微罪処分とは?対象となる犯罪や要件を弁護士が解説

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

微罪処分とは?

警察が認知して立件した事件は、検察官に引き継ぐことが原則です。検察官へ事件を引き継ぐことを「送致」といいます。

 

検察官は、送致を受けた事件について、起訴するのか不起訴にするのかを判断します。

不起訴処分

 

しかし、これには例外があり、一定の条件を満たせば、検察官に送致せずに警察署限りで終わりにすることができます。これが微罪処分です。

 

微罪処分として取り扱われると、検察官に送致されることはありません。1か月ごとに他の事件とまとめて「月報」という形で各地方検察庁のトップ(検事正)に報告されるだけです。

 

事件を起訴することができるのは検察官のみです。微罪処分は、警察署限りの処分となるため、起訴されることはなく、前科がつくこともありません。ただし前歴としてカウントされます。

前科と前歴との違い

 

微罪処分の根拠

微罪処分の根拠は「刑事訴訟法」という法律です。

 

【刑事訴訟法246条】

司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類を及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りではない。

 

246条の但書きで、「検察官が指定した事件」については送致する必要がないとされています。この規定をふまえて、昭和25年に、検事総長から各地方検察庁のトップ(検事正)に宛てて「送致手続きの特例に関する件」という文書が出されました。

 

この文書にもとづき、各地検の検事正が、管轄の県警本部長に対して、微罪処分の取り扱い基準を定めた文書を出して、運用基準を定めています。

 

微罪処分の対象になる犯罪

どのような犯罪が微罪処分として扱われるかは、各地方検察庁の検事正の指示に基づき、都道府県の警察ごとに決まっています。そのため、全国一律の基準はありませんが、通常は、以下の犯罪が微罪処分の対象とされています。

 

窃盗、占有離脱物横領、横領、詐欺、盗品等譲受け、賭博、暴行

 

上記の犯罪のうち特に軽微なものだけが微罪処分として扱われます。なお、痴漢や盗撮、強制わいせつなどの性犯罪は微罪処分の対象とはなりません。

 

微罪処分となるために必要な5つの要素

微罪処分の対象になる犯罪でも特に軽微なものしか微罪処分として扱われることはありません。具体的には、以下の5つの基準を満たしていることが必要です。

 

①被害額が2万円以下であること

②犯情が軽微であること

③被害回復がなされていること

④被害者の処罰感情が厳しくないこと

⑤素行不良者ではないこと

*前科や前歴があれば素行不良者と認定されやすくなります

 

例えば、窃盗であれば、初犯者が衝動的にコンビニで100円のパンを万引きしたが、店長と示談が成立し、許してもらったというケースでは、5つの基準を全て満たしているため、微罪処分になる可能性は十分にあります。

 

これに対して、同じ窃盗でも、オレオレ詐欺の出し子として銀行のATMからお金を引き出したケースでは、②「犯情が軽微」とはいえませんので、他の要素を全て満たしていても微罪処分として扱われることはありません。

 

微罪処分になる=逮捕されない

刑事事件に関するウェブサイトのなかには「微罪処分になればすぐに釈放される」と説明しているところもありますが、警察が微罪処分として扱うときには、逮捕しないで在宅事件として捜査を進めます。

 

逆にいうと、逮捕されていれば微罪処分として扱われることはなく、検察官に送致されます。

 

微罪処分にした後の3つの働きかけ

警察が事件を微罪処分として取り扱うことになれば、被疑者に対して次の3つの働きかけを行います。

 

①被疑者を厳しく叱り、将来を戒めます。始末書を書かせることもあります。

②同居の家族や職場の上司など被疑者を監督できる者を警察署に呼び出して、きちんと監督するように伝えて身柄請書にサインさせます。

③被疑者に対し、被害者に謝罪や弁償をするように諭します。

 

②について、「家族や上司に事件について知られたくない。」という場合は、弁護士が身元引受人になれることもあります。

身元引受人と刑事事件

 

微罪処分と弁護士

微罪処分がなされるためには、被害が回復されており、被害者が厳しい処罰感情をもっていないことが必要になります。

 

弁護士を通じて、被害者と示談をすることができれば、「示談金の支払い」という形で被害は回復されたことになります。

 

また、示談書には「許す」とか「刑事処罰を求めない」という文言が入っていますので、示談書にサインしてもらえれば、被害者が処罰感情を持っていないことを警察に納得してもらうことができます。

 

もし微罪処分として扱われなかったとしても、示談が成立していれば、送致後に速やかに不起訴を獲得できる可能性が高まります。

 

そのため、被害者がいる事件であれば軽微なものであっても、弁護士に依頼した方がよいでしょう。

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