情状証人

このページはウェルネス法律事務所の弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

情状証人とは

情状証人とは、刑事事件の裁判で、被告人の刑が少しでも軽くなるよう、被告人の人となりや生活状況、今後の更生に向けてどのようにサポートしていくのか等について証言する証人のことです。

 

情状証人で最も多いのは被告人の家族です。通常はご家族の中から1名に情状証人になってもらうことが多いです。ご家族以外に雇用主や職場の上司が情状証人になることもあります。情状証人として誰に協力してもらうかは、弁護士が被告人やご家族らと相談して決めることになります。

 

情状証人を立てないケース

情状証人には、主として、罪を犯した被告人を更生させるために、どのようなことができるのかをお話ししてもらいます。被告人が無罪を主張している場合は、更生ということは問題にならず、情状証人を立てる必要はありません。

 

もっとも、殺人で起訴された被告人が、殺意については否認しつつ、傷害致死の限度で罪を認めている場合など、一部についてのみ無罪を主張しているケースでは、認めている犯罪を前提として、情状証人を立てることもあります。

 

情状証人-いつ証言台に立つのか?

被告人が罪を認めている場合は、重大犯罪を除き、審理は初公判のみで終わることが多いです。したがって、情状証人の尋問も初公判で行われることになります。

 

複数の刑事事件が異なるタイミングで起訴(追起訴)されるケースでは、情状証人の尋問は、起訴された全ての事件について、検察側の証拠が取り調べられた後に実施されます。

 

オレオレ詐欺など、多くの追起訴が見込まれる事件では、最初の起訴から半年以上経ってから情状証人の尋問を行うこともあります。

 

情状証人-尋問の流れ

①裁判長に促され傍聴席から証言台に移動します鞄なども携帯して移動します)

 

②証言台の前で立ったまま、正面に座っている裁判官の方を向いて、嘘をつかない旨の宣誓をします宣誓内容が記載された紙を読み上げてもらいます)

 

③証言台の前に着席します

 

④弁護士による主尋問主尋問は10分程度の場合が多いです)

 

⑤検察官による反対尋問主尋問よりも短くなることが多いです)

 

⑥裁判官による補充尋問反対尋問よりもさらに短くなることが多いです。全く尋問しないこともあります。)

 

⑦全ての尋問終了後、傍聴席に戻ります

 

情状証人-本番で気をつけること

尋問に際しては以下の4点に留意してください。

 

①証言中は前を向いて発言しましょう

法廷で、情状証人は、裁判官の真正面に設置された証言台に着席して証言をします。弁護士と検察官は、証言台の両サイドにお互い向かいあう形で座っています。

 

このような位置関係のため、弁護士や検察官は、情状証人の横から質問をしますが、回答する際には、正面(裁判官)を向いて発言してください。証言は録音されていますが、証人が横にいる弁護士や検察官を見ながら発言すると、マイクが音声を拾えずうまく録音できないころがあるからです。

 

②弁護士や検察官の質問が終ってから発言しましょう。

弁護士や検察官の質問と情状証人の回答が重なってしまうと、うまく聴き取れません。まずは、弁護士や検察官の質問を最後までよく聞いて、その後に発言するようにしてください。

 

③聞かれたことに対して簡潔に答えましょう

裁判官は、情状証人が長々と話を続けることを嫌がります。ポイントを絞って端的に答えるようにしましょう。弁護士としても一つの質問で複数のことを聞こうとするのではなく、情状証人が簡潔に答えることができるよう、複数の質問に分解して聞く等の工夫が必要です。

 

④具体的なことを話しましょう

単に「被告人を監督します」と言うだけではなく、具体的にどのように監督するのか踏み込んで発言した方が裁判官の印象も良くなります。

 

例えば、覚せい剤使用罪で起訴されている被告人の情状証人であれば、「今後、不定期に被告人の部屋や持ち物を探索し、違法薬物がないかどうかをチェックします。もし、違法薬物があれば、警察に通報します。」等と具体的に発言した方がよいです(予め被告人の同意を得ていることが前提となります)。

 

情状証人-事前の準備

尋問の準備は弁護士が行います。弁護士が主尋問で尋ねる質問事項を紙にまとめて事前に情状証人にお渡しすることが多いです。また、情状証人に事務所に来てもらい、弁護士が証人尋問のリハーサルを行います。反対尋問についても、事案の内容に基づき、弁護士が検察官からどのような質問がくるのかを予測し、対策をたてていきます。

 

情状証人-最も大切なこと

情状証人が法廷で「被告人を監督します」というだけではあまり説得力がありません。裁判では、被告人を更生させるために具体的にどのようなことをしてきたのか-その積み重ねが問われます。

 

性犯罪事件では、定期的に加害者家族のミーティングに参加し、被告人と共に、性の問題についての知見を深めることが考えられます。薬物事件では、回復支援施設を見学したり、依存症患者の家族会に参加する等して、被告人と一緒に依存症を克服していく姿勢を示すことが考えられます。

 

情状証人の日当

証人として出廷すれば、裁判所から日当が支給されます。金額は8000円程度です。ただ、裁判所から日当をもらえば、その日当について裁判所から被告人に対して請求がいくことになります。そのため、通常、情状証人は日当を放棄します。

 

【情状証人のページ】 

情状証人(本ページ)

情状証人の総合ページ

情状証人-尋問当日の流れ

事前に読んでおくと安心して本番に臨めます。

情状証人と反対尋問

反対尋問への対応方法について解説しています。

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