器物損壊

 

器物損壊とは

器物損壊とは

①他人の物を損壊すること

②他人の動物を殺傷すること

です。

 

「損壊」とは物の効用を害することです。物理的に破損させる場合だけではなく、その物を本来の用途にしたがって使用できなくすることも「損壊」にあたります。後者の例として、食器に放尿する行為や窓ガラスにビラを貼り付ける行為が挙げられます。

 

 

器物損壊の刑罰

次の3つのうちのいずれかです。

 

懲役1か月~3年

罰金1万円~30万円

③科料1000円~9999円(1万円未満)

 

実際は科料になることはまずありません。初犯であれば罰金になることがほとんどです。

 

 

器物損壊と故意

器物損壊罪が成立するためには、物を破損することについての認識(故意)が必要です。故意が認められないときは、器物損壊罪は成立しません。

 

【故意が認められるケース】

タクシードライバーと口論になり、タクシーのドアを蹴ってへこませた

 

【故意が認められないケース】

車を運転中に過失により衝突事故を起こし相手の車を傷つけた

 

*故意が認められず器物損壊にならない場合でも、物損として民事上の賠償責任が発生することがあります。

 

 

器物損壊と暴行・傷害

暴行傷害のケースで、加害者が被害者に接触した際、衣類などを破いてしまったときは、通常は暴行か傷害のみで処理され、器物損壊では立件されません。

 

暴行の認識がある以上は、衣類などを損壊してしまうかもしれないという限度で器物損壊の故意も認められますが、衣類などの破損については、暴行や傷害に通常伴うものとして、包括的に評価されます。

 

ただ、示談をする際には、これらの物損についても賠償することが必要になります。

 

 

器物損壊と告訴

器物損壊は、「親告罪」といって、告訴がなければ起訴することができない犯罪です。

 

器物損壊の告訴は、壊された物の所有者だけではなく、賃借人も行うことができます。例えば、飲食店の窓ガラスを割った場合、建物のオーナーだけではなく、その建物を借りている店の経営者も器物損壊で告訴することができます。

 

 

器物損壊の関連犯罪

 

行為の内容

刑罰

公用文書等毀棄

公務所で使用・保管されている文書やデータを破棄したり隠匿する等してその効用を害すること

懲役月~

私用文書等毀棄

権利や義務に関する他人の文書・データを破棄したり隠匿する等してその効用を害すること

懲役月~

建造物等損壊

建造物や艦船を損壊すること

懲役月~

建造物損壊致死傷

建造物や艦船を損壊し、人を死傷させること

致傷…懲役月~15

致死…懲役年~20

*これらのいずれかの犯罪が成立する場合は器物損壊罪は成立しません。

 

 

器物損壊と逮捕

器物損壊を含む毀棄(きき)罪について、逮捕された人の割合は40%です。逮捕後、勾留された人の割合は63%です。勾留期間が10日を超えて延長された人の割合は55%です。

  

*平成28年版検察統計年報に基づく数値です。本ページに出て来る数値は全てこの資料に依拠しています。

*上記の数値には、器物損壊以外に毀棄(きき)罪全般(文書毀棄、建造物損壊、信書隠匿など)が含まれていますが、毀棄罪の大部分を器物損壊が占めています。

 

 

器物損壊と起訴

平成28年に検察庁が取り扱った器物損壊事件のうち起訴されたケースは22%です。起訴には本人が裁判所に出廷する公判請求と出廷しない略式請求があります。

  

起訴されたケースのうち46%が公判請求、54%が略式請求です。略式請求の場合は罰金で済みますが、公判請求された場合は、懲役刑を下される可能性が高くなります。その場合でも、前科が複数あったり、執行猶予期間中でなければ、執行猶予がつく可能性が高いです。

  

*器物損壊のみの数値です。文書毀棄など他の毀棄罪は含まれていません。

 

 

器物損壊の弁護活動(罪を認める場合)

平成28年に器物損壊で不起訴処分になった割合は78%ですが、そのうちの62%が「告訴がないこと」を理由とする不起訴です。一方、最後まで告訴が取り消されなかった場合に、起訴猶予で不起訴になった割合は14%しかありません。

 

器物損壊を認めている場合の弁護活動においては、示談をして告訴を思いとどまってもらうこと、いったんした告訴を取り消してもらうことが最も重要です。

 

 

器物損壊の弁護活動(無罪を主張する場合)

器物損壊をした覚えがないのに容疑者として扱われている場合、嫌疑不十分または嫌疑なしで不起訴処分を求めることになります。

 

器物損壊で嫌疑不十分または嫌疑なしで不起訴となる割合は16%です。具体的な弁護活動のポイントはこちらをご参照ください否認事件の刑事弁護

 

 

器物損壊の4つのパターン

①飲酒による器物損壊

酔っぱらって飲食店の備品を壊したり、タクシーの車体や自動販売機などを蹴ってしまうといったケースです。器物損壊で最も多いパターンです。本人が泥酔して暴れているようなケースでは、自傷他害のおそれが強く、逮捕される可能性は非常に高いです。

 

ただ、「覚えていない」として否認を続けない限り、勾留されずに釈放されることも少なくありません。示談については破損させた物の修理・交換費用がベースになります。

 

店の従業員やタクシードライバーに暴力をふるった場合は、器物損壊とは別に、暴行事件、傷害事件として立件されます。示談については個別に対応する必要があるでしょう。

 

 

②性的な衝動による器物損壊

満員電車内で女性に精液をかけるケースが考えらえます。精液をかける前に、女性の身体に触ったり、下半身を押し付けたりしている場合は、器物損壊の他に迷惑防止条例違反または強制わいせつでも立件されることになります。

 

現行犯逮捕されることが多いですが、前科がある方の場合、いったんその場から逃げても、後日、女性の衣服から採取したDNA鑑定で足がつき、逮捕されることが多いです。前科がない方でも、後日、別の刑事事件を起こし、DNAを採取されれば、逮捕される可能性が十分にあります。

 

被害女性は大きなショックを受けていますので、示談に際しては、汚損した衣服の着用代金に加えて相当額の慰謝料を支払う必要があるでしょう。

 

 

③人間関係のもつれによる器物損壊

職場内でのトラブルから同僚の私物を持ち去り廃棄するケースが考えられます。単に廃棄しただけで、暴行・傷害・脅迫など他の犯罪行為をしていなければ、逮捕される可能性は低いです。

 

このようなケースでは、器物損壊に至る前に、加害者・被害者間にパワハラ・セクハラ・男女関係のもつれ等のトラブルが生じていることが多いです。示談に際しては、器物損壊だけではなく、背景事情にも留意した上で、抜本的な解決を図る必要があります。

 

職場内で発生した器物損壊のケースでは、警察に通報される前後の時点で、会社にも発覚しているのが通常です。その場合、会社の懲戒手続に適切に対応することが必要です。最も重要なことは、会社の調査手続で誤まって窃盗と認定されないようにすることです。

 

職場内での窃盗事件については、懲戒解雇を含めた厳しい処分で臨む会社が多いです。いやがらせ目的で私物を廃棄しただけであれば窃盗にはあたりませんので、弁護士が人事担当者に事情を説明する等して、まずはその点を会社に納得してもらうことが必要です。

 

 

④愉快犯的な器物損壊

民家や商業施設、テーマパーク等に駐車されている自動車に傷をつけるケースが考えられます。

 

防犯カメラが決め手となって検挙されることが多いです。繰り返し行っている場合は、張り込み捜査によって検挙されることもあります。逮捕される可能性はかなり高いです。

 

示談金については車の修理費用相当額が基準になります。それほど大きな傷でなくても、修理費用が数十万円になることもあります。損害の立証が比較的容易なことから、示談が成立しなければ民事裁判になる可能性が十分にあります。

 

★ウェルネスではこれら4つの器物損壊全てについて不起訴獲得の実績があります。

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