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【絶対さけたい】保釈金没収とは
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
保釈金が没収される5つのケース
保釈後の状況によっては、裁判所に納めた保釈金が没収されることがあります。判決前に裁判所が保釈金を没収できるのは、保釈を取り消した場合に限られます。保釈を取り消さずに、保釈金だけ没収することはできません。
通常、保釈金の取消しと保釈金の没収は同時に行われます。保釈が取り消されれば、本人は再び勾留されることになります。その上、保釈金も没収されてしまうと、本人にとっては踏んだり蹴ったりということになります。
裁判所が保釈を取り消すことができるのは次の5つのケースです。
①被告人が裁判の期日に正当な理由がなく出頭しないとき。
②被告人が逃亡したとき、または、逃亡すると疑われる相当な理由があるとき。
③被告人が証拠を隠滅したとき、または、証拠を隠滅すると疑われる相当な理由があるとき。
④被告人が被害者などの関係者、その親族の身体や財産に危害を加えたときや加えようとしたとき、または、これらの者を怖がらせる行為をしたとき。
⑤被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
これらのいずれかに該当する場合、裁判所は保釈金の全部または一部を没収することができます。
裁判所は、保釈の取消しや保釈金の没収を判断するにあたって、検察官、被告人、弁護士の意見を聴く必要はないとされています。裁判所の判断に納得いかない場合は、被告人や弁護士は不服を申し立てることができます。
*初公判前は裁判所ではなく裁判官が判断します。
保釈金没収と身元引受人
保釈が認められるためには、家族などの身近な人に本人の身元引受人になってもらう必要があります。
そのため、弁護士が保釈請求する際、身元引受人に「責任をもって本人を監督します。」といった誓約書を書いてもらい、裁判所に提出します。保釈金についても身元引受人が負担することが多いです。
それでは、「身元引受人が本人を十分に監督していない」という理由で保釈金が没収されることはあるのでしょうか?
結論から言うとそのようなことはありません。身元引受人が本人を監督するのは法的な義務ではないからです。そのため、「身元引受人の監督不十分」を理由として、保釈金が没収されることはありません。
もっとも、身元引受人が本人を十分に監督していない結果、本人が逃亡したり証拠を隠滅したりすると、それを理由として保釈金が没収されることになります。そのため、身元引受人としても、本人とよくコミュニケーションをとって、監督する必要があります。
保釈金没収と再犯
保釈中に別の犯罪を起こして逮捕・勾留された場合、保釈が取り消され、保釈金は没収されるのでしょうか?
結論から言うと、保釈金は没収されません。保釈は事件単位で許可されますので、別の刑事事件で逮捕・勾留されても、既に保釈された事件に影響はありません。例えば、覚せい剤使用罪で保釈中に、また覚せい剤を使用して逮捕・勾留された場合など、保釈中の刑事事件と同種の事件で逮捕・勾留されても、保釈に影響はありません。
そのため、保釈金は没収されませんが、保釈そのものは有効である以上、保釈金が返金されることもありません。返金されるのは裁判終了後になります。本人を釈放させるためには、新たな刑事事件が起訴された後、その事件について保釈請求をして認められる必要があります。
保釈金没収の流れ
保釈金が没収されるまでの流れは以下の通りです。
①保釈取消しの対象になる事態が発生する。
②検察官の請求または職権によって裁判所が保釈を取り消す。
③裁判所が保釈金の全部または一部を没収する。
④保釈取消し決定と保釈金没収決定の書面が制限住居(保釈中の住居)に送達される。
⑤捜査機関の職員が本人に勾留状と保釈取消し決定の謄本を提示して、身柄を拘束する。
保釈金没収を防ぐために
☑ 被害者に直接あやまりに行きたい
☑ 保釈されたが親がうるさいので彼女の部屋で寝泊まりしたい
☑ 判決前に思い出作りに1週間海外旅行に行きたい
勝手にこのようなことをすると保釈が取り消され、保釈金が没収される可能性が十分にあります。保釈中に少しでも気になることがあれば、まずは弁護士に相談してください。
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