起訴取り消しとは?取り消しになる5つのケースを弁護士が解説

軍事転用可能な製品を中国に輸出したとして、機械メーカーの社長らが外為法違反で逮捕され、1年近く勾留された後、初公判の直前になって起訴を取り消されました。

 

 

このページでは弁護士 楠 洋一郎が、起訴取り消しについてひととおり解説しておりいます。参考にしていただければ幸いです。

 

 

 

起訴取り消しとは

起訴取り消しとは、文字通り、検察官がいったん起訴した後にこれを取り消すことです。

 

 

起訴を取り消せるのは第一審の判決が言い渡されるまでです。検察官が取り消しの理由を記載した書面を裁判所に提出することによってなされます。

 

 

【刑事訴訟法257条】

公訴は、第一審の判決があるまでこれを取り消すことができる。

 

 

起訴取り消しでどうなる?

検察官によって起訴が取り消されると、裁判所は公訴棄却の決定をします。これによって、刑事裁判は打ち切りとなります。

 

 

裁判が終了する以上、有罪の裁判がなされることはないので、前科はつきません。

 

 

【刑事訴訟法339条】

左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。

(3)公訴が取り消されたとき

 

 

公訴棄却された時点で被告人が勾留されていれば、勾留状も失効するため、釈放されます。

 

 

公訴棄却の決定が確定した後は、新たに重要な証拠を発見した場合を除いて、同一の事件で再び起訴することはできないとされています。

 

 

起訴取り消しになるケース

起訴を取り消す理由に制限はありません。とはいえ、実際は以下の理由で取り消されることが多いです。

 

 

①嫌疑不十分

②心神喪失

③被告人の死亡

④(法人が起訴されている場合に)法人の消滅

⑤所在不明

 

 

いったん起訴した後に被告人が死亡したり、所在不明になったり、認知症の進行により心神喪失になった場合は、起訴が取り消されるのはやむを得ないといえるでしょう。

 

 

もっとも、嫌疑不十分で起訴が取り消された場合は、警察や検察の見込み違いの可能性もあるわけで、捜査の在り方が厳しく問われるべきでしょう。

 

 

報道で話題になっている機械メーカーの事件についても、社長らは1年近く勾留され、社員の1人は勾留期間中に死亡しています。

 

 

このような経緯もあり、起訴が取り消された後、機械メーカーは国などに5億円超の国家賠償を求める訴訟を提起しました。

 

 

東京地検は、「軍事転用可能ということに疑いが生じた」と発表していますが、なぜその判断がここまで遅れたのかについて国家賠償訴訟で審理されることになります。

 

起訴取り消しの処分状況

起訴取り消しは例外的な処分であり、実際に取り消されるケースはほとんどありません。検察庁の統計によれば、2020年に起訴が取り消されたケースは、全部で21件です。

 

 

内訳は以下の通りです。

 

嫌疑不十分

1件

心神喪失2件
被告人の死亡・法人等の消滅10件
被告人の所在不明

2件

その他

6件

 

 

示談で起訴取り消しはない

被害者がいる刑事事件については、被害者との間で示談が成立すれば、多くのケースで不起訴になります。不起訴になれば前科はつきません。

 

 

それでは、起訴された後に示談が成立した場合、それを理由に起訴が取り消されることはあるのでしょうか?

 

 

法律上、起訴を取り消す理由に制限はありません。もっとも、起訴後に示談が成立したことを理由として、起訴が取り消されることは通常ありません。

 

 

起訴後であっても示談が成立すれば、執行猶予の可能性が高くなるといったメリットはありますが、有罪の裁判がなされれば前科がつくことになります。

 

 

そのため、前科を避けたいということであれば、起訴前に示談に向けて動くことが必要です。

 

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