再逮捕とは?再逮捕されやすい4つの犯罪と2つのタイミング

本ページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

再逮捕の2つのパターン

再逮捕には次の2つのケースがあります

 

① 同じ事件で再逮捕するケース

② 別の事件で再逮捕するケース

 

同じ事件で無制限に再逮捕を許せば、法律が逮捕や勾留の期間を厳しく定めた意味がなくなってしまいます。そのため、①の再逮捕ができるのは、新証拠が発見されたとき等の例外的な場合のみです。実際は、①の再逮捕が行われることはほとんどありません。そのため、以下では②の再逮捕に絞って解説します。

 

また、ここでいう再逮捕とは、最初に逮捕された事件の判決が出る前に、別の事件で逮捕される場合をいいます。最初に逮捕された事件で有罪判決を下され、その5年後に全く別の犯罪で逮捕されたとしても、その逮捕のことを「再逮捕」とはいいません。

  

再逮捕されやすい4つの犯罪

再逮捕されやすい犯罪は次の4つです。

 

① 振りこめ詐欺(オレオレ詐欺)

② 覚せい剤大麻などの薬物犯罪

業務上横領

③ 集団での準強制性交等

 

以下、各犯罪についてみていきます。 

 

①振りこめ詐欺(オレオレ詐欺)

振り込め詐欺では、通常、多くの被害者がお金を騙しとられています。振りこめ詐欺が摘発された場合は、多数の被害者に対する1つの詐欺事件として立件されるわけではなく、被害者1名ごとに1つの事件として立件されることが多いです。

 

この場合、最初に証拠がそろった被害者(被害者A)に対する事件で逮捕・勾留され、その事件で起訴された後に、今度は、被害者Bに対する事件で再逮捕・再勾留され、その事件で起訴された後に、被害者Cに対する事件で再逮捕・再勾留される…というサイクルが続くことが多いです。

 

最終的に何回逮捕されるかはケースバイケースですが、被害者が100名いるからといって、100回逮捕されるわけではありません。証拠の収集状況や捜査能力の関係から、再逮捕が5回を超えることはほとんどありません。

  

②薬物犯罪

薬物犯罪で最も多い再逮捕のパターンは、覚せい剤所持で逮捕され、その後に覚せい剤使用で再逮捕されるパターンです。覚せい剤所持については、家宅捜索の際、警察が覚せい剤らしき物を発見すれば、その場で簡易鑑定をします。陽性反応が出れば覚せい剤所持で現行犯逮捕します。

 

これに対して、覚せい剤の使用については、採取した尿をいったん科捜研に送り、そこで鑑定をします。覚せい剤使用で逮捕できるのは、鑑定で陽性反応が出た場合のみです。通常、鑑定結果が出るまで数日~1週間前後かかりますので、ある程度の期間をおいた後に再逮捕されることになります。

 

大麻については、乾燥大麻を所持しつつ、大麻を栽培していた場合、乾燥大麻と栽培中の大麻では、後者の方が鑑定にかかる期間が長くなります。そのため、大麻の所持で逮捕された後に大麻の栽培で再逮捕されることになります。

 

その他、多剤併用者のケースで、覚せい剤使用で逮捕された後、大麻所持で逮捕される等のパターンもあります。

 

③業務上横領

業務上横領は、通常、長期間にわたって、何度も会社のお金を着服するという形で行われます。警察が業務上横領で逮捕する際は、多数の着服をまとめて1回だけ逮捕するのではなく、期間ごとにいくつかのグループに分けて、それぞれ逮捕することが多いです。

 

逮捕される際、逮捕状に着服をしていた期間が書かれているので、それを見れば再逮捕されるかどうかがわかります。自分のしていた着服の期間よりも、逮捕状に書かれている期間の方が短い場合は、再逮捕される可能性が高いです。

 

④集団での準強制性交等

性犯罪で再逮捕がよくあるのは、男性グループが合コン等と称して参加した女性に多量の酒を飲ませたり、飲み物の中に睡眠薬を混ぜたりして、意識もうろうとなったところを、集団で強姦するようなケースです。

 

このような準強制性交等のケースでは、同一のグループが複数回にわたって、多くの女性に対して同じような行為をしていることが少なくありません。

 

そのうちどれか1件で逮捕され、実名報道されると、ニュースをみた他の被害者からも被害届が出されて、再逮捕されることがあります。押収された携帯電話等から余罪の証拠が見つかり、再逮捕されることもあります。

 

再逮捕されやすい2つのタイミング

再逮捕されやすいタイミングは次の2つです。

  

①前に逮捕された事件で起訴された当日またはその後数日間

②公判の直後

  

逮捕してから起訴するまでの期間は約3週間です。この間、警察や検察が起訴に向けて詰めの捜査をしていきます。 もし次回の公判まであと3週間を切った時点で再逮捕すると捜査と公判がバッティングしてしまい、裁判のために被疑者の取調べをすることが難しくなってしまいます。

 

起訴されてから公判までの期間は約1か月です。公判と公判の間の期間も約1か月です。そのため、捜査と公判がバッティングしないようにするためには、起訴直後か各公判の直後に再逮捕するしかないということになります。

 

再逮捕について弁護士は事前に説明すべき

事前に再逮捕のことを知らなければ、再逮捕された本人は大きなショックを受けてしまいます。状況を理解できず動揺した状態で取調べに臨み、捜査官に言われるがままに不利な供述をしてしまうことも考えられます。

  

弁護士が事前に、再逮捕の可能性や時期、再逮捕後の対応について、ご本人やご家族によく説明しておく必要があります。

 

再逮捕後の流れ

起訴前

再逮捕後の流れは、最初に逮捕されたときと同じです。逮捕は最長3日間、勾留は最長20日間の期間制限があり、検察官は合計23日の期間内に、被疑者を起訴するか釈放するかを決めなければいけません。

起訴前の流れ

 

起訴後

最初に逮捕された事件と再逮捕された事件の両方で起訴された場合、起訴が重複することになります。この場合、最初の起訴を「本起訴」、2回目以降の起訴を「追起訴」と呼びます。

 

本起訴事件と追起訴事件は、通常、同じ裁判所の同じ裁判官が同一の手続で審理します。これを「弁論の併合」といいます。複数の裁判が別々に進むわけではありません。

 

もっとも、1回の公判で全ての事件を審理するわけではありません。初公判では本起訴事件、第2回公判では追起訴①の事件、第3回公判では追起訴②の事件というように、それぞれの公判期日でそれぞれの事件の審理が行われるのが一般的です。

公判の流れ(追起訴あり)

 

判決についても、事件ごとに個別に判決が下されるわけではなく、まとめて一つの判決が下されます。刑罰の重さについては、起訴された複数の事件についてまとめて懲役刑とする場合、「併合罪」といって、刑の長期が1.5倍になります。

 

例えば、5つの事件で起訴されたからといって、刑の長期が5倍になるわけではありません。

 

【具体例】

①起訴された事件が件の詐欺事件

判決で下される刑の範囲…懲役1月~懲役10

 

②起訴された事件が件の詐欺事件

判決で下される刑の範囲…懲役1月~懲役15年(MAX30年になるわけではない) 

 

②の方が刑の上限が5割増しになっています。

 

再逮捕と保釈

起訴後は保釈請求をすることができます。起訴された事件が1件だけであれば、起訴直後に保釈請求をするのが一般的ですが、再逮捕が予測されるケースについては注意が必要です。

 

保釈は人単位ではなく事件単位で認められます。そのため、本起訴事件で保釈が認められたとしても、再逮捕されれば、再び身柄拘束されることになります。いったん支払った保釈金も判決後まで戻ってきません。

 

再逮捕が予想される場合は、全ての事件で起訴され、これ以上再逮捕がないということを検察官に確認した後に保釈請求をすることになります。

 

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