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未決勾留日数とは?どれだけ算入される?法定通算も解説!
このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。
未決勾留日数とは?
未決勾留日数とは、勾留された日から判決が確定する日の前日までの期間のうち実際に勾留されていた日数をいいます。
未決勾留日数がカウントされると刑期が短くなる!
未決勾留は判決が確定する前の勾留ですので、刑の執行ではありません。もっとも、身体を拘束されているという点では、刑の執行と変わりません。
そのため、裁判官の裁量により未決勾留日数の全部または一部を刑の執行を受けたものとしてカウントすることができます。裁判官の裁量ではなく、法律で未決勾留日数をカウントするよう定められているケースもあります。
裁判官の裁量によって未決勾留日数をカウントする場合を「算入」、法律の規定でカウントしなければならない場合を「通算」といいます。未決勾留日数が算入・通算されると、それだけ刑期が短くなります。
未決勾留日数はどれだけ算入される?
未決勾留日数は裁判官の裁量によって刑に算入することができます。刑法の条文では、未決勾留日数について、「その全部又は一部を本刑に算入することができる。」とされています。
【刑法】
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実際は未決勾留日数の全部が刑に算入されることはありません。算入されるのは<起訴後の勾留日数のうち裁判準備のために通常必要とされる期間>を超える日数分のみです。
<裁判準備のために通常必要とされる期間>は以下のように考えられています。
初公判…30日 第2回公判以降…各公判あたり10日 |
このことから、以下の数式により、未決勾留日数のうち何日くらいが刑に算入されるか予測できます。
起訴後の勾留日数-{30+10×(公判期日の回数-1)} |
未決勾留日数が算入されると以下のような判決が下されます。
「主文 被告人を懲役3年に処する。未決勾留日数中120日をその刑に算入する。」
未決勾留日数の法定通算
法律で、上訴の提起期間中の未決勾留日数は上訴申立て後の未決勾留日数を除き、全て刑に通算することとされています。
裁判官の裁量ではなく法律で一律に決められていることから、「法定通算」といいます。法定通算をまとめると以下のようになります。
1.上訴を申し立てない場合
判決言渡し日から15日間(15日目が土日祝日の場合は直後の平日までの期間)が刑に通算されます。
2.上訴を申し立てた場合
判決言渡し日から上訴を申し立てた日の前日までの日数が通算されます。
次のケースでは、上訴を申し立てた日から判決日の前日(控訴の場合)または判決が確定する日の前日(上告)までの日数が通算されます。
①検察官が上訴を申し立てたとき
②被告人が上訴を申し立て、上訴審において原判決が破棄されたとき
【刑事訴訟法】
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未決勾留日数が算入される?されない?
1.起訴前の未決勾留日数は算入される?
起訴前の未決勾留は捜査のために必要な措置ですので、その期間の日数は算入されません。
2.保釈中の未決勾留日数は算入される?
保釈中は身柄が拘束されていないため、未決勾留日数は算入されません。
3.執行猶予でも未決勾留日数は算入される?
執行猶予判決でも未決勾留日数は算入されます。執行猶予が取り消され懲役刑や禁錮刑に服する場合もあるからです。
4.罰金刑にも未決勾留日数は算入される?
罰金刑にも未決勾留日数は算入されます。
【具体例】
「未決勾留日数中〇〇日を、その1日を〇円に換算して、罰金刑に算入する。」
法定通算の場合は、未決勾留1日あたり4000円として算入されます。