早期釈放につながる10のポイント

早期釈放のポイント

 

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

早期釈放の可能性が最も高くなるのは、最長72時間の逮捕中です。逮捕から勾留に移行すると、原則10日にわたって身柄拘束されてしまいます。

起訴前の流れ(逮捕・勾留あり)

 

 

逮捕中に釈放させるためには、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを検察官や裁判官に納得してもらう必要があります。なぜなら、逃亡や証拠隠滅のおそれがあれば、勾留してもよいと法律で決められているからです。

 

 

もっとも、逃亡や証拠隠滅のおそれがあったとしても、「勾留の必要性」がなければ、勾留することができません。

 

 

勾留の必要性は、身柄を拘束する必要性と勾留によって被疑者が受ける不利益を比較して判断されます。被疑者の受ける不利益が格段に大きければ、勾留の必要性は低いということになります。

 

 

☑ 逃亡のおそれがない

☑ 証拠隠滅のおそれがない

☑ 勾留の必要性がない

 

 

これらの事情を検察官や裁判官に納得してもらい早期釈放につなげるための10のポイントを解説しています

 

 

<逃亡のおそれを低下させる事情>

 

1.実刑判決の可能性が低い

前科・前歴がないのにいきなり実刑になる事件は、一部の重大な犯罪に限られます。たとえ処罰されるとしても、初犯であれば略式裁判で罰金になるか、正式裁判になったとしても執行猶予がつくことが多いです。

 

 

実刑判決の可能性が高ければ、「刑務所に入るくらいなら逃げた方がマシ。」と考えることもあるでしょうが、そうでなければ逃げるメリットがないといえるでしょう。

 

2.身元が安定している

資産がなく、無職で、一人暮らしであれば、背負っているものがないため、ふらっと逃げてしまうかもしれません。

 

 

一方、妻子がおり、会社に勤めていて、持ち家などの資産を持っていれば、それらを捨ててまで逃亡する可能性は低いと考えられます。

 

 

3.高齢である/重大な疾患を抱えている

高齢であったり、入通院が必要となる重い病気にかかっている場合は、身体的に逃亡生活を続けることは難しいため、逃亡の可能性は低いと考えられます。

 

 

 

<証拠隠滅のおそれを低下させる事情>

 

4.被害者や関係者と接触することが困難である

満員電車でたまたま乗り合わせた女性に痴漢をしたケースでは、被疑者は、被害女性の氏名、住所、電話番号、勤務先などの個人情報を知らないと思われます。

 

 

そのため、自分に有利な供述をさせようとして、被害者に再び会おうと思っても、接触できる可能性は低いです。

 

 

一方、知人女性に対する性犯罪のケースでは、被害女性に接触しようと思えば接触できるため、自分に有利な供述を迫るおそれがあると判断されやすいです。

 

5.証拠隠滅の余地がない

既に警察が有力な証拠を確保している場合、もはや証拠隠滅の余地がないといえます。例えば、スーパーでの万引き事件で、万引きをしている状況が防犯カメラで撮影されており、警察が映像データを確保している場合です。

 

 

事件が発生した日から逮捕された日までの期間が長ければ長いほど、警察が十分な証拠を収集する期間があったといえるので、それだけ証拠隠滅の余地も低下します。

 

6.証拠隠滅の動機がない

被疑者が逮捕されてから一貫して自白しており、反省の態度を示しているときは、証拠隠滅の動機が認められにくいといえるでしょう。

 

 

逆に、客観的な証拠に反する不合理な否認をしているときは、証拠隠滅の動機があると判断されやすくなります。

 

 

<勾留の必要性を低下させる事情

 

7.職場を解雇される可能性が高い

勾留されたことにより職場を解雇されてしまえば、本人や家族の人生に重大な影響が生じます。

 

 

そのため、解雇される可能性が高ければ勾留の必要性は低いということになります。会社員は、勾留されると何日も勤務先と連絡がとれなくなるので、解雇される可能性が高いといえるでしょう。

 

8.会社経営に重大な影響がある

被疑者が会社を経営しており、勾留されると会社経営に重大な影響が生じる場合は、被疑者の家族や従業員の生活にも深刻な影響が生じるため、勾留の必要性を低下させます。

 

 

零細企業の経営者で、自分の代わりに会社を運営できる人がいない場合は、「勾留により会社の会社経営に重大な影響がある」といえるでしょう。

 

9.子供を養育できる人間がいない

母子家庭で母親が一人で幼い子供を育てているケースでは、もし母親が勾留されると、子どもの養育環境が大きく変わってしまい、子どもの心身にマイナスの影響を与えるおそれがあります。

 

 

そのため、このようなケースでは、被疑者を勾留する必要性が低いと判断されやすいです。

 

 

10.重い病気にかかっている

被疑者が重い病気にかかっている状態で勾留されると、適切なタイミングで適切な医療を受けることができず、さらに病状が悪化する可能性があります。生死にかかわる事態になるかもしれません。

 

 

そのため、被疑者が重い病気にかかっているという事情は、逃亡の可能性を低下させるだけではなく、勾留の必要性も低下させるといえるでしょう。

 

 

ウェルネスの弁護士は、検察官や裁判官に提出する意見書に、できるだけ多くの釈放につながるポイントを入れるようにしています。

 

 

家族が逮捕された方はお気軽にウェルネス(03-5577-3613)の弁護士へご相談ください。

 

 

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