保釈中の旅行

保釈中の旅行

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

 

 

保釈中の旅行とは

保釈中になされる旅行とは、「日常の生活圏の外に出ること」です。「観光旅行」だけではなく、里帰りや遠方で行われる法事への参加、仕事での出張も旅行に含まれます。

 

 

保釈中の日帰り旅行、1泊2日の旅行

保釈中は、裁判所が出した条件に反しない限り、自由に旅行することができます。

 

 

保釈が許可されると、保釈許可決定という紙が裁判所から送られてきますが、この紙に、保釈中に守らないといけない条件が書かれています。旅行に関する条件として、「海外旅行又は3日以上の旅行をする場合には、前もって、裁判所に申し出て、許可を受けなければならない。」という条項が入っています。

 

 

2泊3日の旅行は「3日以上の旅行」になりますので、事前に裁判所に申し出て許可を受ける必要があります。これに対して、日帰り旅行や1泊2日の旅行は、裁判所の許可なく自由に行くことができます。裁判所に報告する必要もありません。

 

 

ただ、何かあったときのために、弁護士には滞在先や宿泊日数を報告しておいた方がよいでしょう。

 

 

保釈中の2泊3日以上の旅行

保釈中に2泊3日以上の旅行に行くためには裁判所の許可が必要ですが、実際は、ほとんどのケースで許可されます。単なる観光旅行でも許可されます。

 

 

2泊3日以上の旅行が許可制とされているのは、逃亡や証拠隠滅を防ぐためです。裁判官は、保釈するかどうかを判断する際に、逃亡や証拠隠滅のおそれを検討し、それが低いと考えたからこそ、保釈を許可したのです。

 

 

2泊3日以上の旅行に行ったからといって、急に逃亡や証拠隠滅のおそれが高まるわけではありません。そのため、旅行の許可申請が却下されることはめったにありません。

 

 

もっとも、長期間の旅行は認められないことがあります。保釈中の条件として、特定の住居(制限住居)に居住することを求められますが、長期間の旅行を認めると、この条件が骨抜きにされてしまうからです。

 

 

何が長期間かは、判決までの日数や、旅行の目的等によって変わってきますが、1週間を超えると長すぎると判断される可能性が高くなってきます。

 

 

保釈中の海外旅行

海外旅行も日数を問わず裁判所の許可が必要です。国内旅行と異なり、海外旅行が許可されるケースはそれほど多くはありません。海外への渡航を許すと逃亡の可能性が高いと判断されるためです。

 

 

例外的に、仕事でどうしても出張が必要な場合や、逮捕前から海外で結婚式を挙げる計画を立てており、家族・親族と一緒に海外に行くようなケースでは許可される余地があります。

 

 

外国人の被告人については、海外旅行を許すと、母国へ帰ってしまい、そのまま日本に戻ってこない可能性が高いと判断されますので、許可されない可能性が高いです。

 

 

保釈中の旅行許可申請の流れ

①弁護士から裁判所に旅行許可申請書を提出する。

②裁判官が申請を許可するか却下するかを決定する

③裁判所が弁護士に結果を通知する

 

*旅行許可申請書はFAXではなく原本を裁判所に提出します。

*結果は、裁判所の書記官が電話で弁護士に通知します。その後に弁護士のもとに決定書が届きます(電話だけの場合もあります)。

 

 

保釈中に許可が必要な旅行をする場合の注意点

海外旅行と2泊3日以上の国内旅行をするときは、あらかじめ裁判所に旅行許可申請書を提出し許可を得る必要があります。そのため、遅くとも旅行に出発する1週間前には弁護士に報告するようにしてください。

 

 

旅行に出発する前日や当日の朝に弁護士に連絡してくる方がいますが、裁判官の都合もありますので、出発までに許可が下りないことも考えられます。

 

弁護士に報告する際には次の点をお伝えするようにしてください。

 

①旅行先

②滞在するホテル等の名称・住所

③旅行目的

④同行者

⑤旅行先への移動方法

 

 

 

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