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禁錮とは?懲役との違いや刑務所での生活をわかりやすく解説
池袋暴走事件の飯塚被告人が禁錮5年の実刑判決を受けたとの報道を聞いて、「禁錮って何だろう?」と思った方もいるのではないでしょうか。
このページでは、刑事事件を数多く扱っている弁護士が、禁錮と懲役の違いや執行猶予との関係、禁錮刑で刑務所に入っている人の生活などをわかりやすく解説しています。
禁錮とは
禁錮とは刑事施設に受刑者を収容して拘束する刑罰です。懲役や拘留と並んで、受刑者の行動の自由を制限する「自由刑」というタイプの刑罰です。
禁錮は懲役とは異なり労働をする義務はありません。労働が強制されないという点では拘留と同じですが、拘留は1日以上30日未満の身柄拘束であるのに対し、禁錮は最短でも1か月と拘留よりは期間が長くなります。
禁錮は主として内乱罪などの政治犯や選挙犯罪、交通事故などの過失犯の刑罰として定められています。現在では、禁錮刑になるのは車で人身事故を起こしたケースが圧倒的に多いです。
禁錮は最長で何年?
有期の禁錮刑の最長は20年です。複数の犯罪で起訴され、まとめて禁錮刑になった場合は、最長30年まで重くすることが可能です。
懲役刑に無期懲役があるのと同様に、禁錮についても無期禁錮があります(内乱の首謀者など)。この場合は終身刑となりますが、懲役刑と同じく10年を過ぎれば仮釈放される可能性があります。
禁錮刑になる事件の多くは自動車事故であり、極めて悪質なケースを除くと3年を超える禁錮が言い渡されることはめったにありません。
禁錮と懲役はどちらが重い?
禁錮と懲役を比較すると、労働を強制される懲役刑の方が重い刑罰として位置づけられます。
刑法では6つの刑罰について、重いものから順に、①死刑、②懲役、③禁錮、④罰金、⑤拘留、⑥科料(1万円未満の財産刑)と定めています。
ただし、禁錮の上限が懲役の上限の2倍を超えるときは、禁錮の方が懲役よりも重いと定めています。
禁錮にも執行猶予はある?
禁錮にも執行猶予はあります。懲役と同様に執行猶予をつけられるのは禁錮3年が上限です。
【関連ページ】執行猶予をとるための2つのステップ
政治犯を除くと、禁錮が定められている犯罪の方が、懲役が定められている犯罪よりも軽い傾向があるため、一般論としては、禁錮の方が懲役より執行猶予になる可能性が高いといえるでしょう。
禁錮はつらい?
禁錮は懲役と異なり、刑務作業がなく気を紛らわせるものがないため、かえってつらいと感じる人が多いようです。
そのため、禁錮の受刑者の多くは、自ら刑務作業を願い出て(「請願」といいいます)、懲役の受刑者と同様の作業を行っています。
刑務作業は1日8時間以内とされています。木工、印刷、洋裁、金属、革細工などの種類があり、受刑者の適正に応じて割り振られます。
刑務所が一般の会社から委託を受けて原材料を提供され、受刑者がそれを加工します。外部からの委託ではなく、職業訓練や社会貢献の一環として刑務作業を行うこともあります。
刑務作業をすれば報奨金がもらえます。ひと月あたりの報奨金は平均で約4320円です(令和2年度)。
禁錮の受刑者の生活
禁錮刑の受刑者は、刑務作業をする必要がないので、部屋の中でだらだら過ごしているイメージを持たれるかもしれません。
しかし、就寝の時間や午睡の時間を除いて、部屋の中でゴロンと横になったり足を伸ばすことはできません。
とはいえ、朝は運動の時間がありますし、日中はあぐら(安座)の姿勢で本を読んだり手紙を書くこともできます。
禁錮の受刑者はすることがないため、本を読んで過ごす方が多いようです。本は家族から差し入れてもらったり、刑務所の図書室で借りることができます。
仮釈放されるまで家族から毎週10冊以上の本をコンスタントに送ってもらう方もいます。仮釈放されるまで家族から毎週10冊以上の本をコンスタントに送ってもらう方もいます。
禁錮が定められている主な犯罪
罪名 | 法定刑 |
業務上過失致死傷 | 5年以下の懲役・禁錮・100万円以下の罰金 |
過失運転致死傷 | 7年以下の懲役・禁錮・100万円以下の罰金 |
自殺関与・同意殺人 | 6月以上7年以下の懲役・禁錮 |
名誉棄損 | 3年以下の懲役・禁錮・50万円以下の罰金 |
公職選挙法の買収、利益誘導 | 3年以下の懲役・禁錮・50万円以下の罰金 |
禁錮になると勲章がはく奪される?
「勲章ち奪令」という明治時代に制定された法令が現在でも有効であり、この法令によれば、禁錮3年以上の実刑の場合は勲章がはく奪されます。
禁錮3年未満の実刑の場合や執行猶予付きの禁錮刑の場合は、情状により勲章がはく奪されることがあります。
禁錮刑 | はく奪されるか? |
3年以上の禁錮刑(実刑) | はく奪される |
3年未満の禁錮刑(実刑) | 情状によりはく奪されることがある |
執行猶予付きの禁錮刑 | 同上 |
このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しました。