不同意性交等で不起訴を目指すべき理由は?弁護士が解説

不同意性交等で不起訴を目指すべき理由は?

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。

 

 

 

不同意性交等は不起訴を目指すべき!その理由は?

不同意性交等で不起訴を目指すべき理由

 

不同意性交等の特徴は、「不起訴になる見込みはかなりあるが、起訴されれば実刑判決の可能性が高い」ということです。

 

 

起訴されたら、たとえ執行猶予になっても、「被告人」として長期にわたり刑事手続にしばられます。また、保釈が許可されない限り起訴後勾留が続きます。

 

 

これに対して、不起訴になればその時点で刑事手続は終了します。釈放され前科もつきません。起訴されても無罪になれば前科はつきませんが、統計上、無罪になる確率は0.1%です。

 

 

そのため、起訴されてから執行猶予や無罪を目指すのではなく、不起訴を目指すべきです。検察官は最長20日の起訴前勾留の期間内に被疑者を起訴するか釈放しなければなりません。

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いったん起訴されたらその後に示談が成立しても、さかのぼって不起訴にはなりません。不起訴を獲得するためには、一刻も早く刑事事件の経験豊富な弁護士に依頼すべきです。

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不同意性交等の不起訴は全部で3種類

不同意性交等の不起訴は全部で3種類

 

1.そもそも不起訴とは?

不起訴とは被疑者を刑事裁判にかけないことです。逆に刑事裁判にかけることを起訴といいます。被疑者を起訴するか不起訴にするかは検察官が決めます。

 

 

不起訴になれば刑事裁判にかけられないので、処罰されることはありませんし、前科がつくこともありません。不起訴になった時点で刑事手続は終了しますので、起訴された場合に比べて早期に刑事手続から解放されます。

 

 

【より詳しく】不起訴処分について弁護士がわかりやすく解説

 

 

2.不同意性交等を認める場合-起訴猶予を目指す

不同意性交等を認める場合、起訴猶予による不起訴を目指すことになります。起訴猶予による不起訴とは、起訴しようと思えばできるがあえて不起訴にする処分です。

 

 

検察官は裁判で有罪にもちこめるだけの十分な証拠を持っていても、必ず起訴するわけではありません。様々な事情をふまえて裁量的に不起訴にすることもあります。不同意性交等は重大犯罪ですので、起訴猶予による不起訴を獲得するためには、示談が必須となります。

 

 

3.不同意性交等を否認する場合-嫌疑なし・嫌疑不十分を目指す

不同意性交等を否認する場合は、嫌疑なしまたは嫌疑不十分での不起訴を目指すことになります。嫌疑なしも嫌疑不十分も起訴して有罪判決に持ち込むだけの証拠がない場合に不起訴にする処分です。

 

 

嫌疑なしとは被疑者が犯人でないことが明白な場合に出される不起訴処分です。嫌疑不十分とは、完全にシロではないにしても有罪を立証するだけの証拠がない場合の不起訴処分です。

 

 

相手と会ったこともないという場合は嫌疑なしによる不起訴を目指します。相手と性行為をしたが同意があった場合は嫌疑不十分による不起訴を目指します。

 

 

不同意性交等の不起訴率は?

不同意性交等の不起訴率

 

1.不同意性交等の不起訴率

不同意性交等罪は2023年7月13日に導入されたばかりの犯罪ですので、まだ起訴率・不起訴率などのデータは公表されていません。

 

 

不同意性交等罪の前身である強制性交等罪の不起訴率は70%です(2022年検察統計年報)。強制性交等罪は性犯罪の中で最も重い犯罪ですが、そのわりには不起訴率がかなり高くなっています。

 

 

不同意性交等罪の不起訴率も同程度になると推測されます。理由は以下をご覧ください。

 

 

2.不同意性交等-嫌疑不十分による不起訴率

不起訴になった強制性交等の約70%が嫌疑不十分により不起訴になったケースです。嫌疑不十分による不起訴率が高い理由は、強制性交等がひと気のない場所で行われ防犯カメラや目撃証言などの証拠が少ないためです。

 

 

「ひと気のない場所で行われる」という点については不同意性交等も同じですので、嫌疑不十分による不起訴率は強制性交等と同程度になると予測されます。

 

 

3.不同意性交等-起訴猶予による不起訴率

不起訴になった強制性交等の約30%が起訴猶予により不起訴になったケースです。示談という形で被害者の許しが得られれば、被害者の意思を尊重してあえて裁判にする必要はないため、起訴猶予により不起訴となる確率が高まります。

 

 

不同意性交等についても同様のことが言えるため、起訴猶予による不起訴率は強制性交等と同程度になると予測されます。

 

 

不同意性交等で不起訴を獲得する方法

不同意性交等で不起訴を獲得する方法

 

1.不同意性交等を認めているケース

不同意性交等を認めている場合、起訴猶予による不起訴を獲得するためには被害者との間で示談を成立させることが必須です。

 

 

捜査機関は不同意性交等の加害者に被害者の名前や電話番号を教えてくれませんので、示談交渉は弁護士を通じて行うことになります。

 

 

不同意性交等の示談金の相場は100万円から300万円です。予算に限りがある場合、十分な示談金を準備できるよう、弁護士費用が安い法律事務所に依頼するのがポイントです。

 

 

不起訴を獲得するためには、最長20日の勾留期間内に示談をまとめて、検察官に示談書の写しを提出する必要があります。20日といってもあっという間に終わってしまうため、できるだけ早く弁護士に依頼した方がよいでしょう。

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2.不同意性交等を否認しているケース

不同意性交等を否認している場合、取調べで「無理やり性交しました」といった自白調書をとられてしまうと、起訴されて有罪になる可能性が高くなります。

 

 

否認して有罪判決になれば最短でも5年の懲役刑となります(不同意性交等の罰則は懲役5年~20年です)。

 

 

自白調書をとられないようにするため、弁護士が早期に本人と接見し、黙秘権等の重要な権利を説明した上で、取調べにどのように対応すればよいかをアドバイスします。

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性行為自体をしていない場合、相手方と示談をする必要はありませんが、性行為はしたが同意があったと主張する場合、取調べで黙秘しつつ、相手方と示談をすることにより不起訴を目指す場合もあります。

 

 

同意があると認識していたとしても、結果的に相手方に不快感を与えたのであれば示談で解決する余地があるためです。

 

 

 

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