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勾留請求とは?流れや阻止する方法について弁護士が解説
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
勾留請求とは?
勾留請求とは、検察官が裁判官に対して、「被疑者を勾留してください。」と求めることです。
勾留とは逮捕の後に続く身柄拘束です。期間は原則10日で、最長20日まで延長可能です。
検察官が勾留を請求しなければ被疑者は釈放されます。裁判官の出番はありません。検察官が勾留を請求すれば、裁判官がその請求に理由があるかどうかを審査するために、被疑者の話を聞きます。この手続を勾留質問といいます。
勾留質問を経て、裁判官が検察官の勾留請求に理由があると判断すれば、勾留状を発付し、被疑者は勾留されます。理由がないと判断すれば、検察官の勾留請求を却下し、被疑者を釈放させます。
勾留請求の流れ
勾留請求の流れは次のとおりです。
【一般的な勾留請求の流れ】(イメージ)
午前10時 | 被疑者が検察庁に連行される |
午前10時30分~午前11時 | 担当検察官の取調べを受ける |
午前11時30分 | 担当検察官が勾留請求書を副部長の決裁に上げる→副部長が決裁 |
午後0時 | 検察庁の職員が勾留請求書を裁判所の令状部に提出 |
*ほとんどの地域では勾留請求と勾留質問は同じ日に実施されますので、午前中に勾留請求の決裁を受けます。
【東京地検での勾留請求の流れ】(イメージ)
午前10時 | 被疑者が検察庁に連行される |
午後1時~午後1時30分 | 担当検察官の取調べを受ける |
午後3時 | 担当検察官が勾留請求書を副部長の決裁に上げる→副部長が決裁 |
午後5時 | 検察庁の職員が勾留請求書を裁判所の令状部に提出 |
*東京では被疑者の数が多いため勾留請求の決裁は午後になることが多いです。勾留質問は翌日に実施されます。
【解説】
被疑者は逮捕されてから48時間以内に検察庁に連行されます。検察官は被疑者を受けとったときから24時間以内に、勾留請求するか釈放しなければいけません。
検察官は、警察から引きついだ捜査資料を検討した上で、被疑者の取調べをします。その結果、被疑者が次の3つの要件のいずれかに該当すると判断した場合、被疑者の勾留を請求します。
①住居不定
②証拠隠滅のおそれがある
③逃亡のおそれがある
勾留請求書とは
検察官は、勾留を請求するときは、「勾留請求書」という書面を作成します。勾留請求書は、全国どこの検察庁でも同じ書式が使われています。
検察庁で使われている「検察情報総合システム」というデータベースに被疑者の情報等を入力すると自動的に勾留請求書が作成されます。
勾留請求書の2枚目に「刑事訴訟法第60条第1項各号に定める事由」という欄があり、ここに担当検察官が、被疑者の勾留が相当であると考える理由を「鉛筆で」箇条書きします。
明文化されたルールがあるわけではありませんが、慣例として、どの検察官も鉛筆で記載します。
【鉛筆書きの例】
犯行の一部否認 |
重要な情状事実の否認 |
被害品の一部が未発見であり隠滅のおそれ |
Vと被害状況についての供述が食い違っており、Vや関係者に対し威迫する等罪証隠滅のおそれあり |
同居家族の監督能力なし |
同種余罪あり |
同種前科・前歴あり |
執行猶予中 |
*V…業界用語で「被害者」の意味です。
担当検察官は勾留請求書を作成した後、副部長の決裁に回します。東京地検では午後4時までに副部長の決裁を受ける必要があります(ただし交通部は午後3時まで)。他の多くの検察庁ではもっと早く、午前中に副部長の決裁を受けます。
ほとんどのケースでは、担当検察官の判断通りに決裁が下りますが、まれに決裁が下りずに、勾留請求されないこともあります。
副部長は決裁を終えると、勾留請求書の表紙に決裁印を押します。その後、検察庁の職員が他の被疑者の勾留請求書とまとめて裁判所の令状部に提出します。これによって勾留請求が完了します。
担当検察官が勾留請求をしないと判断したときは、その理由を記載した報告書を作成して、副部長の決裁に回します。
勾留請求を阻止するためには?
検察官に勾留請求させないようにするために、弁護士が検察官に意見書を提出します。意見書には逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや勾留の必要性がないことを主張します。
具体的なポイントは以下のページをご覧ください。
勾留請求を阻止できればその日のうちに釈放されます。勾留請求された場合は勾留質問の手続に入ります。
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勾留請求とは?勾留との関係や流れについて弁護士が解説 |
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