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不起訴処分告知書について弁護士が解説
このページはウェルネス法律事務所の弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
不起訴処分告知書とは
不起訴処分告知書とは、捜査の対象となった刑事事件(被疑事件といいます)について不起訴処分になったことが記載されている書面です。A4サイズの紙1枚に次の情報が書かれています。
①被疑者の氏名
②担当検察官の氏名
③被疑事実
④不起訴になったこと
⑤不起訴処分の日付
不起訴処分告知書は、捜査を受け不安な思いをしている被疑者に対して、不起訴になったことを告げることにより、事件が終わったことを知らせ、地位の安定を図る役割があります。
不起訴処分告知書を取得できるタイミング
不起訴処分告知書を取得できるのは、不起訴処分が正式に決定した後です。処分の流れとしては、まず担当検察官が不起訴とすべき旨の裁定書を作成し、上席検事の決裁に上げます。そこで、不起訴の決裁を受けてはじめて不起訴処分が決定します。
不起訴の決裁が下りる前の時点では、たとえ担当検察官が不起訴処分にする意向であったとしても、不起訴処分告知書は取得できません。
不起訴処分告知書の取得方法
不起訴処分告知書は、不起訴になれば、待っているだけで自宅に届くわけではありません。取得を希望するのであれば、被疑者側から請求する必要があります。具体的な取得の仕方は次のとおりです。
1.弁護士がいる場合
弁護士がいる場合は、弁護士に依頼して、不起訴処分告知書を取得してもらうのが一般的です。
2.弁護士がいない場合
弁護士がいない場合はご自身で請求することになります。請求の仕方については、①郵送による方法と、②検察庁に出向いて検察官や検察事務官から直接交付を受ける方法の二つがあります。
検察官によって、①でも②でもどちらでも対応してくれるケースと、②の方法しか対応してくれないケースがあります。
自分で請求した場合、どちらかというと②の方法しか対応してくれない検察官が多いようです。ただ、出張中に起こした刑事事件などで検察庁が遠方になる場合は、②の方法で対応してくれることが多いです。
【郵送で請求する場合】
申請書に必要事項を記入し、担当検察官に発送します。切手を貼った返信用封筒も同封してください。検察(事務)官によっては、簡易書留でしか返送しない方もいますので、事前に確認してください。
普通郵便で発送してくれる場合は、返信用封筒に貼る切手は84円です。簡易書留でしか返送してくれない場合は、さらに320円分の切手を加算してください。
【検察庁に出向く場合】
免許証などの身分証明証とシャチハタ以外の印鑑(認め印可)を持参してください。
不起訴処分告知書の取得費用
1.検察庁の費用
不起訴処分告知書は無料で取得できます。
2.弁護士費用
不起訴処分告知書の取得について弁護士費用がかかるかどうかは法律事務所によって異なります。不起訴処分告知書の取得は、弁護活動というよりは事務手続ですので、弁護士費用が発生するとしても、実費程度のことが多いです。
ウェルネス法律事務所では実費も含め無料で対応しております。
不起訴処分告知書の使用方法
1.公的手続
不起訴処分告知書を公的手続で使用することはありません。
2.その他の手続
公的手続以外の手続で不起訴処分告知書を使用することもありません。
もっとも、刑事事件が既に勤務先に知られており、懲戒処分の手続が進行している場合は、人事部に不起訴処分告知書を提出することにより、不起訴になった事実を証明することができ、懲戒処分が軽くなることも考えられます。公務員の方であれば提出した方がよいです。
不起訴処分告知書は保管しておくべき?
不起訴処分告知書は、公的手続やそれ以外の手続で使用する書類ではありません。そのため、不起訴処分告知書を手元に持っている必要はありません。不起訴処分告知書を保管しておくことのメリットとデメリットは次の通りです。
【メリット】
常に刑事事件のことを思いだすことにより、二度と罪を犯さないという決意を新たにすることができる。
【デメリット】
刑事事件になっていることを家族に黙っているケースでは、不起訴処分告知書を家族に見られることにより、事件化していることがばれてしまうリスクがある。
不起訴処分告知書は日常生活に必要なものではなく、紛失等のリスクもあります。そのため、ウェルネスでは希望される方にのみ不起訴処分告知書の原本をお送りしています。
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