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贖罪寄付とは?金額・タイミング・方法について

このページはウェルネス法律事務所の弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

贖罪寄付とは

贖罪寄付(しょくざいきふ)とは、刑事事件を起こした方が、反省の思いを形にするために、弁護士会や慈善団体などに寄付をし、公益活動に役立ててもらうことです。

 

贖罪寄付のメリット

贖罪寄付をすることにより、刑事事件の処分が軽くなることがあります。

 

起訴前に寄付をすれば、検察官に評価され不起訴処分になる可能性が高まります。

 

起訴後に贖罪寄付をした場合は、裁判官に評価され、執行猶予がついたり、罰金刑にとどまる可能性が高まります。判決書の「量刑の理由」欄にも贖罪寄付をしたことが記載されるでしょう。

 

贖罪寄付より示談を優先すべきケース

贖罪寄付は、被害者の意思にかかわらず、加害者側にお金があれば単独ですることができます。寄付されたお金が被害者に支払われるわけでもありません。

 

これに対して、示談は、被害者の歩み寄りがあって初めて成立するものであり、示談金も被害者に直接支払われます。

 

検察官や裁判官は、加害者の処分を決めるにあたり、「被害者は加害者に対してどのような気持ちを抱いているか」、「加害者が被害者に対してどのような償いをしたのか」を重視します。

 

そのため、被害者のいる犯罪では、贖罪寄付よりもまずは被害者との示談を優先すべきです。被害者との間で示談が成立すれば、さらに贖罪寄付をする必要はありません。

 

贖罪寄付を検討すべき3つの刑事事件

贖罪寄付を検討すべき事件は次の3つです。

 

1.被害者のいない事件

被害者のいない事件の場合、物理的に示談をすることができませんので、贖罪寄付を検討することになります。

 

【被害者のいない事件の例】

覚せい剤取締法違反大麻取締法違反スピード違反無免許運転漁業法違反売春防止法違反飲酒運転

 

2.被害者がいるが特定されていない事件

被害者がいるが何らかの理由により特定されていない事件の場合も、示談をすることができませんので、贖罪寄付を検討することになります。

 

【被害者が特定されていない事件の例】

女性のスカートの中を盗撮し、通行人の男性に取り押さえられたが、被害女性がそのことに気づかず立ち去ったケース

 

3.被害者と示談できなかった事件

被害者が存在し特定されているけれども、被害感情が厳しく示談できなかったケースでは贖罪寄付を検討することになります。

 

後述するように性犯罪や暴力犯罪の場合は、贖罪寄付をしても起訴される可能性が高いですが、万引きの場合は、示談することができなくても贖罪寄付をすることにより、不起訴の可能性が高まります。

 

贖罪寄付と被害弁償

被害者が判明している性犯罪や暴力犯罪のケースでは、贖罪寄付をするよりも、まずは被害者に示談のアプローチするのが鉄則です。

 

それでは、被害者と示談できなかった場合、贖罪寄付をすることによって、不起訴の可能性は上がるでしょうか?

 

性犯罪や暴力犯罪のケースでは、検察官は起訴するか不起訴にするかを判断するにあたって、被害者の意思をとくに重視します。そのため、被害者の処罰感情が厳しく示談できない場合は、贖罪寄付をしても起訴される可能性が高いです。

 

それでは示談できなかった場合に、不起訴の可能性を高める方法はないのでしょうか?

 

まず考えられるのは被害弁償です。示談は「加害者を許す」と書かれた書面に被害者にサインしてもらいますが、被害弁償は被害者に損害賠償をするだけです。

 

そのため、被害弁償は示談よりも効果は弱いですが、実際に被害者にお金が支払われるという点では、贖罪寄付よりも効果は高いです。

 

被害者が被害弁償を受けてくれない場合は、供託をすることが考えられます。ただ、被害者の住所が全くわからなければ、管轄の供託所を特定できず、供託をすることはできません。

刑事事件と供託

 

このようなケースでは、弁護士が依頼人から3~6ヶ月程度、賠償金を預かり、その間に被害者から弁護士に連絡があれば、無条件で賠償金を支払いますと被害者にお伝えします。被害者の電話番号がわからない場合は、検察官を通じて被害者に伝えてもらいます。

 

こうすることにより被害弁償に向けて尽力している姿勢を示すことができ、贖罪寄付をするよりも不起訴の可能性が高まります。

 

贖罪寄付の金額

贖罪寄付の一般的な金額は下表のとおりです。被害者がいる犯罪の場合は、贖罪寄付は示談の代わりという位置づけになりますが、示談そのものではありませんので、示談金の相場より多少金額が低くても問題ありません。

 

犯罪の種類

寄付金の相場

万引き(窃盗)

1万~20万円

スピード違反

5万円~100万円

性犯罪

10万円~30万円

薬物犯罪

10万円~20万円

売春防止法違反

5万円~20万円

漁業法違反

3万~20万円

 

贖罪寄付のタイミング

贖罪寄付は、事件が検察官に送致(送検)された後に行うのが一般的です。送検前に贖罪寄付をしてもよいですが、警察が贖罪寄付の事実を考慮して送検しないという判断をすることはまずありませんので、送検されてからでよいでしょう。

 

既に起訴されている場合は、刑事裁判の準備があるため、初公判の2週間前には寄付の手続をしておいた方がよいでしょう。

 

贖罪寄付の方法

贖罪寄付は弁護士を通じて行うのが一般的です。贖罪寄付の方法は以下の通りです。

 

①依頼者が弁護士に寄付金を預ける

②弁護士が慈善団体などに寄付をして寄付の証明書を取得する

③寄付の証明書を検察官や裁判官に提出する

 

贖罪寄付を受け付けている団体

贖罪寄付を受け付けている主な団体をピックアップしました。どの団体に寄付するかによって、評価が変わってくるということはありませんので、どこに寄付するかは、団体の理念や寄付金の使途等を参考に決めるとよいでしょう。

 

ここに記載されている団体以外に寄付をしても問題ありません。ただ、団体によっては、寄付の証明書を発行してくれるまでに1か月前後かかるところもあります。

 

自分で寄付をするときは、事前に「証明書はすぐに出してもらえますか?」と確認しておいた方がよいです。

 

団体

寄付金の使途

申込者

都道府県の弁護士会

犯罪被害者、難民、子どもなどのための法律援助事業基金

原則として弁護士

公益財団法人日弁連交通事故相談センター

センターで実施する無料法律相談及び示談あっせん事業など交通事故被害者の救済

本人可

日本司法支援センター(法テラス)

犯罪被害者支援や民事法律扶助、司法過疎対策など

原則として弁護士

公益財団法人交通遺児育英会

同会の交通遺児等に対する奨学資金

原則として弁護士

日本財団

犯罪被害者支援活動

本人可

*日本ユニセフは刑事裁判が継続中の場合、贖罪寄付を受けつけておりません。

 

贖罪寄付の注意点

贖罪寄付は必ず効果があるというわけではありませんので、寄付をするかどうか、寄付するとしてどれくらいの金額を寄付するのかは、弁護士と相談して決めるとよいでしょう。

 

検察官や裁判官は、寄付の有無や金額だけではなく、ご本人の反省状況や再発防止に向けた取り組み、ご家族の監督状況などの諸事情を総合的に検討して処分を下します。

 

不起訴処分執行猶予を獲得するためには、贖罪寄付を含めた包括的な弁護プランをたてる必要があります。刑事事件の経験豊富な弁護士に相談するとよいでしょう。

 

贖罪寄付の解決事例

1.スピード違反

スピード違反で公判請求された事件で、反省文の提出、ボランティア活動への参加、家族の協力などの活動とともに、100万円を贖罪寄付することによって、懲役刑を回避することができました。

スピード違反で贖罪寄付をして懲役刑を回避したケース

 

2.盗撮

駅の階段で盗撮したところ、目撃者に検挙されたが被害者は気づかずに立ち去った事件で、検察官に、カウンセリングへの通院報告書、親が作成した陳述書、反省文を提出するとともに、20万円を贖罪寄付することによって不起訴を獲得することができました。

 

3.違法薬物

脱法ドラッグ(ゴメオ)を所持していた事件で、反省文や親の誓約書を提出するととともに、10万円を贖罪寄付することにより公判請求を回避することができました。

 

4.キセル乗車

鉄道営業法違反と窃盗罪に問われていたキセル乗車のケースで、鉄道会社と示談をすることはできませんでしたが、20万円を贖罪寄付することにより不起訴を獲得することができました。

キセル乗車で贖罪寄付をして不起訴を獲得したケース

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