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器物損壊とは?逮捕後の流れや慰謝料・弁護士費用の相場を解説

器物損壊について

 

☑ 器物損壊で家族が逮捕された

☑ 器物破損の被害者に慰謝料を払って示談したい

☑ 器物損壊の弁護士費用について知りたい

 

 

このような方々のために、弁護士が器物損壊で逮捕された後の流れや慰謝料の相場、弁護士費用などについて解説しています。

 

 

 

 

器物損壊とは

器物損壊とはわかりやすく言うと他人の物を壊すことです。

 

 

器物損壊の「損壊」とは物の効用を害することです。物理的に壊す場合だけではなく、その物を本来の用途にしたがって使えなくすることも損壊にあたります。

 

 

そのため、窓ガラスにビラを貼りつけたり、女性の衣服に体液をつける行為も損壊といえます。

 

 

器物損壊と器物破損の違い

器物損壊は器物破損と言われることもありますが、意味は同じですので違いはありません。法律上は器物損壊が正式な名称です。

 

 

そのため、起訴状や告訴状、判決書には器物破損ではなく器物損壊と書かれます。

 

 

器物損壊の刑罰

器物損壊の刑罰は、次の3つのいずれかです。

 

懲役1か月~3年

罰金1万円~30万円

科料1000円~9999円

 

 

実際は科料になることはまずありません。初犯であれば略式裁判で罰金になることがほとんどです。罰金でも前科がつきますので、前科をつけたくないということであれば、被害者と示談をすることが必要になります。

 

 

過失で器物損壊になる?

器物損壊罪が成立するためには、物を破損することについての故意が必要です。過失で物を壊してしまっても故意が認められず器物損壊罪は成立しません。

 

 

例えば、自家用車を運転していてハンドル操作を誤り駐車中の車に衝突した場合、わざと車を破損させたわけではないため、器物損壊にはなりません。

 

 

もっとも、過失があれば民事上の不法行為にはなりますので、民事で損害賠償を請求される可能性はあります。

 

 

器物損壊と告訴

器物損壊は親告罪といって、被害者の告訴がなければ起訴することができませ器物損壊の告訴は、壊された物の所有者だけではなく、借りている人もすることができます。

 

 

例えば、飲食店の窓ガラスを割った場合、建物のオーナーだけではなく、その建物を借りている店の責任者も器物損壊で加害者を告訴することができます。

 

 

器物損壊で捜査しないケース

器物損壊罪は告訴がなければ起訴することができない親告罪ですが、告訴は「起訴」の要件であって、「捜査」の要件ではありません。そのため、被害者からの告訴がなくても捜査されることはあります。

 

 

器物損壊は防犯カメラが証拠になることが多いですが、防犯カメラの記録は1、2週間で上書きされるため、警察はまず被害者から相談を受けた時点で防犯カメラ映像を確認します。

 

 

ただ、どれだけ捜査をしても告訴がなければ起訴することはできないため、被害者からの告訴がなければ、逮捕や家宅捜索などの強制捜査をすることはないでしょう。

 

 

そのため、告訴される前に被害者と示談をすべきです。

 

 

器物損壊の時効

器物損壊は刑事事件にも民事事件にもなり得ます。それぞれの時効は以下の通りです。

 

 

刑事事件の時効

破損したときから3年で時効になります。

 

 

民事事件の時効

被害者が損害及び加害者を知ったときから3年、または破損したときから20年で時効になります。

 

 

器物損壊で逮捕される確率は40%

2020年に刑事事件として取り扱われた器物損壊のうち逮捕されたケースは40%です。逮捕された後、勾留されたケースは65%です。

 

 

勾留は原則10日ですが、裁判官の許可があれば最長であと10日間延長できます。器物損壊で勾留延長されたケースは61%です。

 

 

*2020年検察統計年報に基づく数値です。本ページの数値(%)は全てこの資料に依拠しています。

*上記の数値には、器物損壊以外に毀棄(きき)罪全般(文書毀棄、建造物損壊、信書隠匿など)が含まれていますが、毀棄罪の大部分を器物損壊が占めています。

 

 

器物損壊で逮捕された後の流れ

器物損壊は重大な犯罪というわけではありませんが、それでも逮捕された方の半数以上が勾留されているのが現状です。

 

 

ご近所トラブルで隣人の車に傷をつけた場合など、加害者が被害者に悪感情をもっており、容易に被害者に近づくことができる場合は、釈放すれば被害者に接触するおそれがあるとして、勾留される可能性が高くなります。

 

 

いたずらで何台もの車に傷をつけたケースのように、余罪が多い場合も勾留されやすくなります。

 

 

ただ、示談が成立して告訴を取り消してもらえれば、一両日中に釈放されるため、早期に弁護士をつけて示談に向けて動くべきです。

 

器物損壊の起訴で起訴される確率は21%

2020年に検察庁が取り扱った器物損壊のうち起訴されたケースは21%です。起訴には公開の法廷で審理される公判請求と法廷に行く必要がない簡易な略式請求があります。

 

 

起訴されたケースのうち43%が公判請求、57%が略式請求です。略式請求の場合は罰金ですみますが、公判請求された場合は、原則として懲役刑を下されます。

 

 

懲役刑になっても通常は執行猶予がつきますが、前科があったり、執行猶予中であれば、実刑になる可能性が高くなります。

 

*こちらは器物損壊のみの数値(%)です。文書毀棄など他の毀棄罪は含まれていません。

 

 

器物損壊と示談

器物損壊では示談が重要

2020年に器物損壊で不起訴になったケースは79%ですが、そのうちの59%が「告訴がないこと」を理由とする不起訴です。

 

 

一方、最後まで告訴が取り消されなかった場合に、起訴猶予で不起訴になったケースは18%しかありません。

 

 

これらのデータから、器物損壊の弁護活動においては、被害者と示談をして告訴を思いとどまってもらうこと、あるいは、いったんなされた告訴を取り消してもらうことが最重要であることがわかります。

 

 

器物損壊の示談と弁護士

器物損壊は近隣トラブルや人間関係のもつれが原因になっていることが多いです。加害者が物を破損した際、酒に酔って暴れていたケースも少なくありません。

 

 

このような事情があるため、器物損壊の被害者は加害者と直接やりとりしたくないと思っています。

 

 

車の物損事故の示談であれば保険会社が対応してくれますが、刑事事件の器物損壊については、保険会社が交渉してくれるわけではありません。

 

 

そのため、被害者への対応は弁護士に任せた方がよいでしょう。

 

 

器物損壊の示談金の相場

器物損壊の示談金の額は壊した物の修理費用や買い替え費用がベースになります。まずは、弁護士が被害者から修理費用などの見積書をとりよせます。

 

 

修理するのに時間がかかる場合は、まず見積書の金額に基づき示談金を決めた上で、もし実際の修理費用が見積りの金額を超えた場合は、別途、差額をお支払いするという条件で示談をまとめることもあります。

 

 

器物損壊の慰謝料の相場

慰謝料とは精神的な損害に対する賠償金です。器物損壊は物に対する犯罪であるため、示談金のメインとなるのは物の原状回復費用です。

 

 

民事の物損事故であれば、裁判になっても慰謝料まで認められることは通常ありませんが、刑事事件になった場合は、修理費用だけ払って終わりというわけではなく、慰謝料もお支払いすることが多いです。

 

 

被害者としては、破損した物が修復されても、事件のことを思い出して嫌な気分になったり、「また傷をつけられたらどうしよう。」と不安な気持ちになるためです。

 

 

もっとも、暴力犯罪や性犯罪のように被害者自身を傷つけたわけではありませんので、慰謝料はあくまでも示談金の調整要素であり、修理費用を大幅に超える慰謝料を支払うことは通常ありません。

 

 

そのため、慰謝料の相場は5万円から10万円前後になります。 ただ、女性の衣服に精液をかけたケースでは、性犯罪的な側面があり被害者に多大な精神的ショックを与えていますので、相応の慰謝料を支払う必要があるでしょう。

 

 

器物損壊で示談しないとどうなる?

器物損壊で示談をしないと略式裁判で罰金になる可能性が高くなります。罰金になると医師や看護師など職業によっては活動が制限されることがあります。

前科とは?前歴との違いや5つのデメリット、結婚・就職に影響は?

 

 

また、修理費用が高額になる場合は、被害者から民事訴訟を起こされるリスクもあります。

 

 

器物損壊の示談金をおさえるポイント

示談が成立しなければ、被害者は民事で裁判をすることができます。もっとも、民事訴訟を起こすためには、被害者は自分の氏名と住所を訴状に記載して加害者に明らかにしなければいけません。

 

 

また、民事裁判になれば、原状回復費用は認められますが、原則として物損に伴う慰謝料は認められません。

 

 

そのため、裁判によらずに示談で早期に解決することは、加害者だけではなく被害者にとってもメリットがあるといえるでしょう。

 

 

加害者側の弁護士としては、示談金が高額にならないよう、このような示談のメリットを被害者にもきちんと説明することが大切です。

刑事事件と民事裁判

 

 

器物損壊を否認して不起訴を獲得する方法

器物損壊の容疑を否認する場合、嫌疑不十分または嫌疑なしを理由とする不起訴処分を求めることになります。

不起訴とは?無罪との違いや前歴・罰金との関係

 

 

2020年に器物損壊で嫌疑不十分または嫌疑なしで不起訴となったケースは18%です。これに対して、起訴されれば無罪となる可能性は0.1%しかありません。否認するのであれば不起訴を目指すのが現実的です。

 

 

実際は壊していないにもかかわらず、取調官から「あなたが破損したとしか考えられない。」等とプレッシャーをかけられ自白調書を作成してしまうと、裁判で無罪を主張するのが難しくなってしまいます。

 

 

検察官も自白調書があれば裁判で勝てると考え、積極的に起訴してきます。そのため、器物損壊を否認するのであれば、黙秘権を行使する等して自白調書を作成されないようにすることが大切です。

 

弁護士が取調べに同行したり、ひんぱんに接見することにより被疑者をバックアップします。

否認事件の弁護活動

 

 

器物損壊の事例-よくある5つのケース

事例①:飲酒による器物損壊

酔っぱらって飲食店の備品やタクシー車両などを破損したケースです。器物損壊で最も多いパターンです。

 

 

本人が泥酔して暴れているようなケースでは、自傷他害のおそれが強く逮捕される可能性が高いです。ただ、「覚えていない」と言って否認を続けない限り、勾留されずに早期に釈放されることが多いです。

 

 

店の従業員やタクシードライバーに暴力をふるった場合は、器物損壊とは別に、暴行事件、傷害事件として立件されます。示談については個別に対応する必要があるでしょう。

 

 

また、タクシー車両を破損した場合は、タクシー会社から修理費用に加えて、タクシーを営業に使えなくなった日数×1日あたりの平均収益を逸失利益として請求されることが多いです。

 

事例②:近隣トラブルによる器物損壊

近所の方と騒音や車の置き方をめぐってトラブルになり、腹いせに車や自転車に傷をつけるケースです。

 

 

以前からトラブルになっていることが多く、検察官や裁判官に「被害者にお礼参りに行くおそれがある。」と判断されやすいことから、逮捕・勾留される可能性が高いです。

 

 

加害者が賃貸マンションに居住している場合は、引越しをすることを条件として示談をまとめることが多いです。

 

 

加害者が今後も同じ場所に住み続ける場合は、被害者との間でトラブルが生じないよう、お互いの状況に配慮した上で示談をまとめることが必要です。

 

 

事例③:体液による器物損壊

電車内で女性に精液をかけるケースです。精液をかける前後に、女性の身体に触ったり、下半身を押しつけた場合は、器物損壊の他に迷惑防止条例違反または強制わいせつでも立件されます。

 

 

被害者や目撃者に現行犯逮捕されることが多いです。

 

 

前科がある方の場合、自身のDNA情報が警察のデータベースに保存されているため、いったんその場から逃げても、女性の衣服についた精液を、DNA鑑定にかけることで足がつき、後日逮捕される可能性が高いです。

 

 

前科がない方でも、後日、別の刑事事件を起こし、DNAを採取されれば、逮捕される可能性が高くなります。

 

 

被害者は大きなショックを受けていますので、示談に際しては、衣服の代金に加えて10万円~40万円程度の慰謝料を支払う必要があるでしょう。

 

 

事例④:職場での器物損壊

職場内でのトラブルから同僚の私物を持ち去り破棄するケースが考えられます。単に破棄しただけで、暴行・傷害・脅迫など他の犯罪行為をしていなければ、逮捕される可能性は低いです。

 

 

このようなケースでは、器物損壊に至る前に、加害者・被害者間にパワハラや男女関係のもつれ等のトラブルが生じていることが多いです。示談に際しては、器物損壊だけではなく、背景事情にも留意した上で解決を図る必要があります。

 

 

職場内で発生した器物損壊のケースでは、警察に通報される前後の時点で、会社にも発覚しているのが通常です。その場合、会社の懲戒手続に適切に対応することが必要です。最も重要なことは、会社に窃盗と認定されないようにすることです。

 

 

職場窃盗については、懲戒解雇を含めた厳しい処分で臨む会社が多いです。いやがらせ目的で私物を廃棄しただけであれば、不法領得の意思がなく窃盗にはあたりません。

 

 

弁護士が人事担当者に事情を説明する等して、器物損壊であることを会社に納得してもらうことが必要です。

 

 

事例⑤:愉快犯的な器物損壊

住宅街や商業施設、テーマパーク等に駐車されている車に傷をつけるケースが考えられます。

 

 

防犯カメラが決め手となって検挙されることが多いです。繰り返し行っている場合は、張り込み捜査によって検挙されることもあります。逮捕される可能性はかなり高いです。

 

 

示談金については、車の修理費用が基準になります。それほど大きな傷でなくても、車の修理費用は高くなりがちで、数十万円になることもあります。

 

 

損害の立証が比較的容易なことから、示談が成立しなければ民事裁判になる可能性が十分にあります。

 

★ウェルネスでは器物損壊の5つの事例全てについて不起訴獲得の実績があります。

 

 

器物損壊の弁護士費用の相場

器物損壊の弁護士費用の相場は55万円~220万円(税込み)です。逮捕されている事件の方が弁護士の負担が重くなるため、弁護士費用は高くなります。

 

 

弁護士費用に大きな影響を与える要素は法律事務所の広告費用です。大きな法律事務所ほどマーケティングにお金をかける傾向がありますので、小さな事務所に比べて広告費用も高くなりやすいです。

 

 

器物損壊で最も重要なポイントは、被害者に修理費用を払って示談をまとめることです。弁護士費用が高すぎて修理費用が払えないという状況は絶対に避けなければいけません。

 

 

弁護士費用と示談の成功率に相関関係はありません。実際に弁護士と会った上で、経験や実績だけではなく、費用についても納得できる事務所と契約されるとよいでしょう。

 

 

ウェルネスでは器物損壊の弁護士費用は44万円(税込み)になることがほとんどです。

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このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しました。 

 

 

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