情状証人が反対尋問をのりきるための3つのポイント

情状証人への反対尋問

 

 

このページはウェルネス法律事務所の弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

 

 

情状証人への反対尋問とは?

情状証人への尋問は弁護士による主尋問から始まります。主尋問がひとしきり終わったら、検察官が質問したいことを情状証人に尋ねます。これが反対尋問です。

 

 

反対尋問が終わった後は弁護士に再主尋問の機会が与えられます。

 

 

情状証人への反対尋問は予測できる

主尋問については、事前に弁護士と打ち合わせをするので、想定外の質問を受けることはありません。一方、反対尋問については、検察官はどんな質問をするのか事前に教えてくれません。

 

 

情状証人になる方は、「反対尋問でどんなことを聞かれるのだろう?」と不安な気持ちになるでしょう。

ただ、結論から言うと、それほど心配する必要はありません。

 

 

検察官が反対尋問で何を狙っているのかをおさえると、反対尋問を予測することができます。

 

 

情状証人への反対尋問-検察官の3つの狙い

情状証人が法廷で証言する目的は被告人を監督する意思とプランがある」ということを裁判官にアピールするためです。

 

 

一方、検察官が情状証人に反対尋問をする目的は、「情状証人が被告人を十分に監督することはできない」ということを裁判官にアピールするためです。

 

そのため、検察官は反対尋問によって、次の3つのポイントを情状証人から引きだそうとします。

 

 

ポイント① 事件が発生する前は情状証人が被告人を監督できていなかった

ポイント② 情状証人が被告人の事件を把握していない

ポイント③ 情状証人が具体的な監督プランを持っていない

 

ポイント①について

事件前に情状証人が被告人を監督できていなければ、事件後も監督できないのではないか?という疑念が生じます。

 

ポイント②について

情状証人が被告人がした犯罪をわかっていなければ、何をどう監督すればいいのかもわかっていないということになります。

 

ポイント③について

情状証人がいくら「責任をもって監督します!」等と言っても、具体的な監督プランを言えなければ、発言に説得力がなくなります。

 

 

情状証人へのよくある反対尋問3つ

検察官は、反対尋問で、上で述べた3つのポイントを引き出すために、情状証人に対して、次の3種類の質問をすることが多いです。

 

 

質問①:ポイント①を引き出すための質問

「事件が起こる前、あなたは被告人とどれくらいの頻度で連絡をとりあっていましたか?」

「事件が起こる前、被告人の様子に変わったところはありませんでしたか?」

 

 

質問②:ポイント②を引き出すための質問

「今回、被告人が起こした事件について簡潔に説明してもらえますか?」

 

 

質問③:ポイント③を引き出すための質問

「あなたは具体的にどのように被告人を監督するつもりですか?」

 

 

情状証人が反対尋問をのりきる3つのポイント

情状証人が検察官の反対尋問に対応するためのポイントは次の3つです。

 

 

ポイント①:検察官の質問①への対応

質問①は過去の状況に対する質問です。情状証人は嘘をつくことはできませんので、正直に答えてください。たとえ満足のいく答えを返せなかったとしても、最後に「今後は~します。」等と未来志向でフォローするのがポイントです。

 

【具体例】

「事件が起こる前、あなたは息子さんとどれくらいの頻度で連絡をとりあっていましたか?」

→「ほとんど連絡をとりあっていませんでした。今後は少なくとも週に1回は息子に電話し、状況を確認します。

 

 

「事件が起こる前、娘さんの様子に変わったところはありませんでしたか?」

→「私が見る限り変わったところはありませんでした。今後は娘ともっとコミュニケーションをとり、少しでもおかしなところがあれば、声かけをしていきます。

 

 

ポイント②:検察官の質問②への対応

事件の内容を事前に被告人や弁護士に確認しておいてください。ただ、反対尋問はクイズではありませんので、事件に至る経緯をこと細かに全て暗記する必要はありません。ポイントを押さえて簡潔に説明できれば十分です。

 

 

ポイント③:検察官の質問③への対応

具体的な監督プランは、事件の内容や情状証人と被告人との関係、お互いの生活状況などによって異なります。事前に弁護士や本人とよく打ち合わせをしておきましょう。

 

 

情状証人への主尋問で反対尋問の対策をする

上で述べた3つのポイントは、あらかじめ主尋問でフォローしておくことも可能です。

 

 

予想される検察官の3種類の質問を、弁護士が先回りして主尋問で聞いておくと、検察官が反対尋問で聞くことがなくなってしまい、情状証人をねちねち追及することができなくなります。

 

 

ウェルネスの弁護士もそのようにしています。

 

 

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