不同意性交等で不起訴を目指すべき理由は?弁護士が解説

このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。

 

 

 

 

そもそも不起訴とは?弁護士が解説

不起訴とは被疑者を刑事裁判にかけないことです。逆に刑事裁判にかけることを起訴といいます。被疑者を起訴するか不起訴にするかは検察官が決めます。

 

 

不起訴になれば刑事裁判にかけられないので、処罰されることはありませんし、前科がつくこともありません。不起訴になった時点で原則として刑事手続は終了しますので、起訴された場合に比べて早期に刑事手続から解放されます。

 

 

全ての犯罪を対象とした不起訴率は67.8%です(2022年版検察統計年報)。

 

 

【より詳しく】不起訴とは?無罪との違いや前歴・罰金との関係

 

 

不同意性交等の不起訴率は?

1.強制性交等の不起訴率は70%

不同意性交等罪は2023年7月13日に導入されたばかりの犯罪ですので、まだ起訴率・不起訴率などのデータは公表されていません。

 

 

不同意性交等罪の前身である強制性交等罪の不起訴率は70%です(2022年検察統計年報)。強制性交等罪は性犯罪の中で最も重い犯罪ですが、そのわりには不起訴率がかなり高くなっています。

 

 

不起訴の理由は全部で20種類ありますが、強制性交等で不起訴になったケースの大半は、「嫌疑不十分」または「起訴猶予」を理由とする不起訴です。

 

 

強姦罪が強制性交等罪に変更されたときも不起訴率等にそれほど変化はなかったので、このような傾向は不同意性交等罪でも維持されると思われます。

 

 

2.嫌疑不十分による不起訴とは?

検察官が「起訴しても有罪に持ち込むだけの十分な証拠がない」と判断した場合は、起訴を断念して不起訴にします。これが嫌疑不十分による不起訴です。

 

 

性交等は密室の中で行われ、防犯カメラ等の客観的な証拠がないことから、容疑を否認しているケースでは嫌疑不十分で不起訴になることが少なくありません。

 

 

不起訴になった強制性交等の約70%が嫌疑不十分による不起訴です。

 

 

不同意性交等についても「密室の中で行われ客観的な証拠がない」という点については強制性交等と同じですので、嫌疑不十分による不起訴率は同程度(70%)になると予測されます。

 

 

3.起訴猶予による不起訴とは?

検察官は有罪にもちこむだけの十分な証拠があれば必ず起訴するわけではありません。被疑者の反省や示談の状況などをふまえて、「あえて不起訴にする」こともあります。これが起訴猶予による不起訴です。

 

 

不起訴になった強制性交等の約30%が起訴猶予による不起訴です。

 

 

強制性交等は重大犯罪ですので、起訴猶予による不起訴を獲得するためには、示談が必須となります。不同意性交等は、強制性交等に比べてより一層被害者の性的な自由を保護する犯罪ですので、示談が成立しなければ、起訴猶予による不起訴を獲得することは困難でしょう。

 

 

不同意性交等は不起訴を目指すべき!

強制性交等事件の特徴は、「不起訴になる見込みは5割より高いが、起訴されれば実刑判決の可能性が高い」ということです。

 

 

不同意性交等についても、このような強制性交等の傾向はそのままあてはまると思われます。

 

 

起訴されたら仮に無罪や執行猶予になっても、「被告人」として長期にわたり刑事手続に関与しなければなりません。また、起訴されれば保釈が許可されない限り裁判が終了するまで勾留が続きます。

 

 

そのため、起訴されてから無罪や執行猶予を目指すのではなく、不起訴を目指すべきです。

 

 

検察官は逮捕してから約3週間で起訴するか不起訴にするかを判断します。起訴されたらその後に示談が成立しても、さかのぼって不起訴になるわけではありません。

 

 

不起訴を獲得するためには、一刻も早く刑事事件の経験豊富な弁護士をつけた方がよいでしょう。

逮捕されたらすぐに弁護士を呼ぼう!弁護士費用や呼び方を解説

 

 

不同意性交等で不起訴を獲得する方法

1.容疑を認めている事件

不同意性交等の容疑を認めている場合は、被害者との間で示談を成立させる必要があります。詳しくは以下のページをご覧ください。

不同意性交等罪と示談

 

 

2.否認している事件

不同意性交等の容疑を否認している場合は、「無理やり性交しました」といった自白調書をとらせないことが重要です。相手の同意があった場合は、そのことを検察官に指摘します。詳しくは以下のページをご覧ください。

不同意性交等罪の弁護活動(無罪を主張する場合)