裁判員裁判のご質問

Q1:刑の重さについて裁判員裁判と従来の裁判とで何か違いはありますか?

一般的には大きな違いはありませんが、家庭内の介護殺人のケースでは、裁判員裁判の方が従来の裁判に比べて刑が軽くなる傾向があります。逆に性犯罪については、裁判員裁判の方が刑が重くなる傾向があります。検察官の求刑と同程度ないしそれを上回る判決が出ることもあります。

 

ただ、性犯罪であっても、弁護活動によっては、従来の量刑相場より大幅に軽くなることもあります。ウェルネスでも性犯罪の裁判員裁判で、刑期を検察官求刑の半分に削った判決を獲得したことがあります。

 

 

Q2-1:息子が強姦致傷罪と強制わいせつ罪で起訴されました。裁判員裁判の対象になる事件(強姦致傷罪)と対象にならない事件(強制わいせつ罪)の両方で起訴された場合、裁判員裁判と通常裁判の2つの裁判で審理されるのでしょうか?

通常は裁判員裁判で一括して審理されます(裁判員法4条)。すなわち、同じ裁判官・裁判員のグループが、同じ法廷で両方の事件をまとめて審理します。判決もそれぞれの犯罪について別々に言い渡すのではなく、まとめて言い渡します。

 

Q2-2:強制わいせつ罪も裁判員によって審理されるのですか?

はい。強制わいせつ罪のみで起訴された場合は裁判員裁判にはなりませんが、強姦致傷罪(裁判員裁判対象事件)でも起訴された場合は、通常、強姦致傷罪の裁判とセットで取り扱われますので、強制わいせつ罪も裁判員によって審理されることになります。

 

 

Q3:友人が強盗致傷の容疑で逮捕されました。起訴されれば裁判員裁判で審理されることになるのでしょうか?

必ずしもそういうわけではありません。

 

(解説)

強盗致傷罪の法定刑は無期懲役または6年以上の懲役です。法定刑に無期懲役が含まれている犯罪は裁判員裁判の対象となります。したがって、このまま強盗致傷で起訴されれば、裁判員裁判で審理されることになります。

 

もっとも、強盗致傷の容疑で逮捕されたからといって、必ずしも強盗致傷で起訴されるとは限りません。強盗致傷といっても様々な事案があり、なかには強盗に近いケースもあります(例:けががかすり傷程度の場合)。そのような場合、強盗致傷ではなく強盗で起訴されることもあります。強盗罪は裁判員裁判対象事件ではないので、通常裁判で審理されることになります。

 

類似の例として、強制わいせつ致傷罪(裁判員裁判対象事件)で逮捕され強制わいせつ罪(通常事件)で起訴されるケース、保護責任者遺棄致死罪(裁判員裁判対象事件)で逮捕され保護責任者遺棄罪(通常事件)で起訴されるケース等があります。

 

 

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