保釈中に仕事をすることにより執行猶予の可能性が高まる?

保釈中の仕事

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

 

 

保釈中に仕事できる?

保釈が許可される際、裁判官から「共犯者や被害者と接触してはいけない」等の条件をつけられますが、「仕事をしてはいけない」という条件をつけられることはありません。そのため、保釈中であっても仕事をすることができます。

 

 

仕事の形式としては、単発のアルバイトでもフルタイムの正社員でも可能です。ただ、裁判所から、保釈中に生活する住居を指定されますので、期間工やリゾート地でのアルバイトなど住み込みの仕事はできません。

 

 

保釈中の就職活動-保釈中であることを言わないといけない?

前科については、履歴書に賞罰の欄がある場合、「罰」に当たるものとして、記載すべき義務があると考えられます。そのため、前科があるにもかかわらず、賞罰欄に記載しなければ、後日会社に発覚した場合、懲戒解雇されるおそれがあります。

 

 

前科とは「刑事裁判で有罪の確定判決を受けたこと」です。保釈中は、まだ判決が言い渡されていませんので、たとえ罪を認めている場合でも、「前科」にはなりません。

 

 

そのため履歴書の賞罰欄にも保釈中であることを記載する必要はありません。また、採用面接の際、自発的に保釈中であることを申告する義務もありません。

 

 

とはいえ、実刑判決の可能性が高いケースで、保釈中であることを言わずに就職すれば、会社に大きな迷惑をかけることになりかねません。正社員としての入社は控える等の配慮が必要でしょう。

 

 

保釈中に仕事をして執行猶予の可能性が高まるケース

保釈中に単発のアルバイトを何回かしただけで執行猶予の可能性が高くなることはないでしょう。裁判官は、単に「保釈中に仕事をしている」ということではなく、「社会復帰後の勤務先が確保され、雇用主や上司が本人の監督を約束していること」という事情を重視します。

 

 

そのため、刑事事件の内容を理解した上で更生を支援してくれる勤務先を確保し、保釈中からその会社で働いているという実績があれば、裁判官に有利な事情として考慮してもらえ、執行猶予の可能性が高まるといえるでしょう。

 

 

ただ、そのような勤務先を確保するのは決して簡単なことではありません。実際は、①雇用主が本人の親族や友人であるケース、②逮捕前から雇用主のもとで働いていて強固な信頼関係があるケースなどに限られるでしょう。

 

 

保釈中に仕事していることを裁判でどうアピールする?

刑事裁判では、単に「保釈中に仕事をしていること」ではなく、「刑事事件の内容を知った上で更生を支援してくれる勤務先で仕事をしていること」が重視されます。 そのような勤務先で仕事をしていれば、次の2つのいずれかの方法により裁判官にアピールします。

 

 

1.雇用主や上司に情状証人として出廷してもらう

最も効果的なのは、雇用主や上司に情状証人として出廷してもらい、弁護士の尋問に応えて、本人の働きぶりや職場で本人を監督する意思があることを証言してもらうことです。

 

 

2.雇用主に書面を作成してもらう

雇用主や上司に法廷まで来てもらうことが難しい場合は、本人の働きぶりや職場で本人を監督する意思があることを書面にしてもらい、弁護士が裁判所に提出します。

 

 

 

保釈のページ

保釈を弁護士に相談-保釈金・申請が通る確率・保釈の流れ

権利保釈とは?保釈却下の理由となる6つの除外事由を解説

裁量保釈とは?保釈につながる5つの「特別の事情」を弁護士が解説

検察官の保釈意見とは?3つのタイプと活用方法を弁護士が解説

保釈許可に備えて準備すること6つを弁護士が教えます

保釈が許可されてから釈放されるまでの流れ

【東京拘置所】保釈金を納付してから保釈されるまでの流れ

保釈中の生活

保釈中の旅行

保釈中に仕事をすることにより執行猶予の可能性が高まるか

【絶対さけたい】保釈金没収とは

保釈中に逃亡したらどうなる?

保釈許可と検察官の準抗告・抗告

再逮捕・追起訴と保釈

オレオレ詐欺と保釈

保釈のご質問

保釈のご質問2