弁護士が教える再逮捕されるかどうか知るための4つのてがかり

再逮捕されるかどうかを知るためのてがかり

 

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

 

 

再逮捕されるかどうか知ることができる?

刑事や検察官が再逮捕の有無や件数について、事前に本人や弁護士に教える義務はありませんし、実際にも教えてくれません。

 

 

現在進行形で捜査が進んでいるケースでは、この先、何件の被害届が提出され、そのうち何件で再逮捕するのか、現場の刑事も把握できません。

 

 

そのため、「再逮捕があるのか」「再逮捕があるとして何件あるのか」を正確に知ることは困難です。もっとも、再逮捕についてある程度の状況を知ることはできます。そのための手がかりは次の4つです。

 

 

【再逮捕のてがかり①】公判廷における検察官の発言

再逮捕追起訴が予想される事件の場合、公判の最後に、裁判官が検察官に対し、追起訴の有無や時期について確認します。裁判官としても追起訴の状況を把握しておかないと、公判のスケジュールを立てられないからです。

 

 

裁判官からの質問にこたえて、検察官は、その時点で把握している最新の情報を裁判官に伝えます。

 

 

例えば、検察官が「来月末に追起訴をする予定です。これで追起訴は最後になる予定です。」と回答すれば、「その追起訴に対応して、来月上旬に再逮捕がありうるが、それ以上の再逮捕はない。」と予測することができます。

 

 

【再逮捕のてがかり②】拘置所への移送

本人が拘置所に移送されれば、通常、再逮捕されることはありません。

 

 

拘置所に留置されている人を取り調べるためには、捜査員が拘置所まで出向かなくてはいけません。そのため、再逮捕の可能性があるときは、警察が取調べをしやすいように、被疑者を警察署の留置場にとどめておきます。

 

 

【再逮捕のてがかり③】別の刑事事件での捜査状況

例えば、振り込め詐欺のかけ子として活動しながら、詐欺をしていた事務所で大麻を所持していた場合、通常は、振り込め詐欺の捜査を一通り終了してから、大麻の捜査に入ります。

 

 

多くの警察署では、詐欺は刑事課の知能犯係、薬物犯罪は刑事課の銃器薬物係が担当しているため、詐欺の捜査→大麻の捜査→(再び)詐欺の捜査という順番にはなりません。

 

 

そのため、上のケースで大麻についての取調べが始まった場合は、詐欺についての捜査は一段落したといえ、詐欺については再逮捕されない可能性が高いです。

 

 

【再逮捕のてがかり④】取調官の発言

取調中に取調官が本人に対して、「再逮捕はもうない。」とか「来月いっぱいで捜査本部は解散する。」とか、「捜査は一通り終了した。」等とぽろっともらすことがあります。 

 

 

このような発言を軽々しく信用することはできませんが、参考にはなるでしょう。

 

 

刑事と検察官が本人に違うことを言っている場合-例えば、刑事が「再逮捕はない」と言っているのに、検察官が「再逮捕はある」と言っている場合、検察官の発言の方が信用性は高いです。なぜなら、検察官は捜査を統括する立場にあるからです。

 

 

また、A事件での逮捕・勾留中に、取調官がB事件についてしつこく聞いてくることがあります。この場合は、A事件で起訴した後に、B事件で再逮捕する可能性が高いです。

 

 

いずれにせよ、取調官の発言には有益な情報が含まれていることが多いので、被疑者ノートに正確に記録し、接見の際、弁護士に伝えるようにしてください。

 

 

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