漁業法違反

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

 

 

漁業法違反の特徴-在庁略式になりやすい

漁業法違反は、海岸の岩場で貝等を採集しているときによく問題になりますが、海の中を歩きながら、または、シュノーケル等を装着し潜水した状態で行われる場合も少なくありません。

 

 

海上や海中で行なわれた漁業法違反のケースで知っておくべき重要なことがあります。それは、事件が犯行現場近くの検察庁に書類送検され、本人がその検察庁に出頭した当日、検察官が簡易裁判所に略式請求を行い、その日のうちに罰金刑になってしまうこと(在庁略式)がよくあるということです。

在庁略式(逮捕・勾留なし)

 

 

漁業法違反が在庁略式になりやすい理由

通常の刑事事件では、逮捕されていないケースで在庁略式になることはそれほど多くはありません。

 

 

ではなぜ、海上や海中で行なわれた漁業法違反のケースでは、在庁略式になることが多いでのでしょうか?

 

 

漁業法違反が海上や海中で行なわれた場合、海に番地等はないため、犯罪地を明確に特定することが難しく、最寄りの簡易裁判所に裁判の土地管轄があるかどうかを確定することが難しいためです。

 

 

在庁略式の方法によれば、被疑者が現に検察庁に出頭することになるので、被疑者の現在地(=特定の検察庁)を管轄する簡易裁判所に土地管轄があることが明白になります。

 

 

そのため、海上や海中で行なわれた漁業法違反のケースでは、在庁略式が多く利用されます。

 

 

漁業法違反で在庁略式=前科が確定

検察官は、あらかじめ在庁略式で処分することを前提として、本人を検察庁に呼び出す際、罰金も同時に持参するように指示することが多いです。

 

 

本人が検察庁に出頭した際に、検察官から略式手続の説明を受け、申述書への署名・捺印を行います。その後、簡易裁判所で略式命令の交付を受け、検察庁で罰金を納付します。この時点で前科がつくことが確定してしまいます。

 

 

本人から見ると、あれよあれよという間に罰金になってしまうようなイメージです。

 

 

略式命令に対して不服を申し立てると正式裁判で審理されることになります。ただ、犯罪事実について争いがない場合、正式裁判で審理されたところで、有罪判決が下されることになるので、やはり前科がついてしまいます。

 

 

漁業法違反で不起訴処分を獲得するために

漁業法違反は一般的には重大犯罪とまではいえず、弁護活動によっては、不起訴処分も十分に狙える犯罪です。

 

 

ただ、海上や海中で行なわれた漁業法違反のケースでは、事前に弁護士を選任しておかなければ、いわば出来レースのような形で、出頭した当日に在庁略式で罰金になってしまう可能性が高くなります。

 

 

事前に弁護士を選任していれば、ご本人が検察庁に出頭する前に、弁護士が十分な準備をし、意見書などを検察官に提出することによって、在庁略式を回避し、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。

 

 

不起訴処分を目指すのであれば、漁業法違反の取扱い経験のある弁護士に依頼することをおすすめします。

 

 

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