保釈中の生活

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

保釈中は原則として自由に生活できる

保釈中は、裁判所に指定された条件に違反しない限り、逮捕前と同様の生活をすることができます。普通に外出してもよいですし、友人と遊んだり、恋人とデートすることもできます。よくある保釈の条件は次の通りです。

 

1 東京都~に居住しなければならない。住居を変更する必要ができたときは、書面で裁判所に申し出て許可を受けなければならない。

 

2 裁判所から召喚を受けたときは、必ず定められた日時に出頭しなければならない。

 

3 逃げ隠れしたり、証拠隠滅と思われるような行為をしてはならない。

 

4 海外旅行または3日以上の旅行をする場合には、前もって、裁判所に申し出て、許可を受けなければならない。

 

5 被害者や事件関係者に対し、直接または弁護人を除く他の者を介して、一切の接触をしてはならない。

 

保釈が許可されると、裁判所から「保釈許可決定書」という書類が保釈中の住居に送られてきます。保釈許可決定書に保釈の条件が列挙されているので、内容をよく読んで、疑問点があれば弁護士にお尋ねください。

 

保釈許可決定書は裁判所から特別送達という郵便で送られてきます。本人だけではなく同居人も受け取れますが、家に誰もいないと不在票がポストに投函されます。もし不在票が入っていれば、速やかに再配達してもらってください。

 

保釈と仕事

保釈中に仕事をすることもできます。ただ、保釈中は、裁判官によって居住場所を指定されますので、リゾートバイト等の住み込みの仕事は難しいでしょう。

 

就職活動も自由にできます。保釈中であることを履歴書に書く義務はありませんし、自分の方から採用担当者に説明する義務もありません。保釈中に就職活動をして仕事を見つける人も多いです。

 

執行猶予の見込みがある場合、再スタートは早いに越したことはありません。可能であれば仕事を始めた方がよいでしょう。保釈中に仕事が決まった場合は雇用契約書等を証拠として提出します。

 

保釈と旅行

保釈の条件として、通常「海外旅行または3日以上の旅行をする場合には、前もって、裁判所に申し出て、許可を受けなければならない。」と定められます。

 

1泊2日であれば「3日以上の旅行」にはあたりませんが、2泊3日は「3日以上の旅行」にあたります。裁判所の許可が必要な場合は、事前に弁護士が裁判所に、行き先や日数、同伴者、旅行目的などを記載した旅行許可申請書を提出します。

 

海外旅行は認められにくいですが、仕事でどうしても出張が必要な場合や、逮捕前から予約していた海外挙式等については認められる余地があります。

 

ただ、日本国籍を有しない方は海外旅行が許可される可能性は低いです。それ以前に、弁護士が保釈中にパスポートを預かるという条件を提示しないと保釈が許可されないことが多いです。

 

国内旅行は1週間程度であれば認められる可能性が高いです。

 

保釈と資格試験

保釈中に資格試験を受けることもできます。合格すれば、裁判所に合格証を証拠として提出します。社会復帰に向け努力していることは、裁判でも良い情状として考慮されることが多いです。

 

なお、試験は自由に受けることができますが、刑罰の種類によっては、合格しても登録できなかったり、資格に基づく活動が制限される場合があります。詳細は弁護士にご確認ください。

 

 

 

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