強制性交等で執行猶予をとるための方法

このページはウェルネス法律事務所の弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

強制性交等で執行猶予を獲得するためには示談が鉄則!

典型的な強制性交等(強姦)で執行猶予をとるためには、被害者との間で示談を成立させることが必須と言ってよいでしょう。ここで「典型的な強制性交等」とは、①全く面識のない女性を被害者とする強制性交等や、②面識があっても性行為の同意が全くない状況で強制性交等をしたケースをいいます。

 

【典型的な強制性交等の具体例】

①見知らぬ女性を物陰につれこみ、殴打して抵抗できなくした上で姦淫した。

②知人の女性を自宅に誘い込んで、ベッドの上に押さえつけ強引に姦淫した。

 

典型的な強制性交等のケースでは、初犯の方でも、示談が成立しなければ、非常に高い確率で実刑になってしまいます。

 

この点が強制わいせつとは大きく異なる点です。強制わいせつのケースでは、示談がとれなくても、①初犯の方で、②再犯防止策をとっており、③家族が情状証人として出廷してくれれば、執行猶予がとれる余地は十分にあります。

 

これに対して、典型的な強制性交等のケースでは、他にどれほど有利な事情があったとしても、示談が成立しなければ、執行猶予までは難しいでしょう。弁護士のなかには、「供託贖罪寄付をすれば執行猶予になることもあります。」とアドバイスする方もいるようですが、見通しが甘いです。

 

強制性交等で逮捕・起訴された本人としても、ご家族としても、「示談がとれない限り執行猶予は極めて難しい。」ということを理解し、「何がなんでも示談をとりにいく」という覚悟で臨んでもらう必要があります。

 

強制性交等で示談しても執行猶予にならないことも

典型的な強制性交等(強姦)で執行猶予をとるためには、被害者との間で示談を成立させることが必須となります。

 

しかし、示談であれば内容は何でもいいというわけではありません。「被告人を許す」とか「被告人の刑事処罰を求めない」といった宥恕文言(ゆうじょもんごん)が入った示談を成立させることが必要になります。

 

示談金の額についても、10万円など不相当に低額であれば、仮に被害者が示談金を受けとってくれたとしても、裁判官から「被害弁償が不十分」と評価され、実刑になる可能性が高まります。

 

被害者の言い値にそのまま従う必要はありませんが、加害者の資力を念頭におきつつ、行為の内容にみあった金額で示談をした方が執行猶予の可能性が高まります。具体的な金額については個別のケースによって異なってきますので、刑事事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。

 

強制性交等で示談がとれなくても執行猶予を狙える2つのケース

典型的な強制性交等(強姦)で執行猶予をとるためには、被害者との間で示談を成立させることが必須といえるでしょう。

 

しかし、強制性交等のなかには、示談がとれなくても十分に執行猶予を狙えるケースもあります。それが、①風俗嬢を被害者とする強制性交等と、②被害者が性行為の一部について同意していたが、挿入までは同意していなかったというケースです。

 

【執行猶予が狙えるケースの具体例】

①デリヘル嬢に素股をしてもらっていたが興奮してしまい、強引に挿入してしまった。

②知人女性と飲酒した後、その女性の部屋に行き、キスしたり胸をもんだら受け入れてくれたので、最後までやっていいだろうと思い、多少強引に挿入してしまった。

 

このようなケースでは、示談が成立しなかったとしても、①初犯の方で、②被害弁償や供託を行い、③再犯防止策をとっており、④家族が情状証人として出廷してくれれば、執行猶予を獲得できる余地は十分にあります。

 

風俗嬢が被害者となる強制性交等では、店の責任者や本人から高額な示談金を請求されることがあります。典型的な強制性交等と異なり、執行猶予をとるためには示談が必須というわけではありませんので、このようなケースでは、相手の言いなりになるのではなく、弁護士が毅然と交渉することも必要です。

 

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