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準強制性交等(準強姦)-示談・不起訴・弁護士費用について
☑ 準拠性性交等で家族が逮捕された
☑ 準強制性交等の被害者と示談したい
☑ 準強制性交等の弁護士費用の相場を知りたい
このような方々のために刑事事件の経験豊富な東京の弁護士がこのページを作成しました。
目次
準強制性交等とは
準強制性交等の要件は次の①または②です。
①被害者の心神喪失または抗拒不能に乗じて、姦淫、肛門性交、口腔性交をすること
②被害者を心身喪失または抗拒不能にさせて、姦淫、肛門性交、口腔性交をすること
心神喪失とは精神の障害により正常な判断ができない状態です。睡眠中や泥酔状態、薬物による昏睡は心神喪失にあたります。
抗拒不能とは心理的または物理的に抵抗できない状態です。教祖が信者に厄除けのために性交が必要と信じさせた場合は抗拒不能にあたります。
13歳未満の男女に姦淫、肛門性交、口腔性交をした場合は、同意の有無にかかわらず、常に強制性交等罪が成立します。たとえ寝ているときにこれらの行為をしたときでも準強制性交ではなく強制性交等になります。
【準強姦との違い】 準強姦の行為は姦淫に限られていたので、男性が被害者になることはありませんでした。2017年に準強制性交等に罪名が変更され、肛門性交、口腔性交も構成要件に加えられたことから、男性も被害者に含まれるようになりました。 |
準強制性交等の刑罰
準強制性交等の刑罰は懲役5年~20年です。
【準強姦との違い】 準強姦の刑罰は懲役3年~20年ですが、準強制性交等に罪名が変更され刑罰の下限が重くなりました。 |
準強制性交等の事例
準強制性交等でよくある事例は次の3つです。
①女性と食事中に、細かく砕いた睡眠薬をこっそり飲み物の中に入れ、意識もうろうにさせた上でホテルに連れ込み強姦した
②合コンで女性に大量の酒を飲ませてぐったりしているところを集団で強姦した
②駅で酔いつぶれて寝ている女性を自宅に連れ込んで強姦した
【強制性交等との違い】 上の例のように準強制性交等は睡眠薬かお酒によって女性が意識もうろうとしている時に行われることが多いです。睡眠薬や酔いの影響があっても、女性の意識がある程度はっきりしている場合は強制性交等の問題になります。 |
準強制性交等は親告罪ではない
被害者の告訴がなければ起訴できない犯罪を親告罪と呼びます。準強制性交等罪は親告罪ではなく、被害者の告訴がなくても起訴することができます。
そのため、実務では被害者から被害届のみ提出させ、告訴状はとらないことが多いです。被害届も提出されなければ逮捕・起訴されることはありません。
【準強姦との違い】 準強姦罪は親告罪であり起訴するためには被害者の告訴が必要でしたが、罪名が準強制性交等に変更されたことに伴い、告訴が不要とされました。 |
準強制性交等致傷
準強制性交等の際に被害者にケガをさせた場合、準強制性交等致傷罪が成立します。罰則は強制性交等致傷罪と同じで、懲役6年~20年または無期懲役です。準強制性交等罪と異なり、起訴されれば裁判員裁判で審理されることになります。
準強制性交等致傷で多いケガは膣壁の裂傷です。膣壁の裂傷は女性の膣に強引に陰茎を挿入したことにより発生します。
加害者から見れば殴ったり蹴ったりしたわけではなく、ケガをさせた自覚はありませんが、その場合でも強制性交等致傷罪になります。
準強制性交等の時効
準強制性交等の時効は10年、準強制性交等致傷の時効は15年です。
1.刑事事件の時効
準強制性交等の時効は10年、準強制性交等致傷の時効は15年です。
2.民事事件の時効
準強制性交等は不法行為(民法709条)として民事事件にもなり得ます。民事事件の時効は、致傷か否かにかかわらず、次の2つのいずれか短い方です。
①損害及び加害者を知った時から3年
②犯行より20年
【強制性交等との比較】 強制性交等の時効も10年です。強制性交等のケースでは、DNA鑑定により、何年もたってから犯人が特定され逮捕されることがありますが、準強制性交等のケースではそのような事例は少ないです。
準強制性交等のケースでは、加害者と被害者との間に何らかの関係があることが多く、犯人特定までにそれほど時間がかからないためです。 |
準強制性交等と余罪
検挙された犯罪とは別の犯罪を余罪といいます。準強制性交等で余罪が問題になるのは次のような事例です。
①単独犯
出会い系アプリ等で知り合った女性に睡眠薬をこっそり飲ませて姦淫することを繰り返しているケース
②共犯事件
合コンに参加した女性に大量の酒を飲ませ、ぐったりした女性を姦淫することを繰り返しているケース
準強制性交等の余罪があるケースでは、余罪で再逮捕・追起訴されることがあります。追起訴されると刑罰の上限が懲役20年から30年に増え、長期の実刑判決になる可能性が高くなります。
実刑を回避するためには、黙秘権を行使したり、警察の捜査に先回りして示談をする等して、余罪での再逮捕・追起訴を防ぐことが大切です。
刑事事件の経験豊富な弁護士をつけ、余罪を含めた総合的な弁護プランを立てることが必要です。
準強制性交等と逮捕阻止
準強制性交等にあたる行為をしても、被害者が警察に訴えなければ、逮捕・起訴されることはありません。有名人でない限り報道されることもありません。
準強制性交等のケースでは加害者と被害者の間に何らかの関係があり、加害者が被害者の連絡先を知っていることが多いです。
このようなケースでは、刑事事件化する前に、被害者との間で「被害届を出さない」という内容の示談をまとめれば、逮捕・起訴・報道のいずれも阻止できます。
被害者の連絡先を知っている場合でも、加害者本人がいきなり被害者に連絡すると、被害者を怖がらせてしまい、かえって被害申告を誘発しかねないため、示談交渉は弁護士に依頼した方がよいでしょう。
ウェルネスの弁護士は、SNSのアカウントしかわからない被害者であっても速やかに示談交渉に入るノウハウを持っており、事件化する前に数多くのトラブルを解決しています。
準強姦性交等と示談
1.示談をすれば不起訴を狙える
準強制性交等は被害者の告訴がなくても起訴することができます。そのため、示談したからといって、確実に不起訴になるわけではありません。
もっとも、刑法改正後も示談が最も重要な弁護活動であることは変わりません。刑法により告訴が不要とされたのは、「告訴するか否か」という重い判断から被害者を解放し負担を軽くするためです。
とすれば、被害者が納得して示談をし、加害者の処罰を求めていなければ、検察官もそのような被害者の判断を尊重すると考えられます。
そのため、性犯罪の前科があるとか、手口が極めて悪質である等の特別の事情がない限り、示談が成立すれば、不起訴となる余地は十分にあります。
2.準強制性交等の慰謝料の相場
準強制性交等の慰謝料の相場は100万円~200万円です。
独身と偽って婚活している女性を姦淫した場合や姦淫している状況をスマートフォンで撮影した場合など悪質なケースでは、被害者の処罰感情が厳しく慰謝料が高くなる傾向があります。
3.示談交渉は弁護士が行う
準強制性交等の被害者は加害者に対して強い恐怖感をもっており、氏名や電話番号といった個人情報を知られなくないと思っています。
警察や検察もそのような被害者の思いをふまえ、被害者の個人情報を加害者やその家族には伝えません。そのため、準強制性交等の被害者と示談交渉をするためには、弁護士に依頼する必要があります。
準強制性交等の被害者は深く傷ついています。よくわからないまま性的被害を受ける恐怖や屈辱ははかり知れません。睡眠薬や精神安定剤は、投与した量によっては生命の危険を生じさせることもあります。
弁護士が被害者の気持ちに寄り添いながら粘り強く交渉することが必要です。
【不起訴処分を獲得するために】 弁護士が示談書や示談金の領収書を検察官に提出します。 |
準強制性交等の示談以外の弁護活動
1.専門家の治療を受ける
準強制性交等のケースでは、同じような行為を繰り返している方が少なくありません。「もうやめよう。」と思っていても、やめることができずひとりで悩んでいる方もいます。
性的な依存症を一人で克服することは困難です。性犯罪治療の専門家によるサポートを受けながら、認知行動療法等さまざまなアプローチを駆使して衝動をコントロールする方法を身につけます。
専門家の治療は保釈後に受けることになりますが、東京など地域によっては、勾留中から留置施設で出張カウンセリングを受けられることもあります。
ウェルネスの弁護士は、性犯罪治療の専門家と連携しながら、数多くの性犯罪で執行猶予を獲得してきました。
【公判請求されたら】 本人の治療を担当している医師やカウンセラーに専門家証人として出廷してもらい弁護士が尋問を行います。 |
2.家族に監督してもらう
本人が更生するためには最も身近な存在であるご家族のサポートが不可欠です。
ご家族には、加害者家族のためのミーティングに参加してもらい、本人をどのようにサポートしていくのかを学びながら、再犯させない環境を構築してもらいます。
【公判請求されたら】 ご家族に情状証人として出廷してもらい、どのように本人を監督していくのかを裁判官に話してもらいます。 |
準強姦性交等を否認する場合の刑事弁護
1.起訴前の弁護活動
取調官は、準強制性交等の容疑を否認している被疑者に対して、様々なプレッシャーをかけ自白させようとします。
相手が同意していた場合でも、「ぐったりしていて反応がありませんでした。」といった調書をとられてしまうと、準強制性交等で起訴される可能性が高くなります。
弁護士が被疑者とひんぱんに接見し、自白調書をとられないようサポートします。
また、相手と交わしたSNSや一緒にいた友人の証言等の裏づけ証拠を弁護士が集めます。その上で検察官に同意があることを指摘して、嫌疑不十分での不起訴を目指します。
2.起訴後の弁護活動
起訴されれば、弁護士が検察側の証拠を幅広く取り寄せ、相手の供述に不合理な点がないかを検討します。
裁判で準強制性交等を否認すると、検察官は相手の証人尋問を請求します。弁護士が法廷で相手に様々な角度から反対尋問を行い、供述が信用できないことを明らかにします。
また、弁護士が裁判所に対して、SNSの記録等の裏づけ証拠や関係者の証人尋問を請求します。
準強制性交等に強い弁護士
1.準強制性交等の弁護経験が豊富な弁護士
準強制性交等罪は初犯でも実刑になることが多い重大犯罪です。対応を誤れば本人だけでなく家族の人生にも大きな影響が生じます。
弁護士の多くは民事事件や会社法務をメインに活動しており、刑事事件に注力している弁護士は少数派です。どんなに優秀であっても経験不足の弁護士に依頼するのは不安が残ります。
準強制性交等罪の弁護経験が豊富な弁護士であれば、不起訴や執行猶予に向けてベストな活動を期待できます。
2.動き出しが早い弁護士
準強制性交等罪で不起訴を獲得するためには、最長20日の勾留期間内に被害者との間で示談をまとめる必要があります。
勾留期間の最終日までに検察官に示談書を提出できなければ、起訴される可能性が高いです。いったん起訴されると、その後に示談がまとまっても遡って不起訴になることはありません。
そのため、不起訴を目指すのであれば、弁護士も速やかに動く必要があります。可能であれば相談した当日に接見に行ってくれる弁護士に依頼した方がよいでしょう。
3.専門家と連携できる弁護士
準強制性交等罪で逮捕されるケースでは、他にも同様の事件を起こしていることが少なくありません。再犯防止のために医師やカウンセラーといった専門家のサポートが必要です。
専門家の指導によって作成した再犯防止計画書を弁護士が裁判所に提出したり、専門家に法廷に来てもらって弁護士が証人尋問を行います。これらの活動によって再犯可能性がないことを明らかにしていきます。
ふだんから専門家と連携している弁護士でなければこのような活動は困難です。
準強制性交等の慰謝料と弁護士費用の関係
準強制性交等罪は性犯罪のなかでも最も重い部類の犯罪であり、慰謝料も数十万円では済まないことが多いです。
私選弁護人の弁護士費用が高すぎると、予算のほとんどが弁護士費用で消えてしまい、慰謝料を払えなくなるリスクがあります。
準強制性交等罪に強い弁護士に依頼しても、慰謝料に充てるお金が不足してしまうと、できる弁護活動にも限界があります。
予算が限られている場合は、できるだけリーズナブルな弁護士費用の事務所に依頼するとよいでしょう。
準強制性交等の弁護士費用
1.準強制性交等の弁護士費用の相場
準強制性交等の弁護士費用の相場は、逮捕されていないケースで60万円~100万円、逮捕されたケースで80万円~200万円です。
無罪を主張している事件では証拠の検討や反対尋問への対応など弁護士の負担が大きくなるため、弁護士費用は高めになります。余罪で再逮捕・追起訴された場合も、同様の理由で追加費用が発生することが多いです。
2.弁護士費用を節約するポイント
準強制性交等のケースでは、弁護士費用のほかに保釈金や示談金が必要になることが多いです。保釈金は一定の条件を満たせば保釈支援協会から借りることができますが、示談金専門の貸付機関はありません。
予算の多くを弁護士費用にあててしまうと、示談金を用意することが難しくなり、示談不成立のリスクが高まります。
予算に限りがあるケースでは、なるべく弁護士費用を節約して示談金を確保するようにした方がよいでしょう。弁護士費用を節約するポイントは次の通りです。
①大手の事務所にこだわらない
②複数の事務所の費用を比較する
③接見日当の発生しない費用プランを選ぶ
3.【準強制性交等】ウェルネスの弁護士費用
ウェルネスの弁護士費用は逮捕されていないケースで44万円~60万円、逮捕されたケースで55万円~99万円になることが多いです(税込)。
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しました。
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