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準抗告とは?裁判官や検察官の処分への対抗手段

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

準抗告とは?

準抗告とは、裁判「」のした処分に納得できないときに、裁判「」に対して、その処分の取り消しや変更を求める申立てです。

 

準抗告の対象となる処分は、1人の裁判官によって行われます。この処分に対して準抗告の申立てをすると、3人の裁判官が合議で判断します。この3人の裁判官の中には、もともとの処分をした裁判官は含まれません。このように3名の裁判官が審理することによって、より慎重な判断が期待できます。

 

裁判官の処分だけではなく、検察官のした一定の処分に納得できないときにも準抗告をすることができます。

 

準抗告できる裁判官の処分とは?

準抗告を申し立てることができる裁判官の処分は、原則として、初公判「前」の処分になります。

 

刑事手続の大きなルールとして、初公判前の処分は裁判「」が行い、初公判後の処分は公判を担当する裁判「」が行います。初公判前に処分を行った裁判官が、ひきつづき初公判後も公判を担当することはありません。

 

このように初公判の前後で担当者をきちんと分ける理由は、公判を担当する裁判官が先入観をもたずに白紙の状態で初公判に臨めるようにするためです。このルールを予断排除の原則といいます。

 

そのため、準抗告の対象となる処分の多くは、「初公判までになされた処分」です。初公判後になされた処分に納得できないときは、準抗告ではなく、抗告によって不服を申し立てることになります。

 

*細かく言うと、初公判後も裁判「官」が行える処分がありますが、準抗告で問題になることはほとんどないため省略します。

 

準抗告できる裁判官の5つの裁判

準抗告の対象となる裁判官の処分は、次の5つのグループに分けることができます。

 

① 忌避の申立てを却下する裁判

忌避の申立てとは、担当の裁判官について、公平な裁判を期待できない事情があるときに、その裁判官を担当から外すよう求める申立てです。「公平な裁判を期待できない」例として、裁判官が事件の被害者であったり、被害者の親族であるケースが挙げられます

 

弁護士が忌避の申立てをして却下された場合、準抗告を申し立てることができます。

 

② 勾留、保釈、押収、押収物還付などに関する裁判

準抗告のなかで圧倒的に多いのが勾留と保釈に関する申し立てです。9割以上はこの類型になります。弁護士だけではなく、検察官からの申立ても少なからずあります。

 

勾留とは被疑者や被告人の身柄を拘束する処分です。起訴前は最長20日間です。起訴後は基本2か月で1か月単位で更新されます。

 

保釈は起訴後に裁判所に保釈金を納めて、勾留されている被告人を釈放させることです。

 

勾留や保釈に関する処分は,初公判後は裁判所が行いますが、初公判前は裁判官が行います。裁判官が行ったこれらの処分に納得ができない場合は、準抗告を申し立てることができます。

 

【具体例】

ケース

釈放

準抗告の申立人

検察官の勾留請求を認める裁判

釈放されない

弁護士

検察官の勾留請求を却下する裁判に対する準抗告

釈放される

検察官

保釈請求を却下する裁判

釈放されない

弁護士

保釈請求を認める裁判

釈放される

検察官

 

勾留請求が却下された場合や保釈が許可された場合に検察官が準抗告を申し立てると、申立てが棄却されるまで被疑者や被告人が釈放されることはありません。

 

逆に言うと、被疑者や被告人が釈放された後に検察官が準抗告を申し立ててくることはありません。

 

押収や押収物の還付に関する裁判については、実務では準抗告が申し立てられることはめったにありませんが、捜索差押え令状に記載されている対象物が特定されていないとして準抗告が申し立てられたケースで、差押えの裁判が取り消された例があります。

 

令状に基づいて差押えが実施された後は、差押えの裁判については準抗告を申し立てることはできません。この場合、捜査機関の差押え処分に対して準抗告(後述)を申し立てることになります。

 

③ 鑑定留置を命ずる裁判

鑑定留置で最も多いのは、責任能力に問題があるように見える被疑者や被告人について、医師の精神鑑定を集中的に受けさせるために、一定の期間、病院や拘置所に収容する制度です。

 

鑑定留置をするかどうかは、捜査機関からの請求を受けて、裁判官や裁判所が判断します。初公判前であれば裁判「官」、初公判後であれば裁判「所」が判断します。

 

初公判前に裁判官が鑑定留置を認めた場合は、弁護士が準抗告を申し立てることができます。逆に鑑定留置を求める請求が却下されたときは、検察官も準抗告を申し立てることができます。

 

④ 証人等に対して過料または費用の賠償を命ずる裁判

証人尋問は初公判後に行われるのが原則ですが、検察官が請求した場合には、初公判前に証人尋問が行われることがあります。

 

証人が指定された期日に裁判所に出頭しない場合、裁判官は、証人に対して10万円以下の過料や費用の賠償を命じることができますが、この命令に納得がいかない場合には準抗告を申し立てることができます。

 

⑤ 身体検査を受ける者に対して過料または費用の賠償を命ずる裁判

身体検査を受けることを拒んだ場合、裁判官によって10万円以下の過料および費用の賠償を命じられることがありますが、これに納得がいかない場合、準抗告を申し立てることができます。

 

準抗告できる検察官の2つの処分

検察官がした次の2つの処分に対しても、裁判所に準抗告を申し立てるができます。

 

① 接見の日時・場所・時間の指定に関する処分

捜査機関は、捜査のために必要があるときは、弁護士と被疑者が接見するにあたって、接見の日時・場所・時間を指定することができますが、指定の日時が遅すぎたり、時間が短すぎたりするときは、弁護士が準抗告を申し立てることができます。

弁護士の接見

 

② 押収または押収物の返還に関する処分

押収された物が容疑と関係ないものであったり、差押えの必要がなかったりする場合は、準抗告の申立てをすることができます。差押え処分が取り消されれば、検察官の指揮により、その物が返還されることになります。

 

弁護士が検察官に押収物を返還するよう求めたが、返還されない場合も準抗告を申し立てることができます。

 

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