身元引受人と刑事事件

 

身元引受人とは                                                             

刑事事件でよく「身元引受人」という言葉が出てきますが、はっきりとした定義があるわけではありません。一般的には、「本人が間違った行動に走らないよう監督する人」という意味で使われています。

 

「間違った行動」の例としては、逃亡、証拠隠滅、警察署への不出頭、さらなる犯罪行為、被害者へのお礼参り、自殺などが考えられます。こういったことをしないよう監督する人が身元引受人というわけです。

 

 

身元引受人が必要になるとき

刑事事件で身元引受人が必要になる場面としてまず考えられるのは、初めて警察で取調べを受けた後です。ここで警察から身元引受人を求められるかどうかで、逮捕されるか否かが概ね予想できます

 

警察から身元引受人の話が出たら逮捕されることはないと思ってもらって構いません。逆に、逮捕するのであれば警察から身元引受人の話が出ることはありません。

 

逮捕されなければ、たとえ被疑者であっても自由に日常生活を送ることができます。そのため、逃げたり、警察への出頭要請を無視しないように、身元引受人に監督してもらいます。逮捕するのであれば、身柄拘束されるので、そのような監督は必要ないということになります。

 

他に身元引受人が必要になるケースとして、本人が逮捕・勾留された後に弁護士が釈放を求める場合、保釈請求をする場合、刑事裁判で執行猶予を求める場合などがあります。

 

 

身元引受人を立てるまでの流れ

痴漢で検挙された場合を例に挙げると以下のようになります。

 

① 被害者に取り押さえられる

② 駅事務室に移動

③ 警察官が到着→最寄りの警察署に連行

④ 指紋採取、写真撮影、取調べなど一連の捜査を行う

⑤ 捜査がひと通り終了した後、警察からご家族に電話し、事件の概要を説明し、身元引受人として本人を迎えにくるよう要請する

⑥ 家族が警察署に迎えに来る

⑦ 家族が警察署で身柄請書に署名・捺印

⑧ 本人と一緒に帰宅する

 

以上が一般的な流れですが、親が遠方に住んでおりすぐに迎えにこれない場合は、警察担当者が親と電話でやりとりするだけで身元引受の手続きをすることもあります。

 

 

身元引受人になれる人

身元引受人の資格については法律上制限はありません。ただ、誰でもよいというわけではなく、本人を監督するのにふさわしい人が身元引受人になります。一般的には家族が身元引受人になることが多いです。職場の上司や弁護士が身元引受人になることもあります。

 

警察は、まずは同居のご家族に電話をかけて、身元引受人になるよう促すのが通常です。ご家族が遠方に住んでいるとか、ご本人がどうしても家族に電話してほしくないという場合は、職場の上司や友人などに電話をかけることもあります。

 

 

身元引受人は何をすればよいのか

身元引受人がするべきことは、一般的には、本人が逃亡や証拠隠滅をしないように監督することです。では具体的にどのように監督すればよいのでしょうか?

 

身元引受人が警察で作成する身柄請書には「今後、私がこのようなことがないよう指導すると共に、呼出の場合は出頭させます」と記載されています。それ以上細かいことは書かれていません。そのため、身元引受人が、本人が外出するたびに付き添ったり、家の中でずっと監視していないといけないというわけではありません。現実問題としてそのようなことは不可能でしょう。

 

警察としては、被疑者と親しい関係にある人が、警察から事件の概要について説明を受け、身柄請書に署名・捺印したこと自体によって、一定の監督になっていると考えているようです。したがって、身元引受人になったからといって、具体的に何かをするように求められるわけではありませんし、警察から定期的に電話がかかってくるわけでもありません。

 

ただ、逮捕・勾留後に釈放を求める場合や保釈請求をする場合は、弁護士が、身元引受人がどのように監督するか具体的に決める場合もあります(例:毎日1回電話する)。そのようなケースでは決めた通りに監督することが求められます。

 

 

身元引受人の責任

本人が何か問題を起こしたとき、身元引受人は、警察や裁判所に対して何らかの責任を負うのでしょうか?

 

答えはノーです。

 

本人が不祥事を起こしても、身元引受人が警察や裁判所に対して責任を負うことはありません。もっとも、だからといって、全く無関心というのはいただけません。本人の日頃の行動や出頭する日時に関心をもつ姿勢は必要でしょう

 

また、保釈が認められた場合、身元引受人が保釈金を負担していることが多いですが、もし、本人が逃げたり証拠隠滅を行った場合、保釈金は没収されます。

 

 

身元引受人のQ&A

Q1:逮捕されない場合は警察から必ず身元引受人を立てるよう求められますか?

ほとんどのケースで身元引受人を立てるよう求められますが、次の3つのケースでは求められないこともあります。

 

① 軽微な事件で、本人が自白しており、逃亡・証拠隠滅の可能性が低いと考えられるケース

例)軽犯罪法違反で本人が自首した場合

 

② 否認事件で、必ずしも嫌疑が濃厚とはいえないケース

例)痴漢事件で被害者が酒に酔っており供述の信用性に問題がある場合

 

③ 警察が近々逮捕を予定しているケース

例)尿検査で覚せい剤の陽性反応がでた場合

 

 

Q2:弁護士が身元引受人になることは可能ですか?

弁護士が捜査担当者と交渉すれば可能なことが多いです。ウェルネスの弁護士もこれまで何度も身元引受人になっています。ただ、通常、弁護士が身元引受人になるには、事前に本人と委任契約を結んでいる必要があります。

 

ウェルネスでは自首をした際に、家族に発覚することを防ぐため、弁護士が身元引受人になることが多いです。

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