不起訴処分を獲得する

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

起訴前にすべき2つの弁護活動

起訴前にすべき弁護活動は次の2つです。

 

① 早期釈放を実現する

② 不起訴処分を獲得する

 

このページでは不起訴処分の獲得について解説しています。

 

なぜ不起訴処分をめざすのか

起訴されると99パーセント以上の確率で有罪となります。どうして、有罪になる確率がこんなに高いのでしょう?

 

日本の検察官が抜群に優秀というわけではありません。検察官が裁判で有罪にもっていけないと判断した事件は起訴しないのです。起訴のハードルを上げることによって、裁判で無罪になるリスクを低くしているのです。

 

ではどれほどの事件が不起訴になるのでしょうか?

 

不起訴になる割合は約60パーセントです。このことから、起訴された後に無罪を目指すよりも、不起訴を目指す方が圧倒的に有利なことがわかります。

 

不起訴処分の3つのメリット

1.前科がつかない

不起訴処分とは刑事裁判にはしないということです。裁判にならない以上、有罪判決が下されることはなく前科がつくこともありません。

 

2.早期に刑事手続から解放される

起訴されてから判決が出るまで、短くても1ヶ月はかかります。長いと1年以上かかることもあります。不起訴となればその時点で事件が終了し、同じ事件で再び逮捕されたり、起訴されることはありません。早期に刑事手続から解放されることになります。

 

3.懲戒解雇のリスクが下がる

事件のことが職場に発覚している場合、たとえ懲戒処分を受けるとしても、起訴されて有罪判決を下された場合に比べ、不起訴処分で速やかに事件を終結させた方が、処分が軽くなることが多いです。

 

不起訴獲得のためにするべきこと

被疑者を起訴するか不起訴にするかを決めるのは検察官です。そのため、不起訴を獲得するためには、弁護士が検察官に対して、不起訴とすべき事情があることを説得的に主張する必要があります。そのような事情の例として以下のような事情があります。

 

1.犯罪そのものについて

●衝動的な犯行で計画性がない

●犯罪行為が同種の事案と比べて悪質とはいえない

●被害が重大ではない

 

2.その他の情状について

●本人が事実を認め反省している

●被害者に謝罪している

●被害者と示談が成立した

●家族が監督してくれる

●カウンセリングを受けるなど再発防止に向けた活動を行っている

●前科前歴がない

●若年である

 

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