ラッシュの輸入と自首について弁護士が解説

ラッシュの輸入と自首

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

 

ラッシュを輸入すると何罪になる?

ラッシュを輸入すると何罪になる?

 

ラッシュを輸入すると薬機法違反および関税法違反になります。薬機法違反の刑罰は3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。関税法違反の刑罰は10年以下の懲役または3000万円以下の罰金です。

 

*薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。

 

このようにラッシュを輸入すると薬機法違反と関税法違反の2つの犯罪が成立しますが、輸入という行為は一つですので、裁判になれば重い関税法違反の刑で処断されます。

 

 

ラッシュの輸入で自首した方がよいケース

ラッシュの輸入で自首した方がよいケース

 

つい出来心で海外のネットショップでラッシュを注文した後に、荷物が日本の税関でひっかかり、鑑定の結果ラッシュであることが明らかになれば、逮捕される可能性が高くなります。

 

注文後にすぐにキャンセルすれば発送を止められることもありますが、いったん発送されてしまうと、途中で止められないことが多いです。

 

インターネットでトラッキングすれば、荷物が現在どこにあるかを追跡することができますが、日本に入ってきた後に税関にずっととどまっていることがあります。

 

このような場合は、税関によって違法薬物を疑われ、開披検査をされている可能性が高いので、自首した方がよいでしょう。

 

ラッシュの輸入で自首する場合は警察署に出頭する

ラッシュの輸入で自首する場合は警察署に出頭する

 

自首は検察官か司法警察員に対してする必要がありますが、税関職員は司法警察員ではなく、自首を受ける権限をもっていません。

 

そのため、たとえ荷物が税関にとどまっている場合でも、自首するのであれば、税関ではなく、税関の所在地を管轄する警察署に出頭することになります。

 

 

ラッシュの輸入と税関への相談

ラッシュの輸入と税関への相談

 

ラッシュを輸入すると薬機法と関税法違反になりますが、ラッシュがどこまで到達した時点で「輸入した」といえるのでしょうか。

 

薬機法では、日本の空港に着陸した飛行機から荷物を地上に取り下ろした時点で輸入したことになります。

 

関税法では、地上に取り下ろしただけではなく、さらに保税地域の外に搬出した時点で輸入したことになります(もっとも関税法は輸入の未遂でも既遂と同じ刑罰を科しています)。

 

したがって、トラッキングした結果、注文したラッシュがまだ日本の空港に到着していなければ、その時点ではまだ輸入罪等が成立していないため、自首というよりも、税関への「相談」を検討することになります。

 

あらかじめ税関へ相談しておくと、事実上は、自首に準じた効果を期待できるでしょう。ウェルネスの弁護士は税関への相談サポートも行っております。

 

ラッシュの輸入で自首する場合のポイント

ラッシュの輸入で自首する場合のポイント

 

警察署に出頭して事実を申告すればそれだけで自首になるわけではありません。

 

自首が成立するための要件として、犯罪と犯人が捜査機関に発覚する前に、自発的に犯罪を申告することが必要です。

 

ラッシュの個人輸入のケースでは、荷札を見れば注文者の氏名や住所はすぐにわかります。また、もし荷物が税関職員にマークされ開被検査をされれば、ラッシュと判明するまで時間の問題です。

 

そのため、自首をするのであれば、一刻も早く警察に出頭した方がよいでしょう。

 

ラッシュの輸入で自首した場合のメリット

ラッシュの輸入で自首した場合のメリット

 

1.逮捕の可能性が低くなる

ラッシュの輸入で自首することのメリットは逮捕される可能性が低くなるということです。

 

自首という形で自ら警察に犯罪事実を申告することで、逃げたり証拠隠滅をするおそれは低いと判断されやすくなり、逮捕回避の可能性が高まります。

 

 

2.報道の可能性が低くなる

ラッシュの輸入で逮捕されれば実名報道されるリスクがありますが、逮捕されなければ、有名人でない限り、マスコミに報道されることはありません。

 

ラッシュはゲイの男性が性行為中に使用することが多く、実名報道されると社会的ダメージは深刻なものになります。

 

自首をして逮捕を回避することができれば、報道リスクも回避することができます。

 

 

3.家族に発覚する可能性が低くなる

ラッシュの輸入で逮捕される場合は、警察が自宅に身柄を取りに来ますので、家族にバレてしまいます。逮捕されない場合でも、警察が家族に連絡し身元引受人として迎えに来てもらいますのでバレてしまいます。

 

 

弁護士と一緒に自首すれば、逮捕される可能性は低くなりますし、弁護士が身元引受人になりますので、家族に連絡が行く可能性も低くなります。

 

 

4.懲役刑を回避できる可能性が高まる

ラッシュの輸入事件は、正式裁判で審理され、検察官から懲役刑を請求されることが多いですが、自首することにより、略式裁判で罰金刑にとどまる可能性が高くなります。

 

略式裁判は法廷が開かれないので、傍聴人を通じて本人のプライバシーや事件の内容が外に漏れることはなく、秘密のままにしておけます。

 

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