少年事件と不送致・簡易送致

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

少年事件と不送致

1.少年事件は全件送致が基本

少年事件は、犯罪をした疑いが認められる限り、家庭裁判所に送致されます。これを全件送致主義といいます。

 

家庭裁判所に送致される流れとしては、<警察→検察官→家庭裁判所>というルートが一般的ですが、最高でも罰金刑にとどまるような微罪の場合は、警察からダイレクトに家庭裁判所に送致されます。

 

【成人との比較】

成人の刑事事件では、約60パーセントが不起訴処分となり、裁判所が関与することなく終了しますが、少年事件には不起訴処分はありません。

 

2.不送致とは

少年事件で罪を犯した疑いが認められるケースでも、ごくまれに警察署限りで取り扱いが終了し、検察官にも家庭裁判所にも送致されないケースがあります。これを「不送致」といいます。

 

少年事件の不送致について定めた法令はありません。警察の裁量による処分です。

 

3.不送致になりうる少年事件

不送致は例外的に軽い処分になります。そのためどのような少年事件でも不送致になるわけではありません。

 

次のような事件であれば、ごくまれに不送致処分になるケースがあります。

 

①万引き

②置引き

③放置自転車の乗り逃げ

 

痴漢や盗撮などの性犯罪、暴行や傷害などの粗暴犯のケースでは、不送致になる可能性は極めて低いです。

 

少年事件と簡易送致

1.簡易送致とは

簡易送致とは、警察から検察官や家庭裁判所に事件を送致するものの、少年審判を開かずに終了することが予定されている処分です。1か月ごとに複数の事件をまとめて送致します。

 

簡易送致された場合、最終的には家庭裁判所で「少年審判を開かない」という決定(審判不開始決定)が下され、審判を経ることなく事件が終了します。

 

少年事件の約30パーセントが簡易送致で処理されています。簡易送致になるのは少額の万引きのケースが多いです。

 

同じ窃盗でも職場窃盗やオートバイ・自動車の窃盗のような悪質なケースでは、原則通り、警察→検察官→家庭裁判所という流れで送致されます。

 

2.簡易送致の要件

簡易送致の要件は次の3つです(犯罪捜査規範214条)。

 

①極めて軽微な事案である

②再犯のおそれがなく処分を必要としないことが明らかである

③検察官または家庭裁判所があらかじめ指定した事件である

 

簡易送致と不送致との違い

不送致の場合は、警察署で何度か取調べを受けた後に担当者から説諭を受け、その時点で終了となります。

 

簡易送致の場合は、審判は開かれないものの家庭裁判所には送致されるため、不送致に比べると事件の終了が1~3か月程度先になります。

 

また、少年が親と一緒に家庭裁判所に行って調査官の面接を受けたり、万引き被害等についてのビデオを視聴することもあります。

 

少年事件を不送致や簡易送致で終わらせる方法

不送致や簡易送致で終わらせるためには、被害者との間で早期に示談をまとめることが必要となります。

 

また、少年事件の場合は、処分にあたって「親が少年をどこまで監督できるか」も重視されます。そのため、事件に至った背景や動機について、保護者が少年と十分に話し合った上で、今後の監督プランを作成し、弁護士が意見書にまとめて警察に提出します。

 

ウェルネスの弁護士は少年事件で不送致や簡易送致の実績があります。お子さんが事件を起こしてしまった場合、まずはウェルネス(03-5577-3613)までご相談ください。

 

【関連ページ】

少年事件の弁護士