- トップ
- > 刑事裁判で被告人や家族が目立たないようにする方法
刑事裁判で被告人や家族が目立たないようにする方法
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
【刑事裁判】被告人や家族が目立ちやすい裁判は?
芸能人や政治家など有名人の裁判には、多数の傍聴人がつめかけます。傍聴席には限りがあるため抽選が行われます。一般人の裁判でも、マスコミに報道された事件については、傍聴席がいっぱいになることが多いです。
それ以外の裁判については、犯罪名によって傍聴人の数が変わってきます。傍聴を希望する方は、事前に犯罪名を確認して、興味をもてそうな裁判を傍聴するからです。
東京地方裁判所では、1階のロビーに設置された専用モニターで、裁判の開始時刻や被告人の氏名と並んで、犯罪名を確認することができます。
傍聴人が集まりやすいのは性犯罪の裁判です。逆に窃盗や覚せい剤の裁判は傍聴人に人気がありません。
筆者の印象としては、最も傍聴人が集まりやすいのは、強制わいせつ罪の裁判です。犯罪名からして、性犯罪ということが一目瞭然で、好奇心を刺激しやすいためだと思われます。
準強制わいせつ罪や強制わいせつ致傷罪なども同様に考えることができます。強制性交等罪の裁判も、「性交」という言葉から性犯罪であることがわかるので、多くの傍聴人が集まります。
痴漢や盗撮は「迷惑防止条例違反」という犯罪になりますが、強制わいせつ罪や強制性交等罪の裁判と比べると、傍聴人はやや少ない傾向があります。
「迷惑防止条例違反」という名称を見ただけですぐに性犯罪を連想できるわけではなく、「何の犯罪かわからないので、見るのはやめておこう。」と考える方が少なからずいると思われます。
*上記の内容は筆者が約10年間にわたり、東京地裁で多数の刑事裁判を経験した際の印象に基づき述べています。正確な統計データが存在するわけではありません。
*東京地裁以外でも大阪地裁など大規模な裁判所では、ほぼ同様の傾向だと思われます。中小規模の裁判所では、犯罪の種類を問わず傍聴人がほとんどいないこともあると思われます。
【刑事裁判】被告人や家族が目立たないですむ3つのポイント
身柄拘束されていない被告人(在宅起訴された被告人や保釈された被告人)は、一般の方と同じ動線で法廷に入ります。
身柄拘束されていない被告人や家族らが、公判当日になるべく目立たないようにするためのポイントとして、次の3つが挙げられます
1.法廷近くの待合室で待たない
開廷前に被告人やご家族が弁護士と待ち合わせをします。利便性を考えると、審理が行われる法廷のすぐ近くの待合室で落ち合うのが便利です。
ただ、傍聴人が多い刑事裁判で法廷近くの待合室で待っていると、傍聴人の好奇の目にさらされることもあります。審理が行われる法廷とある程度離れた待合室で弁護士と合流すると、人目にさらされずにすむでしょう。
東京地裁では、中央の大きな通路を挟んで左右対称の間取りになっていますので、通路を挟んで反対側の待合室で弁護士と落ちあうとよいでしょう。
2.審理が始まる直前に法廷に入る
被告人は、法廷に入ると検察官と向かい合う形で着席します。
いったん裁判が始まれば、傍聴人の視線は裁判官をはじめ、検察官や弁護士にも向けられますが、裁判が始まる前は、被告人に視線が集中します。
そのため、傍聴人にじろじろ見られたくなければ、決められた開廷時刻ぎりぎりまで待合室で待機し、審理が始まる直前に弁護士と一緒に法廷に入るとよいでしょう。なお、勾留されている被告人は、審理が始まる直前に警察官や拘置所職員と一緒に入廷します。
ご家族が傍聴される場合は、弁護士が事前に裁判所に申請して、関係者用の席を確保してもらいます。関係者用の席は傍聴席の最前列になるので、開廷時刻の直前に法廷に入るとかえって目立ってしまいます。一般の傍聴人と同じく5分~10分前に入廷するとよいでしょう。
3.審理の終了後はエスカレーターを使用しない
審理が終了した後は、被告人やご家族がエレベーターが来るのを待っている間に、裁判を見学した傍聴人からじろじろ見られることがあります。
そのような事態を避けるため、あらかじめ弁護士が非常階段の位置を確認しておき、審理が終了した後は、エレベーターを使用せず非常階段から1階に下りるとよいでしょう。
ウェルネスの弁護士は、ご本人だけでなくご家族も徹底サポートします。刑事事件でお悩みの方はウェルネス(03-5577-3613)までご相談ください。