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刑事裁判と民事裁判の違い

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

刑事裁判を提起できるのは検察官のみ

裁判所に刑事裁判を求めることを「起訴」といいます。起訴できるのは検察官のみです。これを検察官の起訴独占主義といいます。

 

たとえ被害者であっても自ら起訴することはできません。検察官に「起訴してください」と求めることはできますが、最終的に起訴するか否かを判断するのは検察官です。

 

【民事裁判では】

民事裁判では、トラブルになった当事者のどちらからでも訴訟を提起することができます。通常は、「お金を払ってください」と主張する側が訴訟を提起しますが、請求される側が、「そんな義務は存在しない」と主張して、債務不存在の確認を求めることもあります。

 

【裁判の主役は誰?】

民事裁判では、トラブルの当事者と訴訟の当事者が一致します。刑事裁判では検察官と被告人が当事者になります。事件の被害者は裁判の当事者ではありません。

 

【手数料について】

民事裁判は、私人間のトラブルを裁判所が審理してどちらが正しいのか判断する手続です。そのため、「国が国民のために提供するサービス」という面があるため、民事裁判を提起するためには、原告が所定の収入印紙や切手を裁判所に納めなければいけません。

 

これに対して、刑事裁判は、治安維持や犯罪予防のための公益的な手続です。そのため、検察官は起訴するにあたって、収入印紙や切手を納める必要はありません。

 

刑事裁判は本人の出廷が必要

刑事裁判では、原則として、本人が出廷しないと審理をしたり判決を言い渡すことができません。欠席裁判はできないということです。

 

ただ、控訴審や上告審では、被告人が出廷していなくても、審理をしたり判決を言い渡すことができます。控訴審や上告審は、下級審の判決に事実誤認や憲法違反がないかを問題にするため、書面の審理が中心になるからです。

 

【民事裁判では】

民事裁判では、原告・被告が裁判所に出廷する義務はありません。弁護士に依頼した場合、弁護士だけが出廷し、原告も被告も欠席することが多いです。

 

民事裁判では、訴訟が終わりに近づくと、原告・被告の尋問が実施されることが多いですが、そのときだけ出廷します。

 

被告が弁護士に依頼せず、また、何の反論もしないまま、第1回の口頭弁論に欠席すると、そのまま欠席裁判となり、原告の勝訴判決が下されます。

 

刑事裁判で証明責任を負うのは検察官のみ

刑事裁判では、被告人が罪を犯したことを検察官が証明しなければいけません。検察官が証明に失敗すれば、無罪判決が言い渡されることになります(「疑わしきは被告人の利益に」)。被告人の方で自分が無罪であることを証明する必要はないのです。

 

【民事裁判では】

民事裁判では、自分に有利な主張をした側がその主張に根拠があることを証明しなければいけません。

 

例えば、原告が「貸したお金を返してください」と主張して、民事裁判を提起した場合、お金を貸したことは原告が証明しなければいけません。具体的には借用証等を提出して証明することになるでしょう。

 

これに対して、被告が「お金は借りたが返した」と反論する場合は、領収証等を提出して、返済した事実を証明する必要があります。

 

民事裁判の原告も被告も対等な立場の私人です。

 

これに対して、刑事裁判では、強大な権限をもつ検察官に対して、被告人は圧倒的に弱い立場に置かれています。そのような被告人に対して、「無罪を証明してください。証明できなければ有罪です。」というのは、あまりにも酷であり、冤罪が多発してしまいます。

 

そのため、刑事裁判では、検察官にのみ証明責任というハンディを負わせているのです。

 

【証明の程度は?】

刑事裁判では、検察官は、被告人が罪を犯したことについて「合理的な疑いをいれない程度」まで、証明する必要があります。「合理的な疑いをいれない程度」とは、疑いを差しはさむ余地がないほどに真実らしいと確信できるレベルを意味します。

 

これに対して、民事裁判では、自己に有利な事実を「通常人が疑いを抱かない程度」に立証すればよいとされています。「通常人が疑いを抱かない程度」とは、80パーセント程度確からしいという状態をいいます

 

刑事裁判の方が立証のハードルが高いため、刑事裁判で無罪になった被告人が、民事裁判では敗訴するという事態もあり得ます。

 

刑事裁判は判決で決着をつける

刑事裁判は、被告人が途中で死亡するといった例外的な事情がない限り、判決という形で、裁判所の判断が示されます。判決によって、被告人が有罪なのか無罪なのか、有罪の場合は、どのような刑罰を受けるのかが明らかにされます。

 

【民事裁判では】

民事裁判は、判決までいかずに和解で終了することが少なくありません。原告と被告との間で主張が交わされ、ひと通りの争点が出た時点で、裁判官は和解の意思があるかどうかを確認します。

 

裁判中に和解が成立した場合、その和解は判決と同一の効力をもっています。判決では、通常、「被告は原告に金〇万円を支払え」といったように一括払いの形で判断が下されますが、和解の場合は分割払いで返済するといった柔軟な解決も可能です。

 

また、一方的に判断される判決と異なり、お互いが話し合い納得した上で解決に至るため、判決の場合より履行される割合が高くなります。

 

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