準強制性交等

このページはウェルネス法律事務所の弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

準強制性交等と準強姦

2017年6月23日に刑法が改正され、準強姦罪の名称が変更され、準強制性交等罪になりました。それに伴い、刑罰が重くなり、対象となる行為が拡張されました。

 

改正刑法の施行日は201713日です。そのため、2017年7月12日以前の行為についてはこれまで通り準強姦罪が適用され、7月13日以後の行為については準強制性交等罪が適用されます。

 

準強制性交等と準強姦-4つの違い

(1)  被害者の違い

・準強姦…判断能力を失っている女性または抵抗できない状態にある女性

・準強制性交等…判断能力を失っている男女または抵抗できない状態にある男女

 

準強制性交等では、女性だけではなく男性も被害者に含まれるようになりました。

 

(2)行為の違い

・準強姦…男性の陰茎を女性の膣内に挿入すること

・準強制性交等…男性の陰茎を被害者の膣内、肛門内、口の中に挿入すること、

 

準強制性交等では、姦淫に加え、肛門性交、口腔性交も含まれるようになりました。

 

(3)告訴の必要性の違い

・準強姦…起訴するために被害者の告訴が必要

・準強制性交等…起訴するために被害者の告訴は不要

 

準強制性交等では、被害者の告訴がなくても起訴できることになりました。2017年7月12日以前の行為については、これまで通り準強姦罪が適用されますが、刑法改正に伴い告訴は不要となりました。

 

(4)刑罰の違い

・準強姦…懲役3年~懲役20年

・準強制性交等…懲役年~懲役20

 

準強制性交等は準強姦よりも懲役の下限が2年長くなりました。

 

準強制性交等の具体例

①一緒に食事をしていた女性が気づかない間に、その女性に砕いた睡眠薬を入れた酒を飲ませ、意識もうろうとなったところを、タクシーでホテルに連れ込み姦淫した

 

②泥酔した女性を自宅まで送り届けた際に、部屋の中で女性の口の中に陰茎を挿入した

 

準強制性交等の加重犯罪

準強制性交等の際に被害者にけがをさせた場合、準強制性交等致傷罪が成立します。刑罰は強制性交等致傷と同じで懲役年~20年または無期懲役です。準強制性交等と異なり、起訴されれば裁判員裁判で審理されることになります。

 

準強制性交等と余罪

準強制性交等については、余罪が問題となることが少なくありません。もし余罪がある場合、余罪で再逮捕追起訴されれば、長期の実刑判決になる可能性が高くなります。そのような状況を避けるためには、黙秘権を行使する等して、余罪での再逮捕・追起訴を防ぐことが大切です。

 

早急に刑事事件の経験豊富な弁護士を選任し、余罪を含めた総合的な弁護プランをたてる必要があります。

 

準強姦性交等の弁護方針(罪を認める場合)

(1)示談をする

準強制性交等については、刑法改正により、告訴がなくても起訴できるようになりました。そのため、示談して告訴が取り下げられたからといって、確実に不起訴になるわけではありません。

 

もっとも、刑法改正後も、示談が最も重要な弁護活動であることは変わりません。刑法改正により告訴が不要とされたのは、「告訴するか否か」という重い判断から被害者を解放し、精神的負担を軽くするためです。

 

とすれば、被害者が真に納得して示談をし、加害者の処罰を求めていなければ、検察官もそのような被害者の決断を尊重すると考えられます。そのため、性犯罪の前科があるとか、行為態様が極めて悪質である等の特別の事情がない限り、示談が成立すれば、不起訴となる余地は十分にあります。

 

準強制性交等の被害者は、事件によって深く傷ついています。よくわからないまま性的被害を受ける恐怖や屈辱ははかり知れません。また、被害者に睡眠薬や精神安定剤などの薬物を服用させてケースでは、投与した量によっては生命の危険が生じることもあります。

 

弁護士としては、被害者の気持ちに寄り添いながら粘り強く交渉することが必要です。

 

【不起訴処分を獲得するために】

弁護士が示談書や告訴取消書を検察官に提出します。

 

(2)専門家の治療を受ける

準強制性交等のケースでは、過去にも同じような行為を繰り返してきた方が少なくありません。性依存から抜け出そうともがきながら、抜け出すことができずひとりで悩んでいる方もおられます。

 

性的な病を1人で克服することは困難です。性犯罪治療の専門家によるサポートを受けながら、認知行動療法等の科学的手法により根本的な改善を目指します。

 

専門家による治療は保釈後に行うことになりますが、地域によっては、勾留中でも留置施設への出張カウンセリングサービスを受けることが可能です。

 

*ウェルネスでは性犯罪治療の専門家と連携しながら、根本的な更生を目指します。

 

【公判請求されたら】

本人の治療を担当している専門家に情状証人として出廷してもらい弁護士が尋問を行います。

 

(3)家族が支援する

本人が更生するためには最も身近な存在であるご家族のサポートが不可欠です。ご家族には、性犯罪加害者の家族会等に参加してもらい、性の問題について学びながら、本人の受け入れ・監督体制を構築してもらいます。

 

【不起訴処分を獲得するために】

ご家族に本人の監督プランを記載した陳述書を作成してもらい、弁護士が検察官に提出します。

 

準強姦性交等の弁護方針(無罪を主張する場合)

(1)起訴前について

相手の意識があり性行為についての同意があった場合は、弁護士が捜査機関に防犯カメラ映像などの証拠を保全するよう要請します。また、弁護士が、一緒にいた方の証言や、SNSでの相手とのやりとりなど裏付け証拠を収集し、検察官に対して同意があることを主張して、不起訴処分の獲得を目指します。

 

(2)起訴後について

起訴された場合は、弁護士が検察官に対して、手持ちの証拠を開示するよう要請し、防犯カメラ映像等を分析して、相手の供述と矛盾する点はないかを検証します。 公判廷でも、弁護士が相手に様々な角度から反対尋問を行い、供述が信用できないことを明らかにします。

  

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