あおり運転

 

あおり運転とは

あおり運転とは、特定の車やバイクの走行を妨害する目的で、危険で悪質な運転をすることです。

 

【あおり運転の例】

・クラクションを鳴らしながら前方の車を追い回す

・後ろから強引に前に割り込んできて急ブレーキをかける

・バイクにぎりぎりまで幅寄せする

 

 

あおり運転の取締りが強化!

平成29年6月に、東名高速道路で、あおり運転にあった自動車に乗っていた夫婦が後続のトラックにひかれて死亡しました。

 

この事件以降、あおり運転の危険性がクローズアップされ、取締りの強化を求める声が広がりました。

 

このような情勢に応えて、平成30年1月に、警察庁は、あおり運転等の危険で悪質な運転について、危険運転致傷罪や暴行罪などあらゆる法令を駆使して、厳正な捜査をするよう通達しました。

 

それでは、あおり運転がどのような犯罪になるのか見ていきましょう。

 

 

あおり運転により死傷事故が生じたケース

次の3つの要件を満たした場合は、危険運転致死傷罪(妨害目的運転)が成立します。

 

①人または車の通行を妨害する目的があること

②走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人または車に著しく接近すること

③重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転すること

 

刑罰は被害者にけがをさせたときは15年以下の懲役、死亡させたときは1年~20年の懲役です。

 

これら3つの要件のいずれかに該当しないときは、過失運転致死傷罪が成立します。刑罰は①7年以下の懲役、②7年以下の禁錮、③100万円以下の罰金のいずれかです。

 

 

あおり運転により死傷事故が生じなかったケース

あおり運転をしたが、それによって死傷事故が生じなかった場合、悪質なケースでは暴行罪、それ以外のケースでは道路交通法違反が成立します。

 

以下、個別にみていきます。

 

(1)悪質なあおり運転

悪質なあおり運転をしたときは、たとえ死傷事故を引き起こさなかったとしても、暴行が成立します。

 

暴行罪における暴行とは、「人の身体に対し不法に有形力を行使すること」です。殴ったり蹴ったりすることが典型的な暴行ですが、有形力は人に向けられていればよく、人に接触する必要はありません。例えば、人の足元に大きな石を投げつけることも暴行になります。

 

悪質なあおり運転についても「不法に有形力を行使した」として暴行罪となります。刑罰は2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

 

どのようなあおり運転が悪質と評価されるかについては、画一的な基準はなく、ケースごとに個別に判断されます。

 

実際にあおり運転が暴行罪として立件された例として、次のようなケースが挙げられます。

 

・前方の自動車に急接近して2回追突

・約4キロに渡ってパッシングや蛇行運転をした後、前に割り込んで急ブレーキをかけた

・4~5分間、前の車に接近して蛇行運転し、左側から追い越して前方に出た後に急ブレーキをかけた

 

(2)その他のあおり運転

悪質とまではいえないあおり運転については、道路交通法違反が適用されます。もっとも所定の反則金を支払えば、刑事手続には移行せず、刑罰は科されません。

 

ケース

道路交通法

刑罰

前に割り込み急ブレーキをかける

急ブレーキ禁止違反(24条)

3か月以下の懲役または5万円以下の罰金

前の車にぴったりくっつける

車間距離保持義務違反(26条)

一般道…5万円以下の罰金

高速道路…3月以下の懲役または5万円以下の罰金

後続車が急ブレーキを余儀なくされる進路変更をする

進路変更禁止違反(26条の2)

5万円以下の罰金

車の左側から追い越す

追い越し方法違反(28条)

3月以下の懲役または5万円以下の罰金

夜間、ハイビームにして前の車を追い回す

減光等義務違反(52条2項)

5万円以下の罰金

不必要にクラクションを鳴らし続ける

警音器使用制限違反(54条2項)

2万円以下の罰金または科料

バイクの車体すれすれまで幅寄せする

安全運転義務違反(70条)

3月以下の懲役または5万円以下の罰金

 

 

あおり運転と器物損壊

通常の自動車事故では、物損について犯罪は成立しません。器物損壊になるのでは?と思われるかもしれませんが、器物損壊罪は故意がないと成立しません。通常の自動車事故のように過失で物を壊した場合は、故意がなく器物損壊罪にはなりません。

 

器物損壊罪の故意の種類としては次の2種類があります。

①積極的に物を壊そうとする意思

②積極的に壊そうとまでは思っていないが、壊れるんだったらそれでもいいという意思(未必の故意)

 

あおり運転中に他車に衝突したときは、少なくとも②の故意が認められと考えられますので、器物損壊罪が成立します。

 

 

あおり運転と脅迫等

あおり運転をしながら、相手のドライバーに対して、「殺すぞ」等といって、恐怖感を与えた場合は、脅迫が成立します。

 

あおり運転により相手の車を停止させた後に、ドライバーを殴ったり蹴ったりすれば暴行傷害が成立します。

 

 

あおり運転と行政処分

(1)点数制度に基づく行政処分

点数制度とは、違反ごとに点数を付け、過去3年以内の累積点数によって、免許の取消し・停止等の処分を下す制度です。

 

①危険運転致死

62点⇒一発で免許取消

 

②危険運転致傷

けが・後遺症の程度に応じて45点~55点⇒一発で免許取消

 

③道路交通法違反

 道路交通法

違反点数

急ブレーキ禁止違反(24条)

2点

車間距離保持義務違反(26条)

一般道…1点

高速道路…2点

進路変更禁止違反(26条の2)

1点

追い越し方法違反(28条)

2点

減光等義務違反(52条2項)

1点

警音器使用制限違反(54条2項)

0点

安全運転義務違反(70条)

2点

 

(2)点数制度によらない行政処分

あおり運転のケースでは、点数制度によらない行政処分もあります。

 

それが「危険性帯有による行政処分」です。あおり運転をした者が「著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある」と認定されれば、これまでの累積点数にかかわらず、免許の取消しや6か月以下の免許停止処分が下されます。

 

あおり運転に暴行罪が適用される場合や、あおった後に暴行、傷害、脅迫、器物損壊などの犯罪行為をしたときは、危険性帯有による行政処分が下される可能性が高いです。

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