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故意とは?確定的故意と未必の故意について弁護士が解説

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

犯罪が成立するためには故意が必要

「殺してやる」と思ってナイフで人を刺して死なせた場合は、殺人罪が成立します。では、わき見運転で人をひいて死なせてしまった場合も殺人罪が成立するのでしょうか?

 

この場合は殺人罪ではなく、過失運転致死罪が成立するにとどまります。

 

つまり、殺人罪が成立するためには殺意すなわち殺人の故意が必要ということです。人を死なせても、わき見運転のように殺人の故意がなければ殺人罪は成立しません。

 

過失犯以外の犯罪は「悪いとわかっているのにあえて悪いことをした人」に問われるものですので、犯罪が成立するためには故意が必要になります。

 

確定的故意と未必の故意

故意には①確定的故意と②未必の故意の2つがあります。

 

殺人の例でいうと「殺してやる」と思っているのが確定的故意、「死ぬかもしれないけれどもそれならそれでいい」と思っているのが未必の故意です。

 

まとめると以下のようになります。

 

①確定的故意…犯罪の実現を確定的なものと認識して認容している場合

②未必の故意…犯罪の実現を可能なものと認識して認容している場合

 

確定的故意であれ未必の故意であれ、犯罪事実を「認容」していることが必要です。「認容」とは「そうなってもいい」と犯罪の結果を受け入れている心理状態です。

 

確実に結果が発生するだろうと思って、結果を認容しているのが確定的故意、結果が発生する「かもしれない」と思って認容しているのが未必的故意になります。

 

故意が問題になる5つのケース

①殺人罪

人に暴力をふるって死なせても殺意がなければ殺人罪は成立せず、傷害致死罪にとどまります。刑事裁判で、被告人が殺意はなかったと主張した場合、検察官は、凶器の形状や遺体に残された傷の位置・深さなどの客観的な事実から殺人の故意を立証しようとします。

 

例えば、被害者の心臓近くに鋭利なナイフを深々と刺して死なせたようなケースでは、被告人が「殺すつもりはなかった。」と言っても、裁判で殺人の故意が認定される可能性が高いです。

 

②覚せい剤などの薬物犯罪

覚せい剤の使用罪や所持罪が成立するためには、使用・所持していた物が覚せい剤であることについての故意が必要です。

 

「覚せい剤に違いない。」と確定的に認識している必要はなく、「覚せい剤かもしれないし、他の薬物かもしれないが、仮に覚せい剤であったとしても構わない。」という心理状態であれば、未必の故意が認められ、覚せい剤の使用罪や所持罪が成立します。

 

本人が未必の故意も否認した場合は、検察官は、保管状況(パケに入れて小分けにされているか)、入手の経緯(覚せい剤の隠語を使ったやりとりがあるか)、覚せい剤犯罪の前科(前科があれば覚せい剤を見たことがあるので今回も認識できたはず)などの事情から、覚せい剤の故意を立証しようとします。

覚せい剤

 

③オレオレ詐欺の受け子

オレオレ詐欺で詐欺罪が成立するためには、被害者をだますことについての故意が必要です。かけ子の場合、みずから被害者に電話をかけて話をしているので、詐欺の確定的な故意が認められます。

 

これに対して、受け子の場合は、被害者からお金が入った袋を受けとるだけで、ほとんど言葉を交わしていないことが多いため、確定的な故意が認められないケースも少なくありません。もっとも、受け子が「なんか怪しいな。詐欺かも。でもいいや。」と思っていれば、未必の故意が認められます。

 

もし刑事裁判で、未必の故意も否認した場合は、検察官は、受け子が被害者に偽名を名乗っていたこと、袋を受けとった後すぐに現場を離れて指示されたロッカーに入れたこと、労力の割に報酬が高いことなどを指摘して、少なくとも未必の故意があったことを立証しようとします。

オレオレ詐欺

 

④児童買春

児童買春罪が成立するためには、性行為の相手が18歳未満であることの故意が必要です。ただ、確定的に18歳未満であると認識している必要はなく、漠然と「18歳未満かもしれないが、それならそれでいい。」と思っていれば、未必の故意が認められ、児童買春罪が成立します。

 

相手の女性から「17歳です。」と言われていれば、確定的故意があることになり、「高校生です。」と言われていれば、未必の故意があることになります。

 

刑事裁判で、未必の故意も否認した場合は、検察官は、女性の供述やSNSで女性とやりとりしていた履歴、「17歳」等と表示されているJKリフレ店のホームページ等を証拠として、故意があったことを立証しようとします。

児童買春

 

⑤あおり運転による殺人

あおり運転の結果、被害者が事故を起こして死亡した場合、殺人罪で逮捕・起訴されることがあります。

 

刑事裁判で、被告人が「殺すつもりはなかった」と殺意を否認した場合、検察官は、あおり運転の状況や被害者が乗っていた車両(バイクか車か)、ドライブレコーダーに録音されていた加害者の音声などの事情から、少なくとも未必の故意があったことを立証しようとします。

あおり運転

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