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大麻の共同所持とは?不起訴になるケースや対処法について解説
このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しました。
大麻の共同所持とは?
☑ 家に置いていた大麻が見つかり夫が逮捕された
☑ 車の中から大麻が発見され友人が逮捕された
このようなケースでは、同居の妻や同乗していた友人も逮捕されることがあります。逮捕容疑は「大麻の共同所持」です。大麻の共同所持とは、複数の人間が同一の大麻を所持することです。
「所持」とは、大麻を自ら管理している状態をいいます。必ずしも大麻を手に持っていたりポケットに入れている必要はありません。
例えば、自宅に大麻を置いていて吸いたい時に自由に吸うことができるのであれば、大麻を自ら管理しているといえ、所持が認められます。
大麻の共同所持が問題になるケースでは、主たる所持者がいるのが通常です。上の例でいうと逮捕された夫や友人が主たる所持者になります。主たる所持者と並んで大麻を管理できる状態であれば共同所持が認められます。
大麻の共同所持になる?ならない?
主たる所持者でなくても、大麻についての管理権があると認められれば、大麻の共同所持が成立します。それでは具体的にどのような場合に大麻の共同所持が成立するのでしょうか?
そもそも大麻が自宅や車の中にあることを知らなかった場合は、管理権は認められず、大麻の共同所持は成立しません。大麻が自宅や車内にあることを知っていても、それだけで管理権が認められるわけではありません。
大麻の存在を知っていることに加え、以下のような事情があると管理権が認められやすくなります。判例でもこれらの事情を重視して共同所持に当たるか否かを判断しています。
大麻の共同所持が認められやすくなる事情 |
大麻が家のどこにあるかを知っていた |
吸いたい時に箱から大麻を取り出して吸っていた |
夫に頼めばいつでも大麻を持ってきて吸わせてくれた |
車で移動した先でみんなで大麻を吸う予定だった |
訪問者に大麻が見つからないように隠していた |
自分の部屋や車に大麻を持ち込むことを許可していた |
大麻の購入資金を出した |
これらの事情があれば、大麻の管理権があったものとして共同所持が認められやすくなります。主たる所持者から「この大麻を預かっておいてくれ」と明示的な依頼があることまでは必要とされていません。
逆に以下のような事情が認められると、管理権が否定されやすくなり、共同所持が認定されにくくなります。
大麻の共同所持が認められにくくなる事情 |
大麻が自宅や車内のどこにあるかわからない |
大麻が金庫に保管されており自分で開けられない |
メインで所持している者の許可なく、大麻を使用したり持ち出すことができない |
大麻の共同所持の罰則は?
上に挙げた例で同居の妻や同乗していた友人が大麻を共同所持していたと認定されると、大麻所持の「共同正犯」として処罰されます。
共同正犯とは、他人と共同して自己の犯罪を実現した者のことです。自己の犯罪を実現したという点で、他人の犯行を手助けしたにとどまる従犯とは異なります。
大麻所持の共同正犯の法定刑は7年以下の懲役です。
*従犯の法定刑は3年6か月以下の懲役です。
【麻薬及び向精神薬取締法】
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*ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬=大麻
【刑法60条】
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大麻の共同所持-大麻使用罪の影響は?
これまでは大麻を使用しても処罰されませんでした。そのため、もし尿検査で大麻の使用が明らかになったとしても、使用罪で逮捕・起訴されることはありませんでした。
そのため、警察も何とか罪に問おうとして、同居人や同乗者を大麻の共同所持で見込み逮捕するケースが少なくありませんでした。
今後は尿検査で陽性反応が出れば大麻使用罪で逮捕できることから、大麻の共同所持で逮捕されるケースは減少すると思われます。
⇒大麻使用罪はいつから?罰則は?不起訴はとれる?弁護士が解説
大麻の共同所持で逮捕された後の流れは?
大麻事件の証拠(乾燥大麻や大麻リキッド、吸引具、スマホなど)は隠滅することが容易です。また、共同所持のケースでは共犯者同士による口裏合わせのおそれもあります。
そのため、大麻の共同所持で立件されると、逮捕・勾留される可能性が高くなります。
勾留されると原則10日にわたって拘束されます。検察官が裁判官に勾留の延長を請求し認められた場合は、さらに10日を限度として勾留が延長されます。
検察官は最長20日の勾留期間内に被疑者を起訴するか釈放するかを決めなければなりません。
⇒逮捕後の流れや釈放のタイミングについて図で分かりやすく解説
大麻の共同所持で起訴される?不起訴になる?
1.起訴されるケース
大麻の共同所持で逮捕・勾留された場合、検察官が公判を維持する十分な証拠があると考えれば、勾留の満期日までに起訴されます。起訴されると刑事裁判が始まります。
起訴後も勾留が続きますが、保釈請求が許可されると釈放されます。
共同所持の容疑を認めていれば、起訴直後に保釈が許可されることが多いです。否認していれば、保釈が許可されるのは早くても初公判後になることが多いです。
2.嫌疑不十分で不起訴になるケース
検察官が「起訴しても公判を維持できない(有罪を立証できない)」と考えた場合は、嫌疑不十分で不起訴にします。不起訴とは被疑者を刑事裁判にかけないことです。
不起訴になった時点で刑事手続は終了し、処罰されたり前科が付くことはありません。
3.起訴猶予で不起訴になるケース
公判を維持するだけの証拠がある場合でも、被疑者の反省等の情状を考慮して、あえて起訴せずに裁量的に不起訴にすることがあります。このタイプの不起訴を起訴猶予と言います。
大麻の共同所持-起訴猶予で不起訴を狙う
被疑者が大麻を共同所持していたことを認める場合は、起訴される可能性が高くなります。もっとも、押収された大麻が0.5g以下の微量である場合は、起訴猶予で不起訴になることもあります。
不起訴を獲得するためには、再犯防止プランを立て実践することが重要です。逮捕されていなければ、更生プログラムを受けてもらいます。逮捕されていれば通院することができませんので、専門家に出張カウンセリングを依頼します。
大麻の共同所持-嫌疑不十分で不起訴を狙う
1.取調べに適切に対応する
刑事裁判では供述調書が非常に重視されます。そのため、取調官は被疑者にプレッシャーをかけ、自白調書をとろうとします。嫌疑不十分で不起訴を獲得するためには、取調べで自白調書をとられないようにすることが重要です。
☑ 大麻の置き場所を知っていました
☑ 私も大麻を吸ったことがあります
☑ 大麻が見つからないように片付けていました
このような調書をとられてしまうと、後の刑事裁判で「本当は違うんです。」と言っても、裁判官に信用してもらえず、共同所持が認定される可能性が高くなります。
被疑者には黙秘権が認められているので、たとえ不利な事情があったとしても、供述を拒むこともできます。
不利な調書を作成されると撤回することができません。そのため、逮捕されればできるだけ早く弁護士のサポートを受けた方がよいでしょう。
⇒逮捕されたらすぐに弁護士を呼ぼう!弁護士費用や呼び方を解説
2.共犯者の供述を弾劾する
大麻の共同所持で逮捕された場合、主たる所持者も逮捕されているはずです。主たる所持者は、自分の責任をできるだけ軽くしようとして、共同所持で逮捕された他の者を引っ張り込もうとする傾向があります。
「大麻は〇〇が持ち込んだ物です。」
「〇〇から大麻を保管するように指示されました。」
一方的にこのようなことを言われた場合は、弁護士が主たる所持者の供述に信用性が認められないことを検察官や裁判官に指摘します。
ウェルネスの弁護士は大麻の共同所持で不起訴(嫌疑不十分)を獲得した実績があります。家族が大麻の共同所持で逮捕されたらウェルネス(03-5577-3613)までお気軽にご連絡ください。
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