスし、場合によっては黙秘するよう指示します。

否認事件の刑事弁護

 

不起訴と民事裁判

不起訴処分になれば刑事裁判になることはありません。ただ、不起訴処分は刑事手続上の処分であり、民事裁判にならないことまで保証するものではありません。

 

もっとも、示談が成立して不起訴になった場合は、示談で取り決めた約束に反しない限り民事裁判にもなりません。

 

示談書には通常、示談で決められた義務以外に一切の義務を負わない旨を記載した精算条項が付けられているためです。

 

嫌疑なしや嫌疑不十分で不起訴になった場合は、有罪を認定する証拠がないと検察官が認めたことになりますので、相手方が民事裁判を起こしても勝ち目はほぼないと考えられます。そのため、民事裁判になる可能性は低いです。

刑事事件と民事裁判 

 

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